痔の治療で行くべきは病院?クリニック?

「痔かもしれない」と思ったとき、どの医療機関へかかればよいのか悩むことがあると思います。近所のクリニックがよいのか、少し遠いけど大きな病院へ行くべきか?なるべくなら、はじめにかかった医療機関でしっかり治療を終えたいですよね。
今回は、痔の症状で受診を考えた際に、どのような基準で医療機関を選べばよいのかについて解説します。

 

痔の診断・治療では何を重視すべきか?

痔の診断・治療をしてもらいたい場合、まずは「肛門科」、できれば「肛門外科」を掲げている医療機関を探しましょう。普段かかっているクリニックで、ついでに痔の薬ももらえたら便利ではあるのですが、「痔かと思っていたら、じつは大腸の病気があった」ということも少なくありません。「肛門科」で、一度は大腸の検査(大腸カメラ検査)もしておいた方が安心です。

 

「肛門外科」の方がよりよい理由としては、肛門がそもそも外科領域の臓器であることが挙げられます。痔には種類があり、軟膏で治る場合もあれば、外科的な処置が必要な場合もあります。「肛門内科」と掲げている病院もありますが、肛門内科では基本的に外科的な処置はおこなえません。外科の経験のある医師が在籍する医療機関であれば、必要なときにすぐに処置をしてもらうことができるでしょう。

 

外科的な処置をおこなっていない肛門科の場合は、必要に応じて別の医療機関へ紹介という形になります。二度手間になってしまう可能性があるので、選択肢がある場合は「肛門外科」を選ぶことをおすすめします。

 

クリニックを選ぶ1つの基準として、「臨床肛門病学会」に登録されている施設かどうかをみてみるのもよいでしょう。

年間に200例以上の痔の手術をおこなっている医療機関であることや、一定数の診察や手術経験があると認められた医師が在籍していることなど、条件をクリアした医療機関が登録されていますので、安心して痔の治療を任せることができます。

 

痔で受診したいと思ったら、「肛門科(選択肢があれば肛門外科)」を標榜しているかどうか、その医療機関が臨床肛門病学会の登録施設かどうかの2点を重視してみてください。

 

クリニックのメリット・デメリット

クリニックというのは、19人までの入院施設がある、または入院施設のない医療機関のことで、「クリニック・診療所・医院」といった施設名がついています。日本ではほとんどが入院施設のない医療機関のことです。

 

痔の場合、クリニックで十分な治療を受けられます。とくに、臨床肛門病学会に登録された医療機関であれば外科的な処置も可能ですので、より安心して受診することができるでしょう。

 

外科的な処置をした場合も、入院が必須というわけではありません。「点滴の痛み止めをしてもらえたら安心」とお感じになるかもしれませんが、ほとんどの場合、内服の痛み止めでも対応することができます。

入院することで仕事や家庭へ影響が出ることもあるため、日帰りできる手術は日帰りでおこなうのがよいのではないでしょうか。

 

もちろん、痔から重篤な感染症を起こした…などという事態になれば、専門的な治療ができる医療機関へ紹介し、そちらで入院という手間になってしまう可能性はあります。そうならないために、早いうちからの受診が大切です。

 

病院のメリット・デメリット

病院は、20人以上が入院できる医療機関を指します。

病院のメリットは、やはりいざという時に入院できることです。入院していれば、痛みやつらさにすぐに対応してもらえることや、自宅よりもゆっくり療養できるということもあり、「大きな病院にかかれば安心」と感じている方が多いかもしれません。クリニックでできる治療は、基本的に病院でもできます。

 

ですが、たとえば200人以上が入院できるような規模の大きな病院へ「紹介状」を持たずに受診すると、高額な選定療養費(2023年現在で7,000円以上)がかかります。国として、「基本的にまずはクリニックを受診する」ということを推奨しているためです。「入院が必要な状態の痔」というのはそれほど多くありませんので、いきなり大きな病院へ行く必要性は低いでしょう。

まずはクリニックへ行き、必要に応じて紹介状をもらって病院へ行くという流れがおすすめです。

 

まとめ

「痔かもしれない」と思ったら、まずは「肛門外科または肛門内科・肛門科」を掲げるクリニックを受診しましょう。お住まいの地域によっては、肛門を専門的に診療できるクリニックがない場合もあるかもしれません。そういった場合には、お近くの病院を受診してみてください。

あまり我慢して痔を悪化させてしまうと治療にも時間がかかりますので、早めに受診しましょう。