1. 大腸カメラはなぜ必要なのか?
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、がんやポリープなどの病変を早期に発見し、治療につなげるための非常に重要な検査です。近年、大腸がんは日本人のがん罹患数・死亡数ともに上位を占めており、もはや他人事ではありません。
この検査の大きな利点は、ポリープなどの“前がん病変”をその場で切除できる点にあります。つまり、大腸カメラは「がんの早期発見」だけでなく「がんの予防」にもつながる画期的な手段なのです。
また、便潜血検査では見逃されやすい小さな病変や出血のないポリープも、大腸カメラなら高精度に見つけることが可能です。症状がないうちに異常を察知できる、数少ない手段と言えるでしょう。
2. 推奨される検査開始年齢とは?
一般的に、大腸カメラは40歳を過ぎたら一度は受けておくべき検査とされています。というのも、40代以降になると、大腸ポリープや初期がんの発見率がぐっと上がるためです。
とくに男性では、40代前半ですでにポリープが見つかるケースもあり、「自覚症状がまったくなかった」という声も少なくありません。検診で便潜血が陰性だったとしても、内視鏡でポリープが見つかることはよくある話です。
初回検査で問題がなければ、安心して数年間過ごせますし、逆にポリープが見つかれば、その場で切除することで将来のリスクを大きく減らすことができます。
3. 家族歴がある場合はどうする?
もしご家族に大腸がんの既往歴がある場合は、通常よりも早めの検査開始がすすめられます。とくに、親や兄弟が50歳未満で大腸がんを発症している場合、そのリスクはさらに高くなります。
このようなケースでは、30代からの大腸カメラを検討する必要がある場合もあります。これは「家族性大腸腺腫症」や「リンチ症候群」など、遺伝的な疾患の影響を考慮してのものです。
大腸がんは、早期発見さえできれば治癒が期待できる病気です。リスクがある方こそ、定期的な内視鏡検査によるスクリーニングが欠かせません。不安がある方は、ぜひ医師に相談してみてください。
4. 症状がなくても検査すべき?
「調子が良いから検査の必要はない」と思いがちですが、実際には大腸ポリープや早期がんは無症状のことが多く、症状が出た時には進行しているケースもあります。
以下のような方は特に注意が必要です:
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「健診で便潜血が陽性になった」
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「最近、便が細くなったり、色が黒ずんでいる」
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「下痢と便秘を繰り返している」
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「お腹の張りや違和感が続いている」
これらは、見逃してはいけないサインかもしれません。また、症状がなくても40歳を過ぎたら一度検査を受けるのが理想的です。
なお、症状がない場合の大腸カメラは健康診断と同様、自費診療となることが多いですが、「将来への安心感を得る手段」として、検討する価値は十分にあります。
5. 大腸カメラを受けるタイミングと頻度
大腸カメラは一度受けて終わりではありません。次の検査時期は、初回の結果によって大きく異なります。
検査結果 | 次回検査の目安 |
異常なし(ポリープなし) | 約2年後 |
小さなポリープを切除 | 約1年後 |
複数のポリープ、または異型性あり |
半年~1年後 |
当院では、患者様のリスクや検査結果に応じて、最適な検査スケジュールをご提案しています。「初めてで不安」「どのタイミングが良いかわからない」といったご相談も、いつでもお気軽にどうぞ。
【まとめ】
大腸カメラは、大腸がんやポリープを早期に発見・治療できる、非常に有効な検査です。40歳を過ぎたら一度受けておくことが推奨されており、家族歴がある方はさらに早期の検査が望まれます。症状がなくても油断せず、定期的な検査を通して、将来の健康をしっかり守りましょう。当院では安心して受けられる環境を整えておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。