「最近、便通が安定しない」「便秘と下痢を交互に繰り返している気がする」——そんなお腹の不調、放置していませんか?
一見、体調や食生活のせいかと思われがちなこの症状。ですが、長引くようであれば腸の異常や疾患が関係している場合もあります。
本記事では、便秘と下痢を繰り返す原因や考えられる病気、検査・治療法、そして予防法まで、専門的な視点から詳しく解説します。
1. なぜ便秘と下痢が繰り返されるのか?
便秘と下痢を交互に繰り返す原因は、腸の運動や水分吸収のバランスが崩れているためです。
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便秘は腸の動き(ぜん動運動)が低下し、便が腸内に長くとどまることで起こります。
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下痢は逆に腸の運動が過剰になり、水分が十分に吸収されないまま排出される状態です。
ストレスや不規則な生活習慣、自律神経の乱れが腸に影響し、このような状態を引き起こします。
また、腸に硬い便がたまり、その周囲を軟便がすり抜ける「便塞栓型便秘」も、便秘と下痢を繰り返すような症状の一因です。
2. 疑うべき病気とは?考えられる疾患と特徴
便秘と下痢の繰り返しには、以下のような病気が隠れている可能性もあります。
過敏性腸症候群(IBS)
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器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛や便通異常(便秘・下痢)が慢性的に起こる病気です。
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ストレスや不安が大きく影響し、神経質な方や真面目な方に多い傾向があります。
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通勤・通学などの緊張する場面で悪化し、リラックス時に軽快することも特徴です。
大腸がん
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特にS状結腸〜直腸のがんでは、便の通過障害により、便秘と下痢が交互に現れることがあります。
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血便、便が細くなる、腹痛、膨満感、体重減少などの症状を伴うこともあります。
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症状が出るころには進行しているケースも多く、早期発見が極めて重要です。
気になる症状が続く方は、自己判断せず、内視鏡検査を含めた精密な診断を受けましょう。
3. どんな検査で原因がわかる?診断と治療の流れ
以下のような検査が、便通異常の原因を明らかにするうえで役立ちます。
問診
症状の出方や頻度、食生活、ストレス状況などを丁寧に確認します。
腹部レントゲン検査(単純X線)
腸にたまったガスや便の状態を確認し、閉塞や機能低下が疑われるかどうかを調べます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
ポリープ、炎症、腫瘍などを直接観察でき、病変の早期発見に最適です。
便秘や下痢が続く方には、一度は受けていただきたい検査です。
4. 予防するには?生活習慣の見直しがカギ
便秘や下痢を繰り返さないためには、腸に優しい生活を送ることが大切です。
食事
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・野菜・果物・海藻・納豆など、水溶性食物繊維を多く含む食材を意識して摂る
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・ヨーグルトや味噌など、腸内環境を整える発酵食品を取り入れる
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・水分はこまめに補給(1日1.5〜2リットルを目安)
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運動
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・腸の動きを助けるため、ウォーキングやストレッチを習慣にしましょう。
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・長時間座りっぱなしを避け、軽い動きでも腸は活性化します。
ストレスケア
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・腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、自律神経の影響を受けやすい臓器です。
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・睡眠、入浴、趣味の時間など、リラックスする習慣を大切に。
排便習慣
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・「トイレに行く時間」を毎日決めておくことで、腸のリズムが整いやすくなります。
5. まとめ:症状を放置せず、早めの相談を
便秘と下痢を交互に繰り返す症状は、ただの一時的な体調不良とは限りません。
過敏性腸症候群のような機能性疾患から、大腸がんなどの重大な病気まで、幅広い可能性があるからこそ、放置せずにしっかりと向き合うことが大切です。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、消化器内科専門の医師が、丁寧な診察と内視鏡検査による的確な診断を行っています。
「最近お腹の調子が落ち着かない…」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。腸の健康を守ることが、あなたの毎日の生活をより快適にします。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。