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2025.06.28

お腹の不調が続く…もしかして潰瘍性大腸炎?早期発見と対処法

「お腹の不調が続く」「血便が出た」などの症状がある方、それはもしかしたら「潰瘍性大腸炎」かもしれません。

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は、大腸の内側にある粘膜に慢性的な炎症が起き、潰瘍やびらん(ただれ)を引き起こす病気です。炎症が続くことで腸の働きが乱れ、さまざまな消化器症状が現れます。

この病気は自己免疫の異常が原因と考えられており、近年、日本でも患者数が増加傾向にあります。原因がはっきりと解明されていないため、「指定難病」にも指定されています。


潰瘍性大腸炎の主な症状とは?

潰瘍性大腸炎は、症状の現れ方に個人差が大きく、軽度の方から重症の方までさまざまです。以下のような症状がみられた場合は、一度専門医の診察を受けることをおすすめします。

下痢

腸の炎症によって水分吸収がうまくいかず、何度もトイレに行きたくなるような下痢が起こります。時には一日に10回以上排便する方もいます。

血便

潰瘍ができて出血を伴うため、便に血が混ざる「血便」がよくみられます。鮮血が目に見えてわかることもあります。

腹痛

お腹の張りや鈍痛が続くことがあります。特に食後や排便前に痛みが強くなる傾向があります。

体重減少・倦怠感

栄養吸収の効率が悪くなるため、体重が減ったり慢性的なだるさを感じたりすることがあります。

発熱

炎症が強いときには、微熱から高熱が出ることもあります。


治療法について

潰瘍性大腸炎は根本的な完治が難しい病気ですが、症状をうまくコントロールしながら長く安定した生活を送ることは可能です。治療は大きく以下の2つに分けられます。

💊薬物療法

主に炎症を抑えるために使われる薬には、以下のようなものがあります。

  • ・5-ASA製剤(サラゾスルファピリジンなど)

  • ・ステロイド薬

  • ・免疫抑制剤

  • ・生物学的製剤(抗TNFα抗体など)

患者さんの症状や重症度に応じて、薬の種類や量を調整します。

🏥手術療法

薬の効果が得られない重症の方や、がん化のリスクが高い場合には、大腸の一部または全体を切除する手術を行うことがあります。


日常生活で気をつけたいこと

潰瘍性大腸炎と上手につきあうには、日々の生活習慣を整えることが大切です。

🥗食事管理
  • ・脂っこいもの、刺激の強いものは控える

  • ・消化に良いもの(おかゆ、柔らかく煮た野菜など)を中心に

  • ・食物繊維は摂り過ぎに注意(症状が落ち着いてから少しずつ)

🧘ストレス対策

ストレスが悪化の引き金になることも。

趣味の時間をつくる、十分な睡眠をとるなど、自分に合った方法でストレスを解消しましょう。


まとめ:潰瘍性大腸炎とうまく向き合うために

潰瘍性大腸炎は長く付き合っていく病気ですが、早期発見・早期治療によって症状を抑え、快適な日常生活を取り戻すことが可能です。

「最近お腹の調子がずっと悪いな…」と感じたら、無理せず専門医を受診し、自分の状態を正しく知ることから始めてみてください。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。