「今日の晩御飯はサ○マです」→ 【医師が警告…】寄生虫アニサキスの危険性を本当に知っていますか?

アニサキスが潜む魚の種類

当院でもアニサキスの症例は年間で40件弱、月に3、4件見られます。
海辺に近い場所に住んでいる人のほうがアニサキスにかかりやすいという特徴がありますが海の近くの500床くらいの救急病院で働いていた医師によると、年間20例ということでしたので当院はかなり多いほうだといえます。
当院は毎日営業、すぐに来てすぐに検査が可能という来院のしやすさが、アニサキスでお困りの方の対応が多い理由と考えられます。アニサキスは鯖以外にもイカやサンマの刺身など、魚介類にはなんでも入っていると考えられます。

アニサキスは胃酸では死なない?

患者様の中には、「絶対にアニサキスだ」と感じて来院される方もいらっしゃいますが、ほぼ自覚症状がないが胃腸が痛いという方のほうが、アニサキスが体内に入ってしまったケースとして多いです。
ほとんどの方はすごく強い痛みに襲われており、「今すぐ検査してほしい!」というケースです。それ以外には「少し痛みが続くな・・・」と来院される方もいます。実際に検査するには胃カメラ検査をすることが重要で、疑いがあればカメラの検査を行うことが重要です。医師もアニサキスの可能性を疑いながら検査を行いますが、小さいため見つかりにくいこともあります。胃カメラについている「鉗子」というつまむ器具を使い、虫をつまんで外に出します。アニサキスは胃酸に強いため、体外に取り出しています。

今までで最もヤバかった症例

アニサキスの症例で過去最もひどかった症例は、何度もアニサキスの罹患を繰り返してアナフィラキシーとなってしまった方です。
寿司が好きな方でしたが、アニサキスを繰り返し「その寿司屋には行かないでくれ」と伝えても「美味しいから行く」という方でした。来院時に胃カメラを実施したところ、途中で「アナフィラキシーショック」が起こり、血圧が低下して体中に斑点ができてしまったことがありました。アニサキスアレルギーになってしまうと、アニサキス自体はいなくてもアニサキスのいた魚を摂取するだけで症状を起こすようになってしまうこともあります。

アニサキスを放っておくと手術することに!?

胃の中にアニサキスが5匹見つかった症例もありました。通常は罹患しても1,2匹であることが多いですが、5匹いた方もいました。
腸のほうにアニサキスが行ってしまうと、腸がむくみ腸閉塞になってしまうこともあります。そのため胃カメラのほかCTを撮り、腸がむくんでいるかどうかも確認します。胃カメラでアニサキスが確認できればアニサキスだと診断可能ですが、腸のほうへ行ってしまうと胃カメラでは確認ができません。文献上では、腸閉塞になってしまった結果開腹の必要があった症例もあります。

痛みの原因は嚙まれるからではない!?

アニサキスの痛みの原因は嚙まれているからだという勘違いがよくあります。
実際は嚙みつかれたことによるアレルギー反応による痛みです。昔から、胃カメラがすぐにできない施設ではアニサキスが疑われる場合はアレルギー薬を飲ませたり、点滴を入れて様子を見るということもあるそうです。アニサキスは48時間体内に居続けると死ぬといわれており、理論上は48時間我慢すればいいという考えもありますが、痛みに耐え続けることは困難です。

医師が推奨するアニサキス対策

刺身を食べる際には裏表を見てから食べる、という医師もいます。
アニサキスは目視で確認できる場合もあり、刺身の中に入っているケースもありますが、刺身を食べる際にはチェックしてから食べるという医師もいます。煮魚や焼き魚でよく火が通っていれば大丈夫ですが、たたきやしめ鯖などはアニサキスが入っている可能性があります。
重要なことは熱や酸、圧力などによって、タンパク質分子の立体構造が変化する「タンパク変性」が起きているかどうかということです。タンパク変性が起きていない状態で口にするとアニサキスに罹患する可能性が出てきます。

最後にアニサキスの豆知識

アニサキスはアルコールで死ぬという説がありますが、残念ながらアルコールでは死にません。