大腸カメラはなぜ痛い?

「大腸カメラ検査は痛い・苦しい」というイメージがある方もおられると思いますが、なぜ痛くなってしまうのかご存じでしょうか?

今回は、大腸カメラ検査で痛みを感じる原因と、痛みなく検査を受けるためのポイントをご紹介します。大腸カメラ検査を躊躇している方が、「検査を受けてみよう」と決心するための後押しになればと思います。

 

大腸カメラ検査の痛みの原因

基本的に、大腸カメラ検査自体は痛くない検査です。ではなぜ、大腸カメラ検査で痛みが出てしまうのでしょうか?

 

原因としては大きく2パターンです。

多いのは、医師の経験不足によって痛みが出てしまうというパターン。大腸カメラ検査に十分習熟していないことが考えられます。

 

もう1つが、患者さんの腸の状態や緊張によって痛みが出てしまうというパターンです。ごく一部ですが、カメラが入らないほど腸が癒着していたり、大腸がんがあったりすると、痛みが出てしまいます。

 

痛みが出やすい患者さんの特徴とは?

緊張しやすい方、「検査は痛い」という思いが強く身構えてしまう方は、痛みに過敏になってしまっている場合があります。たとえばですが、カメラを入れるために肛門に少し触った段階で「痛い!」となってしまう方が稀におられます。リラックスしていただくこと、過度に不安を持たずにいただくことが大切です。

 

「腸の形状が悪い」「腸が長い」などと言われ、痛みは仕方ないと説明された経験のある患者さんも中にはいますが、そういったものは実際あまり関係はありません。単純に挿入法によることが多いと思います。「無送気軸保持」は最も痛みの出にくい挿入法の1つと思われます。

ただし、腸が癒着している場合には、痛みの少ない挿入方法である「無送気軸保持法」が使えません。そうなると、腸の曲がっている部分にカメラを進めていこうとする場合に、どうしても痛みが出てしまうことがあります。

 

また、便がしっかり処置できておらず残っていると、その部分をカメラを進める際に少し無理がかかるので、痛むということが考えられます。

 

痛みを可能な限り減らすには?

もちろん、みなさん痛みをできるだけ減らして検査を受けたいと思っているでしょう。痛みを減らすための工夫をご紹介します。

 

医療機関に依存する要素

医療機関側に関わる要素のなかで、患者さんの痛みを減らすことに繋がる要素はいくつかあります。

 

単純に、医師の熟練度が高いことが1つです。経験を多く積んでいる技術の高い医師による検査は、患者さんの苦痛の緩和に繋がります。

 

また、大腸カメラ検査の最中は、観察のために空気で腸管を膨らませます。このとき、空気の代わりに二酸化炭素を使うことで、お腹の張りが軽減され、空気を使うのに比べて痛みがやわらぎます。当院でも、二酸化炭素を使っています。

 

あとは、鎮静剤を使用することです。鎮静剤を使えば、検査の最中に痛みを感じることはありません。

 

患者さんにできる取り組み

苦痛なく検査を受けるため、患者さんにも、少し頑張っていただきたいことがあります。

 

下剤をしっかり飲んで、腸の中を綺麗にしてください。便だけでなく、下剤までしっかり排出しきることが1つのポイントです。下剤が嫌で、規定の量を飲み切らなかったりすると、患者さんの苦しさに繋がってしまいます。

 

リラックスしていただくことも大切ですが、難しいと思いますので、鎮静剤を使用して検査をおこなうのが現実的な方法でしょう。大腸カメラ検査は通常痛くありませんし、鎮静剤を使えば眠っている間に終わってしまいますので、あまり身構えずに検査を受けにいらしてください。

 

まとめ

大腸カメラ検査は、本来は痛みのないものです。

痛みを感じる原因は、医師の習熟度の問題が大きいですが、患者さんの緊張しすぎ・便の処置が不十分であることも影響する場合もあります。大腸カメラ検査の経験を積んだ医師・鎮静剤を使える医師に検査をしてもらうこと、患者さんとしては過度に緊張せず、便処置をしっかりしていただくことが、痛みなく検査を受けるために重要です。