「お尻のあたりに小さなできものがある気がする」「排便後に少しヒリヒリするけれど、痛みはないから放っておいている」──そんな違和感を抱えていませんか?
それは「スキンタグ」と呼ばれる肛門周囲の皮膚のたるみかもしれません。スキンタグはよくある症状で、多くの人が経験するものです。痛みがないため放置されがちですが、衛生面の問題や、痔や他の病気との見分けがつきにくくなるなど、無視できないリスクもあります。
この記事では、スキンタグの原因から治療法、セルフケア、再発予防のポイントまで、わかりやすく解説していきます。
スキンタグとは?特徴や症状を解説
スキンタグとは、肛門の周囲にできるやわらかい皮膚のたるみや突起のこと。医学的には「肛門皮垂(こうもんひすい)」とも呼ばれています。色は肌色〜やや褐色で、米粒大から大豆ほどのサイズまであり、数も人によって異なります。
主な特徴:
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・基本的に痛みはない
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・排便後のふき取りがしにくくなる
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・長期間かけて少しずつ大きくなることがある
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・血が出ることは少ないが、こすれると炎症を起こす場合もある
良性の変化でがんになることはありませんが、見た目が痔やポリープと似ているため、自己判断は禁物です。
美容面や衛生面から除去を希望される方も多くいらっしゃいます。
スキンタグができる主な原因と注意すべき人の特徴
スキンタグはただの「皮膚のたるみ」ではなく、繰り返される刺激や炎症などが原因となって発生します。特に以下のようなケースでできやすくなります。
原因の一例:
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・いぼ痔(痔核)の治癒後:腫れた痔核が縮んだあと、皮膚が残る
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・出産による強いいきみ:肛門への圧力で皮膚が伸びてできる
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・慢性的な便秘や下痢:排便時の刺激やトイレットペーパーによる摩擦
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・加齢:皮膚のハリが失われ、たるみやすくなる
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・肛門周囲の手術後:術後の変化として現れることも
また、「トイレで長時間いきむ」「何度も強く拭く」などの排便習慣も要因となります。まずは、排便スタイルを見直すことが予防の第一歩です。
治療は必要?自然に治ることはあるの?
軽いスキンタグで、衛生上や見た目に問題がなければ無理に治療を行う必要はありません。ただし、以下のような場合には治療が推奨されます。
治療が必要なケース:
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・排便や拭き取り時に痛み・かゆみがある
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・肛門が不衛生になりやすく、炎症を繰り返す
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・下着にこすれて不快感がある
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・見た目が気になって日常生活に支障が出る
主な治療法:
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・外科的切除(局所麻酔下で日帰り手術が可能)
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・レーザー治療・電気焼灼法(再発予防にも効果的)
治療後は清潔に保つことが大切で、数日間の安静が推奨されます。
当院(大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック)では、患者様のお悩みに合わせた最適な治療をご提案しています。
他の病気との見分け方に注意を
スキンタグは、以下のような疾患と非常に似た見た目をしています。自己判断ではなく、医師の診察を受けて確実に見極めることが重要です。
よく似ている疾患:
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・いぼ痔(痔核):出血や腫れ、痛みを伴う
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・肛門ポリープ:腫瘍性の突起。切除が必要なことも
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・尖圭コンジローマ:性病の一種。見た目がいびつで多発しやすい
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・皮膚がん(まれ):形が不規則・急に大きくなる・出血するなどの特徴
スキンタグ自体は良性ですが、上記のような疾患と合併している可能性もあるため、早めに専門医に相談しましょう。
日常生活でできる予防と再発防止のコツ
スキンタグを防ぐためには、肛門に過度な負担をかけない生活が基本です。次のような日常の工夫が、予防につながります。
予防法:
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・食物繊維をしっかり摂取し、便秘・下痢を防ぐ
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・水分補給を意識する
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・トイレは短時間で済ませる(いきみ過ぎ注意)
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・拭き取りはやさしく。ウォシュレット後に軽くタオルで拭く程度
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・適度な運動・ストレス解消で腸の調子を整える
肛門に違和感を感じた時は、我慢せずに早めに受診することが、再発予防にもつながります。
まとめ
スキンタグは命に関わる疾患ではありませんが、放置すると清潔さの維持が難しくなったり、他の病気と間違えてしまったりすることがあります。
違和感を感じたら、恥ずかしがらずに専門医の診察を受けましょう。適切な治療とセルフケアで、快適な生活を取り戻すことができます。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、スキンタグの診断から治療・再発防止のアドバイスまで、丁寧に対応しております。気になる症状があれば、ぜひご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。