【日本人の3人に1人が…】医者によって痛みも再発率も変わるんです…放置するとガンの危険性もある「痔」について現役医師が本気で解説しました

痔の種類と最悪の場合の症状

いぼ痔

痔をそのまま放置してしまうとお尻から出てきて戻らなくなってしまい、腫れ続けて痛みが大きくなっていきます。座っているのも立っているのも辛いという状態になってしまいます。

切れ痔

すごく深く切れてしまうとなかなか治らず、便のたびに痛みが続きます。

痔ろう

痔ろうという、校門内部の直腸と周囲の皮膚の間に穴が開いてトンネルができてしまう症状の場合、感染を起こしているため最悪の場合は血の中に細菌が入り、命にかかわります。痔ろうからの感染を放置してしまい、血に菌が入ると敗血症という症状になります。
また、敗血症とは、感染症への反応が制御不能に陥ることで、声明を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群です。敗血症になってしまうと、死亡のリスクが高まります。

痔に関するQ&A

痔はそもそもなりやすいもの?

いぼ痔は気付かず持っている人が多いです。当院に来院される痔の患者様の中には、1日1人くらいは治療時の痛みで叫んでしまう方もいらっしゃいます。

今までの診療で辛そうだったことは?

過去の診療で辛そうだったケースは、やはり痔瘻です。膿瘍がお尻の半分以上にわたり炎症を起こしているケースで、皮膚が黒く変色しフルニエという状況になってしまっている方です。この場合、敗血症などのリスクも高いため入院なども必要です。ここまで行くと命に関わります。

最悪の場合 痔ろうが癌になる!?

痔ろうは基本的に自然に治ることはなく、炎症がずっと続きます。その結果、痔ろう癌になってしまう可能性があります。

痔の種類と実際の症状とは?

切れ痔やいぼ痔は知っている方も多いですが、あまりよくわかっていないという方もいらっしゃるかと思います。まずはいぼ痔についてです。一般的にはいぼがお尻から出ている状態です。
大きく分けると内側にいぼができるケースと外側にいぼができるケースがあり、対処法はそれぞれ異なります。内側のいぼの場合は中から出てきており、押して戻すという方もいます。外側に急にできる痔もあり、ほとんどのケースで血の塊が急にできて腫れるケースです。この場合は押しても戻ることはありません。

内痔核と外痔核 それぞれの症状とは?

内痔核と外痔核の症状についてですが、外痔核は痛みで来院される方が多く、内痔核の場合はお尻から何かが出ている、ということで来院されます。内痔核と外痔核ができてしまう要因ですが、便秘や下痢、座りすぎやアルコールの過剰な摂取、筋トレを沢山する方などに多いです。
当院に来院される方でも、アルコールをよく飲まれる方や、筋肉ムキムキの方もいらっしゃいます。筋トレをされる方は内痔核であるケースが多く、多少しょうがない面もあります。筋肉がある方ほど、痔ができてしまっていることがよくあります。筋トレをされる方は、いぼ痔が1つだけの方はほとんどいません。
いぼ痔ができやすい場所は概ね3か所決まっており、来院される方はほぼ3か所にいぼ痔ができてしまっています。3か所のいぼ痔が同時に出てきてしまっていることはあまりありませんが、一番大きいものから出てきます。1つ出ているものを治療したとしても、中にある”タネ”が残っているため、手術で直す場合はタネもちゃんと治療しておくことで再発までの期間を稼ぐことが可能です。

いぼ痔には重症度がある?

いぼ痔の中でも内痔核の分類があります。Ⅰ度・Ⅱ度の場合は気づかない人も多いです。Ⅲ度になると排便時に出てきてしまいますが、戻すことも可能な状態です。Ⅳ度になると常に外に出てしまっており、戻すことができない状態です。このような分類が存在します。
Ⅰ度・Ⅱ度で来院される方は、たまに出血するが痛みはない、という方が中心です。基本的に出血以外で本人が気づくことはありません。お尻から入れるカメラを実施する際などに、3人に1人くらいの割合で痔が発覚することがあります。

 

切れ痔にはどんな症状があるの?

切れ痔は、お尻から出血することが多く、原因は硬い便であることが多いです。症状として出血やかゆみを伴います。
切れ痔が癖になってしまう人もいますが、完治される方もいます。癖になりやすい人の特徴ですが、便秘で便が硬めの方は切れやすくなってしまいます。便をコントロールすることは難しく、便秘の場合はお尻にも負担がかかるため切れ痔を繰り返し、なかなか治らない方もいます。

痔瘻とは?どんな症状があるの?

