ブログ

2025.07.07

肛門の悩みをひとりで抱えないで。専門医が教える正しい向き合い方

1. 肛門疾患の種類と特徴

肛門のトラブルにはいくつかの種類があります。

もっともよく知られているのが「痔(じ)」ですが、実は痔には3つのタイプがあるのをご存知ですか?

  • ・いぼ痔(痔核):肛門周辺の血管が腫れてできるもの。内痔核と外痔核があり、出血や違和感、痛みの原因となります。

  • ・切れ痔(裂肛):排便時の強い力みによって肛門の皮膚が裂け、強い痛みや出血を伴います。

  • ・痔ろう(あな痔):細菌感染によって肛門周囲に膿がたまり、皮膚にトンネルのような管ができる病気です。

これらは一時的な不快感にとどまらず、放置すると手術が必要になることも。早めに気づいて対処することが大切です。


2. 症状から考える受診のタイミング

「お尻から出血があったけど、痔だろうから放っておこう…」と考えてしまう方も多いですが、実はそれが危険です。

肛門疾患の代表的な症状には以下のようなものがあります:

  •  ☑ 排便時の出血

  •  ☑ 肛門の痛み、かゆみ、腫れ

  •  ☑ 肛門周囲の違和感やしこり

  •  ☑ 下着が汚れる、膿が出る

特に、出血が繰り返す、痛みが強い、膿が出るなどの場合は、肛門以外の病気が隠れていることもあるため、すぐに専門医を受診しましょう。症状が軽くても、生活の質の向上のためには、早期の対処が有効です。


3. 診断と治療の流れ

肛門疾患の診断では、まず問診で症状や生活習慣を確認し、続いて視診・触診・必要に応じて内視鏡検査を行います。検査自体は短時間で済み、多くの場合、その日のうちに診断結果をお伝えできます。

治療法は症状の程度に応じて以下のように選択されます:

  • 1 . 保存療法(坐薬・軟膏、食事指導、生活習慣の見直し)

  • 2 . 外科的治療(日帰り手術)

当院では、患者様のご希望やライフスタイルを考慮し、できるだけ負担の少ない方法をご提案しています。


4. 日帰り手術のメリットと注意点

「手術」と聞くと不安になるかもしれませんが、現在は日帰りでできる肛門手術も増えています。

当院で行っている日帰り手術の例は以下の通りです:
  • ・痔核へのジオン注射療法(ALTA療法)

  • ・切れ痔・痔ろうの手術

日帰り手術のメリットは、
  • ・入院の必要がなく、すぐに日常生活に戻れる

  • ・身体への負担が少なく、高齢者にも安心

  • ・医療費が抑えられる

ただし、術後はしばらく安静が必要で、医師の指示に従って生活面での注意が求められます。術後のフォローアップもしっかりと行いますのでご安心ください。


5. 再発予防と日常生活でのケア

せっかく治療しても、生活習慣が変わらなければ再発のリスクは残ります。

再発を防ぐために、以下の点に気をつけましょう:

  • 食事:食物繊維を多く含む野菜・果物、発酵食品を積極的に。水分もしっかり補給しましょう。

  • ・排便習慣:便意を我慢しない。トイレに長時間こもらない。

  • ・運動:座りっぱなしを避け、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を日課に。

  • ・ストレスケアと睡眠:心と体の健康は腸の働きにも影響します。

これらの基本を守ることで、再発リスクを大きく下げることができます。


まとめ

肛門疾患は「恥ずかしいから」と放置せず、早期に正しく向き合うことで、治療の負担を軽減でき、再発も予防できます。当院では、日帰り治療や生活指導を通じて、患者さま一人ひとりに合ったケアを提供しています。

「最近、排便時に違和感がある」「なんとなく気になる症状がある」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。肛門の健康は、日常の快適さと密接に関係しています。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。