「あれ？便の色がいつもと違う…」そんな経験はありませんか？特に黒い便が出ると、不安になる方も多いでしょう。
黒い便は食事や薬の影響で一時的に起こることもありますが、時には重大な病気のサインであることもあります。
この記事では、黒い便の原因や見分け方、対処法について詳しく解説します。健康管理の一環として、ぜひ参考にしてください。
1. 黒い便とは？正常な便との違い
通常、健康的な便はバナナのような形で、茶色から黄土色をしており、排便もスムーズです。
しかし、黒くてドロドロとした粘性の高い便、いわゆる「タール便」は注意が必要です。
タール便は、コールタールのように真っ黒で粘り気があり、独特の臭いが強いのが特徴です。
便器の水に溶けにくく、トイレットペーパーにこびりつくこともあります。こうした性状は、上部消化管からの出血が原因で起こることが多く、体の重要なサインです。
排便時の痛みや不快感を伴うこともあり、複数回続く場合は特に早急な対応が求められます。
2. 黒い便の主な原因
黒い便の原因は大きく分けて「病気によるもの」と「日常生活によるもの」に分かれます。
病気による黒い便は、胃や十二指腸などの上部消化管からの出血が原因となります。
血液が消化液と混ざり合うことでタール便が生じ、これには胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がん、食道静脈瘤などの疾患が含まれます。
特に腹痛やめまいが伴う場合は緊急の受診が必要です。
一方で、イカ墨や海藻類などの食材、鉄剤などの薬の影響で黒くなることもあり、これらは一時的な変化なので慌てる必要はありません。食べたものや服用薬を思い返し、心当たりがない場合は医療機関に相談しましょう。
3. 注意が必要な症状と関連する病気
黒い便だけでなく、次のような症状がある場合は特に注意が必要です。
みぞおちの痛み、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱、食欲不振、体重減少、食べ物がつかえる感じ、声のかすれ、咳などです。
これらは胃潰瘍や食道がん、胃がん、食道静脈瘤などの可能性を示しています。
初期段階では症状が目立たないこともあるため、気になる症状が続く場合は早めの検査が重要です。
4. 受診のタイミングと検査方法
黒い便が出た場合、特に以下の症状がある時は早急に医療機関を受診してください。
腹痛、めまい、吐き気、嘔吐、食欲低下、体重減少、発熱などです。
これらは上部消化管出血の可能性が高く、胃カメラ検査で詳しく診断します。胃カメラ検査は鎮静剤を用いて眠った状態で受けることができ、苦痛が少ないのが特徴です。当院では、こうした検査を安心して受けられる環境を整えています。
早期発見・早期治療で多くのケースは改善が期待できます。
5. 日常生活での予防と対策
黒い便を予防するためには、日々の生活習慣が大切です。
バランスの良い食事を心がけ、過度のアルコール摂取や刺激物は控えましょう。
ストレスをためないことや十分な睡眠も消化器の健康維持に役立ちます。
また、非ステロイド性消炎鎮痛剤（NSAIDs）やステロイド薬の使用は胃粘膜を傷つけることがあるため、医師の指示に従って正しく服用してください。
定期的な健康診断や内視鏡検査で異常を早期に発見し、適切な対応を取ることも重要です。
まとめ
黒い便は、食事や薬の影響で一時的に起こることもありますが、特に粘度の高いタール便や他の症状を伴う場合は、重大な病気の可能性があります。早めの受診と適切な検査、そして日常生活での予防が消化器系の健康を守る鍵となります。気になる症状があれば、専門医に相談しましょう。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
