突然、吐いたものに血が混じっているのを見て、驚いた経験はありませんか?
吐血は見た目のインパクトが強いため、とても不安になる症状の一つです。しかし、その原因は身近なものから命に関わる重篤な病気まで多岐にわたります。早めに正しい知識を持ち、適切な対処をすることが重要です。
今回は、吐血とはどのような症状なのか、そのメカニズムから、主な原因、そして症状が起こった際の対処法や検査、治療の流れまでわかりやすく解説します。もし「吐血の症状があってどうしたら良いかわからない」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
1. 吐血とは?その仕組みを詳しく解説
吐血とは、食道や胃、十二指腸といった消化管の上部からの出血によって、口から血が混じった吐瀉物が出る症状を指します。出血の量や場所によって、吐く血の色や状態は異なります。
例えば、鮮やかな赤色の血が吐き出される場合は比較的新しい出血を意味し、緊急性が高いこともあります。一方で、黒っぽくコーヒーの粉のような色をした吐血は、胃酸と反応して血液が変色したもので、出血が少し時間を経ていることを示しています。
このように、吐血は単に血が混じるだけでなく、血液の色や状態から出血の程度や時間の経過を推測できる重要なサインなのです。
2. 吐血の主な原因とそれぞれの特徴
吐血が起こる原因はさまざまですが、代表的な疾患として以下が挙げられます。
-
マロリー・ワイス症候群
激しい嘔吐や吐き気により、食道と胃の境目が裂けてしまい出血する疾患です。特に大量の飲酒後に嘔吐が続く場合に多く見られます。 -
食道静脈瘤
肝硬変などで肝臓の血流が悪くなると、食道の静脈が膨らみやすくなり、破裂して大量出血を引き起こすことがあります。命に関わる緊急事態となる場合もあります。 -
胃がん・食道がん
がんの進行に伴い血管が傷つくと出血し、吐血の原因になることがあります。早期発見・治療が重要です。 -
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜にできた潰瘍が深くなり、血管を傷つけることで出血が起きます。ストレスや薬の副作用も関連しています。
これら以外にも、食道や胃の炎症、薬剤の影響、外傷なども原因になることがあります。吐血の背景にはさまざまな病気が隠れている可能性があるため、放置せずに医師の診察が必要です。
3. 吐血が起きたときの具体的な対処法と受診の目安
吐血が確認された場合、慌てず冷静に次のような対応を心掛けてください。
-
安静にする
急激な動作は控え、できるだけ横になり安静を保ちます。 -
水分補給
吐き気が落ち着いたら、少量ずつ冷たい水や経口補水液を摂取し、脱水を防ぎます。 -
氷嚢で冷やす
みぞおち付近に氷嚢を当てることで血管が収縮し、出血が和らぐ可能性があります。
これらの対応をしても出血が止まらない場合や、吐血量が多い場合は直ちに救急受診してください。さらに、吐血に加え胸痛や強い腹痛、意識障害がある場合は一刻も早い緊急対応が必要です。
4. 吐血の診断方法と治療の進め方
吐血の原因を特定するため、医療機関では以下のような検査を行います。
-
問診と視診
症状の詳しい経緯や既往歴、服薬歴を詳しく聞き取ります。 -
血液検査
貧血の有無や炎症、出血の程度を確認します。 -
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
直接胃や食道、十二指腸の粘膜を観察し、出血の場所や原因を特定します。必要に応じて止血処置も行います。
治療は原因によって異なり、内視鏡での止血処置、薬物療法、あるいは重症例では手術が必要になることもあります。大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは最新の内視鏡検査を用い、患者様の状態に応じた丁寧な治療を行っています。
まとめ
\ 吐血は早期受診が命を守るカギ /
吐血は決して軽く見てはいけない症状です。早期に医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることで重篤な合併症の予防につながります。
吐血の他に胸痛、腹痛、意識の低下などがある場合は緊急受診が必要です。少しでも異変を感じたら、自己判断をせずに専門医に相談してください。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、患者様一人ひとりに寄り添い、安心して受診いただける環境を整えています。吐血の不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。