血便はどれくらいやばい?

「肛門から血が出る」という状況が続いていても、医療機関を受診せずにいる方は多いです。しかし、血便という症状のある方の中には、緊急性がある、いわゆる「やばい」状況の方もおられます。

今回は、血便が出ているときに考えられるリスク・危険性について解説します。

 

血便とはどんな状況?

まずは、血便がどういった状況を指すのか、お伝えしておきます。

 

血便は、単純に「お尻から出血を伴った便がでること」を指します。出血の程度は、ティッシュに少し血がついていく程度、ポタポタ垂れるほどたくさん出るなどそれぞれですが、程度には関係なくすべて「血便」です。

 

お尻からの出血全般なので、痔が原因であることが多いとはいえ、腸管からの出血や、がんによる出血の場合も含まれます。

 

血便の原因がハッキリしない状態は、常に「やばい」といえます。命に関わる病気の可能性が、否定されていないからです。

原因が特定できていない限りは、常に「やばい」可能性を抱えた状態。肛門から出血するような命に関わる病気というのは、大腸がんや重症の出血性大腸炎など、いくつかあります。

 

血便による死亡リスク

「こんなちょっとの出血で、大きな問題にはならないだろう」と思うかもしれませんが、血便症状で来院して死亡に繋がるケースは、じつは少なくありません。

 

大腸がんが原因で血便が出てくるときは、進行しているケースが多くあります。そのまま入院して、手術になったという方を何人も見ています。

進行がんでも手術で治ることもあれば、治らないこともあり、出血があるから・ないから今後どうなるとは言えません。

 

遠隔転移があるかないか?は、命が助かるかどうかの判断になりやすいです。血便と遠隔転移の可能性に、強い相関性があるわけではないのも、難しい点といえます。

 

がんで大腸が詰まっているような状態でも、遠隔転移はしていないこともあります。逆に、大腸がん自体は小さくても、遠隔転移していることはありえます。

 

結論として、血便症状がある場合、原因がわかっていない限り、死亡リスクは抱えている状態になります。血便の量や頻度とは無関係です。

 

軽症になる血便

命には関わらない、軽症といえる血便は、切れ痔やいぼ痔等が原因の場合です。

 

この場合、出血は起こしますが、適切な治療で治る余地があります。

逆に言うと、切れ痔やいぼ痔以外の原因で血便が出ている場合は、大事になることが多いと思ってください。

 

重症になる血便

基本的には、腸管内の出血が原因の血便の場合、命に関わるような大事になりやすいです。大腸がんや重度の感染性胃腸炎(O-157など)が挙げられます。

 

また、血便とは少し違いますが、「黒色便」といって、血液が酸化して便が黒く見えるというケースも、危険な場合が多いです。黒色便がみられる場合は、上部消化管(胃など)の病気で出血している可能性が考えられます。

 

心配がいらない血便

「鮮やかな赤い血であれば、痔による出血だ」などと言われることがありますが、実際にはそうとも言い切れません。

肛門から近い部位である直腸からの出血も、色は鮮やかな赤だからです。

 

血便の色だけで、痔かどうか、大丈夫かどうかは全く判断できません。つまり、何も検査をしない段階で、「こんな色や見た目なら、心配のない血便である」と言い切ることはできないのです。

 

血便になる原因が明らかになっていないうちは、すべてが「心配のある血便」「やばい可能性のある血便」といえます。

血便が出ている方は、まずは医療機関で医師の診察を受けましょう。

 

まとめ

今回は、血便が出る状態を放置しているとどのくらい「やばい」のか、血便のリスク・危険性について解説しました。

血便は、その見た目だけで「大丈夫かどうか」「命に関わる状態かどうか」の判断はできません。血便が出ている方は、「やばい」原因が隠れている可能性がありますので、早めに医療機関でご相談ください。