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2025.11.03

その“なんとなくの不調”が危険かも? 胃がんの隠れサインを見極める

「なんだか胃が重い」「食欲があまりわかない」――そんな小さな不調を、「疲れかな」「食べ過ぎたかな」と見過ごしていませんか?

実はそれ、胃がんの初期サインかもしれません。

胃がんは日本人に多いがんのひとつですが、初期段階では症状がとてもあいまいです。風邪や胃炎、ストレス性の胃もたれと区別がつきにくく、「いつものこと」と放置してしまう方も少なくありません。

しかし、ほんの少しの違和感に気づくことが、早期発見と命を守る第一歩になります。

ここでは、胃がんの初期症状がなぜわかりにくいのか、どんなサインに注意すべきか、検査法・予防法までわかりやすく解説します。


1. 胃がんの進行と「初期段階」の特徴

胃がんは、胃の内側(粘膜)から発生し、進行すると胃壁の奥深くへと広がっていく悪性腫瘍です。

しかし、がんが粘膜または粘膜下層にとどまっている段階を「早期胃がん」と呼びます。この時期に発見できれば、内視鏡による切除で治癒が可能なことも多く、5年生存率は90%を超えるともいわれます。

ただし、初期の胃がんは非常に目立ちにくく、平坦型・陥凹型などの形態は見逃されやすいのが実情です。

また、腫瘍が小さいうちは痛みや出血をほとんど起こさないため、典型的な症状が出ません。

「胃の不快感」「軽い胸やけ」「食後の重さ」など、日常的な不調の延長に見えるのが特徴です。


2. わかりにくい胃がん初期症状のパターン

初期の胃がんは“胃のトラブル”と混同されやすく、見落とされがちです。次のような症状が続くときは注意しましょう。

  • なんとなく胃が重い・もたれる

    ↳食後にすっきりしない、いつもより消化が遅い感じがある。

  • 食欲の低下・早期満腹感

    ↳少し食べただけで満腹に感じる、自然と食事量が減っている。

  • 軽い胸やけや背中の違和感

    ↳逆流性食道炎や胃炎と思いがちですが、胃の腫瘍による変化の可能性も。

  • 貧血やだるさ

    ↳初期の段階でも微量の出血が続き、鉄欠乏性貧血として現れることがあります。

  • 口臭や舌の違和感

    ↳胃の消化環境が変わることで、口臭や口内の違和感を感じる場合も。

これらの症状が数週間〜数か月以上続く場合は、軽く考えずに一度検査を受けましょう。


3. 初期症状を見逃さないためのチェックポイント

初期の胃がんは“違和感の持続性”が鍵です。

以下のポイントに当てはまる場合は、医療機関での相談をおすすめします。

  • 🔍 胃もたれや食欲低下が2週間以上続く

  • 🔍 症状が徐々に悪化している

  • 🔍 「胃もたれ+早期満腹感」など複数の症状が重なっている

  • 🔍 50歳以上、またはピロリ菌感染歴・胃炎・家族に胃がんの既往がある

  • 🔍 最近、体重減少や疲れやすさを感じる

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、こうした軽度の不調でも丁寧にお話を伺い、必要に応じて胃カメラ検査を行っています。


4. 胃がんを早期発見するための検査法

初期胃がんの確定診断には、**上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)**が最も有効です。

内視鏡では、粘膜のわずかな色調変化や微細な凹凸を拡大して観察でき、必要に応じて組織を採取して病理診断を行います。

また、**内視鏡的治療(ESDなど)**によって、早期の段階でがんを切除できるケースも多く、負担が少なく高い治癒率を得られます。

胃がんのリスクが高い方(ピロリ菌感染歴・慢性胃炎・高齢者など)は、年1回程度の定期的な胃カメラ検査が推奨されます。


5. 胃がんを防ぐ生活習慣とセルフケア

胃がんを予防するには、日常の小さな工夫が大切です。

  • 💡 塩分を控える・野菜や果物をしっかり摂る

      ↳高塩食は胃粘膜を傷つけ、野菜や果物に含まれる抗酸化成分は保護作用があります。

  • 💡 発酵食品や食物繊維を取り入れる

      ↳腸内環境を整えることで、消化器全体の健康を支えます。

  • 💡 喫煙・過度の飲酒を控える

      ↳タバコとアルコールは胃がんリスクを高める要因です。

  • 💡 ストレス管理と十分な睡眠を意識

      ↳自律神経の乱れは胃の働きを悪化させるため、リラックスできる時間を持つことも重要です。


まとめ

胃がんの初期症状は「胃もたれ」「軽い胸やけ」「食欲の低下」など、誰にでも起こりうる軽い不調として現れます。

しかし、“いつもと違う”違和感が続くときこそ、早期胃がんのサインかもしれません。

定期的な胃カメラ検査と生活習慣の見直しで、胃の健康を守りましょう。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、最新の内視鏡機器による精密検査と、患者さまに寄り添った丁寧な診療を行っています。

少しでも気になる症状がある方は、早めのご相談をおすすめします。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。

【参考文献】

  1. 1.Gastroenterology – Zhang X et al. Endoscopic screening in Asian countries is associated with reduced gastric cancer mortality: a meta‑analysis and systematic review. (本文で引用:早期発見とスクリーニング効果)
  2. 2.Gut – Yoshida N et al. Early gastric cancer detection in high‑risk patients: a multicentre randomized controlled trial on the effect of second‑generation narrow band imaging.
  3. 3.Digestive Endoscopy – Ono H et al. Early gastric cancer: detection and endoscopic treatment.
  4. 4.Journal of Gastroenterology – Terasawa T et al. Prediction of gastric cancer development by serum pepsinogen test and Helicobacter pylori seropositivity: a systematic review and meta‑analysis.
  5. 5.World Journal of Surgery – Korenaga D et al. Early gastric cancer: Twenty‑eight‐year experience.