1. 中性脂肪が高いとどうなる?
中性脂肪は、私たちの体にとってエネルギーの貯蔵庫として重要な役割を果たす脂質です。しかし、この中性脂肪が血液中に過剰に増えてしまうと、動脈硬化のリスクが高まり、やがて心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気につながる恐れがあります。
また、長期間中性脂肪が高い状態が続くと、脂肪肝や**膵炎(すいえん)**を引き起こすこともあります。これらは命に関わる疾患の引き金になるため、軽く見てはいけません。
主な原因は、糖質やアルコールの摂りすぎ、運動不足、睡眠の質の低下、ストレスなど日常生活に潜んでいます。薬を使わなくても、まずは毎日の食生活を見直すことが最も効果的な第一歩です。
2. 食物繊維が豊富な食材を積極的に
中性脂肪をコントロールするために重要なのが、食物繊維の摂取です。食物繊維には、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあり、糖や脂肪の吸収を穏やかにする効果も期待できます。
特に、水溶性食物繊維は、中性脂肪や悪玉コレステロールの排出を促進するため、積極的に摂りたい栄養素です。
おすすめの食材は以下の通り:
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☑ オクラ、モロヘイヤ、海藻類
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☑ こんにゃく、納豆、りんご
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☑ 雑穀や押し麦入りのご飯
「毎食に野菜を1皿追加する」など、少しの意識で大きく変わることもあります。食物繊維は満腹感を得やすく、結果的に食べ過ぎの防止にもつながります。
3. 青魚やオリーブオイルがカギ
脂質の中には、健康に良いものもあります。特に青魚に多く含まれるEPAやDHAは、中性脂肪を下げる作用があることで有名です。
以下の魚を週に2~3回程度、意識して取り入れましょう:
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・サバ、イワシ、アジ、サンマ など
また、使う油にも注目です。バターやラードなどの動物性脂肪を控え、オリーブオイルや**菜種油(キャノーラ油)**などの植物性油脂を選ぶと、血液がサラサラになりやすくなります。
加えて、調理方法の見直しもポイントです。「揚げる」より「焼く」「蒸す」「煮る」を意識するだけで、余分な脂質をカットできます。
4. 白米や甘い飲み物に注意
中性脂肪を増やす最大の要因は、実は「糖質の摂りすぎ」です。
白米やパン、うどんなどの精製された炭水化物は、消化吸収が早く、体内で余った糖分が中性脂肪として蓄積されやすくなります。
さらに注意したいのが、清涼飲料水や砂糖入りの缶コーヒーなど、液体で摂る糖分です。甘い飲み物は血糖値を急激に上昇させ、インスリンの分泌を活発にして脂肪合成を進めてしまいます。
代替策としては:
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・白米を玄米や雑穀米に
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・飲み物はお茶・水・無糖コーヒーに
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・おやつはフルーツやヨーグルトなど低GI食品に置き換える
小さな選択が、大きな健康改善につながります。
5. 続けられる食事習慣の工夫
どんなに体に良い食事でも、続けられなければ意味がありません。
おすすめは、無理のない範囲で「少しずつ変える」こと。
たとえば:
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『ご飯の量を少し減らして、その分野菜を増やす』
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『肉の頻度を減らして、青魚の頻度を増やす』
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『外食でも、油っぽいものより焼き魚定食を選ぶ』
さらに、軽い運動を取り入れると相乗効果が期待できます。ウォーキングやストレッチなど、習慣化しやすい動きから始めましょう。
「食事+運動」のバランスが、中性脂肪の改善を自然にサポートしてくれます。
まとめ
中性脂肪を減らすには、まず毎日の食事内容を見直すことが基本です。
青魚や野菜、食物繊維、良質な油を意識して取り入れ、糖質や甘い飲み物の摂取を控えましょう。
無理な制限をするよりも、続けられる習慣をコツコツ積み重ねていくことが大切です。当院では、管理栄養士による食事指導や健康相談も行っています。ご自身の体質や生活スタイルに合ったアドバイスをご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。