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2025.07.11

下腹部の痛みは危険信号?考えられる原因と受診の目安

「なんとなくお腹が痛い」「しばらくしたら治るかも」と思って、つい我慢してしまいがちな下腹部の痛み。ですが、その痛み、もしかすると重大な病気のサインかもしれません。

下腹部には、消化器・泌尿器・生殖器といったさまざまな臓器が集まっているため、原因は実に多岐にわたります。本記事では、主な原因、痛む場所による違い、性別による傾向、受診の目安、そして当院での診療体制について詳しく解説します。


1. 下腹部痛の主な原因とは?

下腹部に痛みを感じるとき、まず考えるべきはどの臓器に問題があるかです。主に以下の3つが関係しています。

■ 消化器系の病気
  • 過敏性腸症候群(IBS):ストレスや生活リズムの乱れで腸が敏感に反応し、便秘や下痢、ガスが溜まる不快感を伴います。若年層にも多くみられる疾患です。

  • 大腸炎・大腸憩室炎:腸に炎症が起きることで腹痛や発熱、下痢などが起こります。

  • 便秘:腸内に便が溜まり、圧迫感や痛みが生じます。

■ 泌尿器系の病気
  • 膀胱炎:特に女性に多く、排尿時の痛み、頻尿、残尿感などが特徴。

  • 尿路結石:強い痛みが特徴で、腰や背中、下腹部にまで放散することもあります。

  • 腎盂腎炎:発熱や背中の痛み、排尿障害を伴う腎臓の感染症です。

■ 婦人科・男性特有の疾患
  • 女性:子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫など。月経との関連性もあります。

  • 男性:前立腺炎や精巣の炎症など、排尿障害や会陰部の痛みを伴うことも。

これらの症状は自己判断で放置すると悪化する可能性があるため、軽く見ずに対応することが大切です。


2. 痛みの「左右差」で見えてくる疾患のヒント

下腹部痛は、左右どちらに痛みがあるかによっても考えられる病気が異なります。

■ 右下腹部が痛い場合
  • 虫垂炎(盲腸):初期はみぞおち付近の鈍痛から始まり、次第に右下腹部に痛みが移動。発熱や吐き気を伴う場合もあります。

  • 卵巣出血・卵巣嚢腫(女性):右側の卵巣に問題があると、排卵時や月経期外の痛みが出ることがあります。

  • 尿路結石:右側の腎臓や尿管に結石があると、腰から下腹部にかけて激しい痛みを引き起こします。

■ 左下腹部が痛い場合
  • 大腸憩室炎:高齢者に多く、左下腹部に強い痛みと発熱を伴います。

  • 便秘やガス滞留:腸の働きが鈍ることで左下腹部に違和感が出ることがあります。

  • 左側の卵巣・卵管の異常:子宮内膜症や卵巣腫瘍などの可能性も考えられます。

痛みの部位とその特徴を把握し、受診時に伝えることで、より正確な診断につながります。


3. 性別によって異なる下腹部痛の原因

下腹部痛の原因は、性別によっても大きく異なります。

■ 男性の場合
  • 前立腺炎:感染やストレスが原因で前立腺が炎症を起こし、下腹部や会陰部に痛みが生じます。

  • 尿道炎、精巣上体炎:排尿時の違和感や睾丸付近の痛みを伴います。

■ 女性の場合
  • 子宮内膜症:強い月経痛に加え、月経周期とは関係のない慢性的な下腹部痛が特徴です。

  • 子宮筋腫:腫瘤の大きさによって痛みや圧迫感、月経過多が現れます。

  • 卵巣嚢腫:破裂やねじれを起こすと、激痛や緊急対応が必要となることもあります。

  • 子宮外妊娠:片側の激しい痛みと不正出血があり、命に関わる緊急事態です。

自分の性別に特有の疾患リスクを知っておくことで、早期受診と正確な治療につながります。


4. 受診すべきタイミングと注意したい症状

「少し痛いだけだから…」と放っておくと、病気が進行してしまうこともあります。以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関へご相談ください。

  • 徐々に痛みが強くなる、または突然激しい痛みが出る

  • 発熱、寒気、吐き気、嘔吐がある

  • 排尿時に痛み・血尿・頻尿などの異常がある

  • 数日以上続く便秘や下痢、血便が出る

  • 月経周期と関係のない出血や痛み(女性)

これらは、虫垂炎、憩室炎、尿路結石、婦人科系疾患など、緊急治療が必要なケースもあります。

症状が軽くても繰り返す場合や、生活に支障をきたすようなら一度受診しましょう。


5. 当院での診療体制

当院では、下腹部痛でお困りの患者さまに、丁寧で迅速な診療を行っています。

  • ・詳細な問診を通じて症状や背景を丁寧に把握

  • ・必要に応じて、血液検査・尿検査・腹部エコー・内視鏡などを組み合わせて診断

  • ・診断結果に応じて、適切な治療・お薬の処方・生活指導を行います

また、WEB予約や当日受付も対応しており、忙しい方にも通いやすい体制を整えています。症状に不安がある方は、お気軽にご相談ください。


まとめ

下腹部痛は、身近ながらも軽視できない症状です。

原因は非常に多様で、消化器・泌尿器・婦人科・前立腺など、多くの疾患が関わっている可能性があります。

痛みの位置や性質、伴う症状をよく観察し、少しでも気になる場合は自己判断せず、医師の診察を受けることが何よりも大切です。

気になる症状がある方は、我慢せず、早めの受診で安心を手に入れましょう。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。