最近の人間ドックや胃カメラ検査で「十二指腸腺腫」という言葉を耳にして、ちょっと不安になった方もいるでしょう。十二指腸腺腫とは、十二指腸の内壁にできるポリープの一種で、基本的には良性のものですが、その種類や大きさによってはがんに進行するリスクがあるため、放置は禁物です。
多くの場合は無症状で、健康診断の際の内視鏡検査で偶然発見されることがほとんど。そのため、自分で気づくことが難しい病気でもあります。だからこそ、この病気の特徴やリスク、検査や治療について正しく知っておくことが非常に重要です。
今回は、大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックの視点も交えながら、初めての方にもわかりやすく「十二指腸腺腫」について解説していきます。
1. 十二指腸腺腫とはどんなもの?
十二指腸腺腫は、十二指腸の粘膜にできるポリープで、日本では非常にまれな病気です。発見率は胃カメラ検査を受けた人の0.02〜0.04%程度とされています。
多くは小さく、白っぽい隆起として現れ、初期はほとんど症状がありません。そのため、定期的な検査を受けなければ気づかないことがほとんどです。
ただし、十二指腸の中でも特に乳頭部付近にできた腺腫は、胆汁や膵液の出口に近いため、特殊なリスクを持っています。この部位の腺腫は注意深く診断・治療する必要があります。
2. なぜできるの?リスク要因とは
十二指腸腺腫の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な背景や慢性的な炎症、生活習慣が関係していると考えられています。
特に、40歳以上の方、家族に消化器系の病気がある方、喫煙や過度な飲酒を続けている方はリスクが高まる傾向があります。
健康的な生活習慣を心がけることは、リスク軽減に繋がるため大切です。
3. 発見されたらどうする?検査と治療の流れ
十二指腸腺腫は胃カメラ検査で偶然見つかることが多いですが、見つかった場合はポリープの一部を採取する「生検」を行い、悪性か良性かを判断します。
小さく限局している腺腫であれば、内視鏡で切除する方法(スネア切除や粘膜下層剥離術)が主に用いられます。
ただし、この部位の手術は穿孔や膵炎などのリスクがあるため、熟練した技術が必要です。
一方で、広範囲にわたるものや乳頭部に関わる腺腫、大きさや異型度が高い場合は、外科的手術(膵頭十二指腸切除術)が検討されることもあります。
4. 症状が出る場合とは?見逃せないサイン
多くの十二指腸腺腫は無症状ですが、腫瘍が大きくなると以下の症状が現れることがあります。
・食後の腹部違和感やみぞおちの痛み
-
・吐き気や嘔吐、消化不良の症状
-
・黒色便(メレナ)や慢性的な微量出血による貧血
-
・乳頭部付近の腺腫の場合、胆汁の流れが悪くなり黄疸が現れることも
これらの症状が出た場合は速やかに専門的な検査を受ける必要があります。
5. 予防と経過観察|どう付き合うのが安心?
十二指腸腺腫の発生を完全に防ぐことは難しいものの、定期的な胃カメラ検査と生活習慣の見直しがリスク管理には欠かせません。
-
☑ 40歳以上や家族歴がある方は定期的に内視鏡検査を受ける
-
☑ 喫煙や過度の飲酒を控え、バランスの良い食事と規則正しい生活を心がける
-
☑ ピロリ菌の除菌治療やその後のフォローも重要
-
☑ 腺腫が発見された場合は、サイズや形の変化を丁寧に経過観察すること
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、患者様の生活背景を考慮した診療を行い、安心して治療や観察を続けていただけるようサポートしています。
まとめ
十二指腸腺腫は発見が遅れると将来的に悪性化する可能性もありますが、多くは無症状で偶然発見されるものです。
だからこそ、定期的な検査と生活習慣の見直しがリスクを最小限に抑える鍵です。
胃だけでなく十二指腸までしっかり観察できる医療機関で、少しでも気になる症状や不安があれば早めの受診をおすすめします。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、皆様に安心と納得の医療をご提供いたします。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。