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2025.07.15

痔瘻(じろう)とは?お尻の不快感を放置すると危険な理由

「お尻に違和感がある」「座るとムズムズして落ち着かない」「腫れが続いている気がする」

こんな症状を感じているのに、なかなか病院に行けずに悩んでいませんか?

お尻のトラブルは恥ずかしさから相談しにくいと思われがちですが、放っておくことで症状が悪化してしまうことがあります。

特に「膿が出てきた」「痛みが強くなってきた」という場合には、「痔瘻(じろう)」という病気の可能性があります。

痔瘻は自然に治ることがほとんどなく、適切な治療を受けなければ慢性化や再発を繰り返してしまいます。このページでは、痔瘻の原因や症状、治療法までをわかりやすくご紹介します。


1. 痔瘻とは?—お尻の中にできる“トンネル”のような病変

痔瘻(じろう)は、肛門のまわりに「瘻管(ろうかん)」と呼ばれるトンネル状の通り道ができてしまう病気です。

はじまりは「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」という膿が溜まった状態で、これは肛門の周囲に細菌が感染して炎症を起こすことで発生します。

この膿が自然に破れたり切開されると、皮膚と肛門の間に通路(瘻管)ができ、これが痔瘻です。

この瘻管は自然にはふさがりにくく、膿が繰り返し出たり、痛みが続いたりします。炎症が慢性化し、瘻管が枝分かれしてしまうと、治療も複雑になってしまうため、早期の対応が重要です。


2. 見逃さないで!痔瘻の主な症状

痔瘻の症状は人それぞれ異なりますが、次のようなサインには注意が必要です。

  • 肛門のまわりが腫れて痛む

  • 腫れた部分が破れて膿が出る

  • 肛門の近くに小さな穴が開いているような感じがする

  • 下着が汚れるほどの膿や分泌物が続く

  • かゆみ、発熱、倦怠感を伴うことも

「腫れが破れて膿が出たから治った」と思っても、それは瘻管ができたサインかもしれません。自然治癒は望めないため、症状が軽いうちに専門医を受診することが大切です。


3. なぜ痔瘻になるの?—原因と進行のしくみ

痔瘻の多くは、肛門内の「肛門腺」に細菌が感染することで発症します。

この腺は便をスムーズに排出するために分泌液を出していますが、便の中の細菌が入り込むと感染しやすくなります。

便秘や下痢などで肛門に負担がかかると、炎症が進行し、膿瘍となり、やがて皮膚と肛門の間に瘻管が形成されます。

さらに、瘻管が複雑に枝分かれする「複雑痔瘻」となると、手術の難易度も高くなります。

まれではありますが、痔瘻を長年放置することで「痔瘻がん」に進行するケースも報告されています。軽く見ずに、早めに対処することが大切です。


4. 痔瘻の治療法—根本的に治すには手術が必要

痔瘻は残念ながら薬だけでは治せません。根本治療のためには外科的な処置が必要です。

主な治療法には以下があります。

  • 切開開放術:瘻管を切って開放し、自然に治癒させる方法

  • くり抜き術:瘻管をくり抜き、縫合して閉じる方法

瘻管の形状や場所、患者さんの体調によって適した術式が選ばれます。近年では肛門括約筋をなるべく温存し、術後の排便機能に配慮した手術が主流です。

当院では、痔瘻の症例に応じて日帰り手術にも対応しており、入院の負担が少ない点も特徴です。


5.まとめ

\ 恥ずかしがらずに受診を!あなたの快適な毎日のために /

肛門のトラブルは人に言いづらく、病院に行くのをためらってしまう気持ちはよくわかります。

しかし、痔瘻は放っておくと悪化してしまい、治療が長引いたり、痛みが強くなることがあります。

肛門疾患に慣れた専門医は、日々多くの患者さんを診ています。恥ずかしいと感じる必要はありません。

女性の方には女性スタッフが同席するなど、プライバシーにも十分配慮しています。

不安な症状に気づいたら、「恥ずかしいから…」ではなく、「早めに治そう」の気持ちで受診することが、早期回復への第一歩です。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。