痔瘻の症状はとにかく痛みがあり、下痢になりやすい人が痔瘻にもなりやすいです。お尻の穴のわきに膿が溜まってしまい、それが破けると穴が開き、そこからお尻の中にさらに穴が空いてしまう状態です。

痔って自然に治せるの?

基本的には放置していても治りません。塗り薬などで多少効くことはあり、切れ痔などは市販の薬でも治ることがあります。
しかし、痔の種類を理解しないままに市販薬などを使ったとしても、痔瘻や外痔核などは治らないため、来院する必要があります。来院される方の中には症状がひどくなってから来院されることもあります。痔の種類が判別できている状態であれば、市販薬を中心とした治療でもよいかもしれません。
本来はお尻に違和感を感じた時点で、早めに診察を受けていただくほうが症状も悪化せず早期治療につながります。

重症度はどのくらいの比率?

来院されるほとんどの方が痛みが強くなってから来院されています。当院は肛門科があるため、痔瘻で来院される方も結構いらっしゃいます。痔瘻で来院される方が最低でも1日で2、3人はいらっしゃいます

痔瘻の場合も重症化してから来る?

痔瘻で来院される方も、痛すぎてどうにもならなくなって来院される方が多いです。痔瘻の可能性があるため診察したほうが良い状態としては、

・お尻がとんでもなく痛い

・お尻の少し脇が痛い

この2点です。お尻が赤くはれてきたり、熱が出てしまった際には痔瘻を疑って早めに診察を受けることをおすすめします。

痔はどうやって治療する?

痔で来院される患者さんのうち、切れ痔を除く9割近い方が手術が必要な状態になっています。痔でお困りの方は我慢して来院される方が多く、軟膏だけでは難しく、手術が必要になることがほとんどです。
外痔核の場合は月単位で自然と治ってくるため放っておいてもいいですが、跡が残りやす炒め、早く治したい、違和感が強いという場合は来院をオススメします。治療としては中の血栓を取り除くことで治りますが、手術になります。
痔瘻で来院される方は緊急処置で手術を行い、切って膿を出さないと治らないこともあります。膿を出すことで症状は劇的に改善するため、ほぼすべての方に緊急処置を行います。膿を出した後も細い道が残るため、根本的な手術で直さなければ癌になってしまったり、再発して痛みを繰り返してしまいます。

 

痔の手術はどんな方法でやるの?

手術の種類は

・注射

・切り取る

・輪ゴムでくくる

の3つが主です。切り取る方法や輪ゴムでくくる方法は昔からあります。注射の場合は痔に注射を行い、固める手術です。
当院では注射の治療を行い、必要であれば切り取る手術を行っています。注射での手術が最も術後の痛みなどが少ないため、患者様の負担が少ないです。当院は日帰りで実施するため、患者様の日常生活に負担が最も少ない方法を大切にしています。
勿論、治療によって治るということが重要ですが、負担の少なさも重視しています。

どんな方が手術に来るの?

患者様の中には、午前中に手術を受けて午後から働かれるサラリーマンの方、子育て中のお母さまで子供を幼稚園・保育園に預けた後、治療を受けて帰られる方もいます。手術後の痛みなどは個人差が大きいですが、普段の生活を無理なく送ることが可能です。

切る手術、輪ゴムの手術でも生活に復帰できる?

切る手術は注射に比べて痛みが強いため、痛み止めを飲んで元の生活に戻れることが多いです。痛みは個人差がありますが、手術の翌日以降から徐々に痛みが消えていきます。

 

外痔核はどのように手術する?

外痔核は放っておいても治りますが、中の血の塊を抜くことで手術が完了します。手術翌日の再診を必ず行いますが、術後もすぐに仕事や生活に復帰が可能です。

切れ痔はどのように手術する?

お尻の締まりが強く切れ痔を繰り返してしまう方は、お尻の筋肉を一部切り取り、お尻を緩める手術を行います。
切れ痔は手術を行うケースよりもお薬や生活習慣を直していただき、完治へ向かう患者様が多いです。

 

痔瘻はどのように手術する?

