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2025.06.27

肛門機能を守る!痔瘻手術の種類とメリット・デメリット

痔瘻(じろう)は、肛門周囲に炎症が起こり、膿がたまったあとに瘻管(ろうかん)と呼ばれるトンネル状の通り道ができてしまう疾患です。完治には手術が必要で、主に4つの治療法があります。

それぞれの手術法には特徴やメリット・デメリットがあるため、手術を受ける前にしっかりと知識を持っておくことが大切です。

今回は、痔瘻の主な手術方法について、わかりやすくご紹介します!


① 開放術(かいほうじゅつ)

「開放術」は、痔瘻のトンネル(瘻管)を切り開いて排膿・治癒を促す方法です。

この治療法の最大の特徴は「根治性の高さ」。再発のリスクが低いため、多くの患者さんに選ばれています。

ただし、瘻管の位置によっては、肛門の筋肉(括約筋)を切開する必要があり、その影響で一時的に肛門の締まりが弱くなることもあるため、慎重な判断が求められます。


② くり抜き法

「くり抜き法」は、瘻管部分だけをきれいに取り除く手術です。

括約筋をできるだけ温存することができるため、排便機能への影響が少なく肛門機能を守る点が大きなメリットです。

ただし、完全に取り切れなかった場合は再発する可能性があるため、定期的なフォローが重要になります。


③ 括約筋温存開放術

括約筋温存開放術は、開放術とくり抜き法の“いいとこ取り”の治療法です。

筋肉を温存しながら、瘻管をしっかり除去することで、再発のリスクを減らしつつ、肛門の機能も守ることができます。

術後の生活の質(QOL)を重視したい方には、最もバランスの取れた方法といえるでしょう。


④ シートン法(Seton法)

「シートン法」は、瘻管にゴム紐や糸を通し、少しずつ締めていくことで安全に切開を進める方法です。

括約筋を一気に切らず、少しずつ段階的に治療していくため、筋肉の損傷を最小限に抑えることができます。

通常、1~2週間ごとに糸の締め直しを行いながら治療を続け、数ヶ月での完治を目指します。ただし、締め直しの際に多少の痛みや違和感を感じることがあります。


手術後の生活について

手術後は、日帰りで終わるケースもありますが、しばらくの間は通院が必要です。

また、術後は刺激物の摂取を避け、消化の良い食事を心がけることが、早期回復へのポイントです。

排便時の痛みや違和感がある場合もありますが、ほとんどは時間とともに軽減していきます。


まとめ

\ あなたに合った治療法を医師と一緒に選びましょう /

痔瘻の手術にはいくつかの選択肢があり、それぞれに特徴があります。

再発を防ぐために大切なのは、「自分の痔瘻の状態に合った手術法を選ぶこと」です。

不安や疑問があれば、遠慮せず医師に相談し、納得したうえで治療に臨みましょう。

しっかりと情報を持っておくことで、安心して手術を受けることができますよ😊

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。