「お腹がズキッと痛む」「いつもの腹痛とちょっと違う気がする」——そんな経験はありませんか?
腹痛は日常的によくある症状のひとつですが、中には重大な病気のサインとなるケースもあります。特に「刺すような鋭い痛み」が突然現れた場合は、慎重な対応が必要です。
この記事では、腹痛の種類や原因、受診の目安、検査方法までを詳しく解説。放置せず、早めに対処することが健康への第一歩です。
1. 腹痛の種類を知ることで原因が見えてくる
腹痛にはいくつかのタイプがあり、それぞれ感じ方や原因が異なります。
● 内臓痛(鈍い痛み)
腸や胃が収縮・膨張した際に感じる痛み。
「お腹全体が重い」「しくしく痛む」といった漠然とした感覚で、便秘や過敏性腸症候群などが原因のことが多いです。
● 体性痛(鋭い刺すような痛み)
腹膜や筋膜が刺激されることで生じる痛み。
「場所がはっきりしていて、刺すように痛い」のが特徴です。虫垂炎や胆のう炎、尿路結石などが原因となることもあります。
● 関連痛(他の場所からの痛み)
例えば心臓の異常が肩に痛みとして現れるように、腹部の痛みが本来の部位以外に感じられるケースです。
これらの区別は診断の手がかりになります。ご自身の痛みの特徴をよく観察することが大切です。
2. 腹痛の原因となる主な病気
腹痛を引き起こす疾患は多岐にわたります。特に「刺すような鋭い痛み」がある場合は、次のような疾患が疑われます。
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虫垂炎(盲腸):右下腹部に急激な痛みが生じ、時間とともに強くなります。放置すると破裂するリスクがあります。
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胆石・胆のう炎:右上腹部やみぞおちに強い痛み。脂っこい食事の後に起こりやすいです。
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尿路結石:腰から下腹部にかけて激しい刺すような痛みが走ります。血尿を伴うこともあります。
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胃潰瘍・十二指腸潰瘍:みぞおちの鋭い痛み。空腹時や夜間に悪化することが多く、出血を伴うことも。
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大腸憩室炎:左下腹部の痛みと発熱が特徴で、腸の壁にできた小さな袋(憩室)が炎症を起こします。
痛みだけでなく、発熱、吐き気、血便などの「付随する症状」もあれば、速やかに医療機関を受診するべきです。
3. 痛みの原因を調べる検査とは?
腹痛の原因を特定するためには、以下のような検査が行われます。
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胃カメラ(上部内視鏡検査):胃や十二指腸の状態を観察し、潰瘍や炎症、腫瘍の有無を確認します。
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大腸カメラ(下部内視鏡検査):大腸全体を詳しく観察し、ポリープやがん、炎症性腸疾患の有無を調べます。
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腹部超音波(エコー)検査:胆のう、肝臓、膵臓などの臓器の状態を非侵襲的に確認します。
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血液検査:炎症や感染、貧血、内臓機能の異常がないかをチェックします。
患者様の症状や体調に応じて、適切な検査を組み合わせて行うことが診断のカギとなります。
4. ストレスと腹痛の意外な関係
腹痛の背景には、「ストレス」や「自律神経の乱れ」が隠れていることもあります。
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過敏性腸症候群(IBS):ストレスや緊張がきっかけとなり、便秘と下痢を繰り返す病気。腹痛も伴います。
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機能性ディスペプシア:胃の不快感や痛みがあるものの、検査で異常が見つからない状態。
ストレス管理のためには、適度な運動や趣味、十分な睡眠、リラックスできる時間を意識的に確保しましょう。
5. 腹痛が続く場合の対処法と受診のすすめ
腹痛が続いていたり、「いつもと違う」と感じたときは、以下を参考に行動してください。
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自己判断せず医療機関へ:3日以上痛みが続く、繰り返す、強くなるなどの症状があれば、専門の診察を受けましょう。
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食事内容を見直す:脂っこいものや刺激物を控え、規則正しくバランスの良い食事を。
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体を休める:ストレスや過労も腹痛の原因に。ゆっくり休息を取りましょう。
まとめ
当院では、内視鏡検査をはじめとする専門的な検査を通じて、腹痛の原因を正確に診断しています。
鎮静剤を使った苦痛の少ない検査で、初めての方にも安心して受けていただけます。
腹痛に悩んでいる方は、我慢せずお気軽にご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。