痔瘻の患者様の多くは「肛門周囲膿瘍」という症状で来院されます。肛門管内の小さな穴などから細菌が入り、肛門・直腸周囲が化膿した状態です。化膿した皮膚を切開して膿を取り出す方法で治療を行います。炎症が落ち着いた後に痔瘻を手術するかどうかを患者様に選択していただきます。

痔瘻の手術には

・痔瘻の穴にゴムを通す方法

・痔瘻の穴を切り開く方法

・痔瘻をくりぬく方法

の3つがあります。肛門周囲膿瘍の状態で来られる場合は、基本的に切るしか方法がありません。
炎症が落ち着いて痔瘻の道が残った状態に対しては、痔瘻ができる場所にもよりますが、「シートン法」というゴムを道にかけて徐々に縛っていき、少しずつ直していく方法があります。また、痔瘻でできた道を切り開くことで開放し、きれいにすることで治す方法、道自体をくりぬいてしまう方法があります。これら3つの方法は痔瘻ができた場所によってどの方法で治療を行うかが決まります。

 

術後に穴が残ったりしない?

切り開く手術法は、肛門の穴から道までを切るため、2つできてしまっている道を1つにする方法です。炎症が起こっているところは削り取り、あとは自分の治す力で元の肛門の形に戻していく方法です。くり抜く方法については、炎症を起こしている道は自然と治ることはないため、その箇所をくりぬいてきれいにすることで、そのあとは自分の力で閉じていきます。

 

痔瘻が治るまでにどのくらい期間がかかる?

痔瘻はできてしまう道の本数や、道の深さによってそれぞれ状態が異なります。人によりますが、基本的には治療に2~3か月以上はかかります。手術後も2~3週間に1度は来院いただき、再診が必要になります。

 

当院のドクター自身は痔瘻になったらどんな病院へ行く?

まず臨床肛門病学会や大腸肛門病学会の認定のあるクリニックであることを重視します。しっかりとした治療を受けたいからです。お尻の穴を見られる恥ずかしさもありますが、来院される患者の方は痛みでそれどころではない状態になってしまっています。

 

技術面ではどんな病院を選ぶ?

臨床肛門病学会や大腸肛門病学会の認定のあるクリニックであることを重視します。技術については、実際に処置を受けなければわからない部分もあります。また、技術だけでなく診察を担当するドクターの方との意思疎通がうまくできるかどうかという相性もあります。結局は症例数が多いクリニックを選ぶことがおすすめです。治療の経験が多いドクターほど、様々な状況に対応する力が高く、同じ痔瘻でも場所や道の数で異なる対処法に対応可能です。なかなか行ったことのない病院を様々調べてみても、なかなかわからないということも多いかと思います。客観的な情報として、手術を行った件数は信頼ができます。
当院も日帰りで手術を行うクリニックの中では多いほうだと思います。遠方から手術に来られる方もいらっしゃいます。
痔瘻の治療を日帰りで行っているクリニック、土日も行っているクリニックは多くないため、関東圏内や諸島部の方も来院されます。遠い方だと新潟から来院される方もいます。

 

オススメのクリニックの選び方は?

まず臨床肛門病学会や大腸肛門病学会の認定のあるクリニックであることを重視します。次に症例数の多いクリニックがおすすめです。医師の界隈でも、治療に行ったら顔見知りの先生だった・・・ということもあります。

 

痔になりやすい人の食生活とは?

痔になりやすい食習慣は、アルコール・タバコ・辛いもの・野菜を食べない・脂っこい食べ物ばかり食べる といった習慣です。
来院される方の中にも野菜を食べない方も多いです。また食事とは違いますが、座りっぱなしの方も多く、トラック運転手の方やタクシードライバーの方などが良く来院されます。

痔になりやすい人はどんな人?

基本的には便のトラブルを起こしている方が多く、痔瘻は下痢がちな方が多いです。また便秘の方はお尻に負担がかかり、便が硬く切れてしまうこともあります。いぼ痔や切れ痔のみという方より、両方持っていらっしゃる方が多いです。

 

痔の予防って何をすればいいの?

痔になる方は座りっぱなしの方が多いため、勤務中などでも少し歩く時間を取るなどの心がけが大切です。どの痔の種類であっても便秘が原因でお困りの方が多いため、食生活の改善からおすすめします。
取り組みやすいものとして、白米を主食として食べている方は雑穀米やライ麦パンなど、食物繊維が多く含まれる食事に変えてみることもオススメです。

日本人の3人に1人が痔

お尻が変だな、と感じたら一度肛門科を受診することがおすすめです。
お尻を見られたくない、恥ずかしいという気持ちが先に来てしまいとにかく我慢してしまう人が多いですが、我慢して症状がひどくなると治るまでの時間も長くなります。どんな疾患にも当てはまりますが、早いタイミングで対処法を聞いておくことで、その後も楽になります。