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2025.07.17

下腹部の違和感、放置していませんか?—見逃しがちなサインと原因とは

「お腹が重たい感じがする」「痛いわけではないけれど、何か変…」

そんなはっきりしない下腹部の違和感に心当たりはありませんか?

明確な痛みではないため、つい放置してしまいがちですが、その違和感は身体が発している“注意信号”かもしれません。

特に、消化器の病気は初期症状が曖昧なことが多く、気づいたときには進行しているケースもあります。

この記事では、消化器内科の視点から「下腹部の違和感」が起こる原因や見極めのポイント、受診のタイミング、予防方法まで、わかりやすくご紹介します。


1. 下腹部に「違和感」が出るとき、体の中では何が起きている?

「違和感」は「痛み」とは違い、「重だるい」「張っている」「圧迫される感じがある」といった、曖昧な不調として現れます。

その背景には、以下のような状態が考えられます。

  • 腸の動きが鈍ってガスがたまる

  • 軽い炎症や消化不良

  • 腸内環境の乱れによる便秘

  • 女性の場合、月経周期に伴う子宮や卵巣の変化

便秘や過敏性腸症候群(IBS)などの比較的身近な疾患から、腸炎、憩室症、さらには大腸がんのような重大な病気が隠れていることもあります。

「病気とは限らない」と軽視せず、症状が続いたり強くなってきた場合は受診を検討することが大切です。


2. 「痛み」と「違和感」の違いとは?放置しないための見極めポイント

下腹部の「痛み」は、ズキズキ・キリキリなど明確な刺激を伴い、位置や持続時間がはっきりしています。

一方、「違和感」は、「なんとなく変な感じがする」「腸が詰まっている感じ」「張っている」といった、つかみどころのない感覚です。

このような違和感を放置してしまうと、知らないうちに症状が進行し、やがて痛みに変わることもあります。

特に注意したいのは、次のようなサインが出てきたときです:

  • 排便のリズムが乱れている

  • 食後にお腹が張る

  • お腹にガスがたまりやすい

  • 違和感が1週間以上続いている or 繰り返している

こうした変化に気づいたら、消化器内科での診察を受けることが勧められます。


3. 消化器内科でよく見る「下腹部の違和感」の主な原因とは?

実際にクリニックでよく診る原因を挙げると、以下のようなものがあります。

● 便秘

食物繊維や水分の不足、運動不足などが原因で便秘が起きると、腸内に便やガスがたまり腸が膨張し、下腹部に不快感が出ます。

● 過敏性腸症候群(IBS)

ストレスや自律神経の乱れが関係し、腸が敏感に反応することで下腹部の張り感、便通異常(下痢や便秘)、腹部不快感を引き起こします。検査で異常がないことを確認してから診断される「除外診断」です。

● 軽度の腸炎や大腸憩室症

腸の一部に炎症が起きたり、腸壁に小さなくぼみ(憩室)ができることで、違和感や張りが生じます。

● ポリープや腫瘍

ごく初期の段階では痛みもなく、「何となく変」という感覚のみのことも。精密検査が必要なケースもあるため、違和感は軽視できません


4. 下腹部の違和感が続くとき、どんな検査をするの?

症状の原因を明らかにするには、適切な検査が欠かせません。

 問診と視診

生活習慣や排便状況、既往歴、症状のタイミングなどを丁寧に聞き取り、診察を行います。

腹部超音波(エコー)

腸のガスのたまり、腸管の動き、腫瘤の有無などを、体に負担なく調べられます。

血液検査

炎症の有無、貧血、栄養状態、感染の兆候などをチェックします。

大腸内視鏡検査(必要に応じて)

ポリープや大腸がんなどの重篤な疾患を否定するために、精密検査として内視鏡検査を行うことがあります。

消化器疾患の早期発見のためにも、「気になるけど大したことないかも…」と様子を見続けるより、一度検査で安心を得ることが大切です。


5. 下腹部の違和感を防ぐためにできる生活習慣とは?

違和感を予防・軽減するには、日常の習慣改善がとても有効です。

  • ・食物繊維をしっかりとる(野菜・海藻・豆類・果物)

  • ・水分を1.5~2リットル程度しっかり補給

  • ・ウォーキングや軽い運動を習慣にする

  • ・ストレスをためず、質の良い睡眠を確保する

腸は“第二の脳”と呼ばれ、ストレスに敏感な臓器です。心と体の両面からケアすることが、違和感のない快適な日常につながります。


まとめ

\ 違和感を「軽い症状」と見逃さず、早めの対処を /

下腹部の違和感は、体からの重要なサインかもしれません。

ちょっとした便秘やストレスが原因のこともありますが、背景に病気が潜んでいる可能性もあります。

「痛みじゃないから大丈夫」と自己判断せず、違和感が続くときや気になる変化があるときには、消化器専門医の診察を受けましょう。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、患者さま一人ひとりの症状に寄り添い、安心できる診察と適切な検査・治療をご提供しています。

気になる症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。