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2025.08.12

もう繰り返さない!胃潰瘍を遠ざける食事と生活のポイント

「みぞおちがキリキリ痛む」「空腹時や食後にムカムカする」――そんな症状がある方は、もしかすると「胃潰瘍」かもしれません。

胃潰瘍は、胃の粘膜がただれて傷ついてしまう疾患です。薬による治療が基本ですが、実は「どんな食事をとるか」「どう食べるか」も回復や再発予防に大きな影響を及ぼします。

この記事では、胃潰瘍の基礎知識から、避けたい食品、胃にやさしい献立のコツ、回復期の注意点まで、わかりやすく解説します。


1. 胃潰瘍とは?|原因・症状・治療の基本

胃潰瘍とは、胃の内側にある粘膜が傷ついてただれ、潰瘍(かいよう)という状態になったものです。放っておくと悪化し、出血や穿孔(穴が開く)など深刻な合併症を引き起こす可能性もあります。

主な原因
  • ・胃酸の過剰分泌

  • ・ピロリ菌感染

  • ・ストレスや過労

  • ・喫煙・飲酒

  • ・解熱鎮痛薬(NSAIDs)の使用

よくみられる症状
  • みぞおちの痛み(空腹時・食後)

  • 吐き気・食欲不振

  • 胃の張りやげっぷ

  • ・重症の場合:吐血・黒い便(タール便)

治療の基本

胃酸を抑える薬(PPIやH2ブロッカー)や、原因に応じてピロリ菌除菌療法などが行われます。ただし、薬物療法だけでなく、日常の食事や生活習慣の改善が非常に重要です。


2. 胃潰瘍と食事の関係|食べ方で治り方が変わる!

胃潰瘍は「食べ方ひとつ」で症状が悪化することも、逆に回復が早まることもあります。胃の粘膜はとてもデリケート。傷ついた粘膜に刺激を与えないよう、やさしい食事が求められます。

食事の工夫が必要な理由
  • ・空腹時は胃酸が胃を直接刺激する

  • ・繊維質が多すぎる食材や硬い食材は、物理的刺激になる

  • ・香辛料やアルコールなどの刺激物は、胃酸の分泌を増やす

  • ・一度にたくさん食べると胃に負担がかかる

こうした理由から、**少量ずつ何回かに分けて食べる「分食」**が推奨されます。食事も「薬」と同じように大切な治療の一環なのです。


3. 胃にやさしいおすすめ食材と献立のポイント

胃潰瘍のときには、消化しやすく、刺激の少ない食材を中心に献立を組み立てましょう。

胃にやさしい食材
  • 炭水化物:おかゆ、柔らかいうどん、焼いていないパン(耳は除く)

  • たんぱく質:白身魚(タラ・カレイ)、鶏ささみ、豆腐、卵(半熟や煮物)

  • 野菜:にんじん、大根、じゃがいも(柔らかく煮る)

  • 乳製品:低脂肪の牛乳やプレーンヨーグルト(冷たすぎないよう注意)

調理と献立のコツ
  • 調理法:煮る、蒸す、茹でるが基本。焼いたり揚げたりは避けましょう。

  • 味付け:薄味を心がけ、塩分は控えめに。

  • 食べ方:一度にたくさん食べず、小分けにして複数回に。

  • 姿勢にも注意:食後すぐ横になると胃酸が逆流しやすくなるため、最低30分は座って過ごしましょう。


4. 食べてはいけない食品・避けたい食材

胃潰瘍の回復を妨げたり、症状を悪化させる食品は避ける必要があります。以下に代表的なものを紹介します。

避けるべき食品一覧
  • 香辛料:唐辛子、わさび、コショウ、カレー粉など

  • 脂っこいもの:揚げ物、バター、ラーメン、ベーコンなど

  • 刺激の強い飲料:コーヒー、緑茶、炭酸飲料、アルコール類

  • 酸味の強い果物:オレンジ、グレープフルーツ、梅干しなど

  • 硬くて繊維の多い野菜:ごぼう、セロリ、こんにゃく(加熱すれば可)

避けたい生活習慣
  • ・早食い・かきこみ食べ

  • ・食後すぐ横になる

  • ・水分を一気に取りすぎる

「食べない方がいいもの」を知ることも、再発予防の重要な一歩です。


5. 回復期と再発防止の生活習慣

症状が落ち着いてきたからといって、すぐに通常の食生活に戻すのはNGです。胃潰瘍は再発しやすい病気の一つ。油断せず、丁寧な生活管理を心がけましょう。

再発を防ぐ生活習慣
  • 徐々に普通食へ:回復後もすぐに刺激の強い食事には戻さない

  • ストレスケア:趣味や運動でリラックス。睡眠も重要

  • 禁煙・節酒:胃の血流が悪くなり、粘膜がもろくなる原因に

  • 薬は継続的に:自己判断で中断せず、医師の指示に従う

  • 定期検診を忘れずに:特にピロリ菌感染がある人は要注意!

胃を守る生活は、再発予防だけでなく、胃がんなど他の消化器疾患の予防にもつながります。


まとめ

\ 胃をいたわる毎日が、健康な未来をつくる /

胃潰瘍の回復と再発予防のためには、薬だけでなく日々の食事と生活習慣がカギを握っています。食べ物の選び方、食べ方、ストレス管理まで含めて、体にやさしい選択を続けていくことが大切です。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、医師による診察だけでなく、栄養指導や生活アドバイスも行っています。お悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。