がん治療中や治療後の再発予防で、「温泉に入っても大丈夫?」と不安に思う方は少なくありません。実は、特定の温泉、特にラドンや放射能を含む泉質には、がん患者さんの体調を整える医学的な効果が期待されています。温泉の温熱効果が血流を促進し、免疫力や抗酸化作用を高めることで、痛みの緩和や疲労回復につながるケースも報告されています。
1. ラドン温泉とは? がん治療にどう関わるの?
ラドン温泉とは、微量の放射性希ガス「ラドン」を含む鉱泉のこと。
ラドンが体内に取り込まれると、低線量の放射線が体の細胞に働きかけ、活性酸素の除去酵素を増やすと考えられています。
これにより、がん細胞を抑制する遺伝子が活性化し、免疫細胞の働きも強化されるのです。長年湯治場として利用されてきた背景があり、実際にがん患者さんからは「痛みが軽くなった」「体調が改善した」という声も寄せられています。
2. 温泉ががん治療に役立つ5つのポイント
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・免疫力の向上:体温上昇により、がん細胞を攻撃するNK細胞の活性化が期待できます。
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・抗酸化作用:ラドンによって活性酸素を抑える酵素の働きが強まります。
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・血流の改善:温熱効果で血液循環が良くなり、副作用の冷えや末梢神経障害を和らげることも。
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・ストレス軽減:副交感神経が優位となり、心身の緊張やストレスが和らぎます。
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・自然治癒力の強化:低線量放射線の刺激で自己免疫力や回復力が高まるとされます。
これらは治療の代わりではなく、補助的な効果として注目されています。
3. がんの種類別おすすめの温泉入浴法と注意点
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・固形がん(乳がん、大腸がんなど):38〜40℃のぬるめの全身浴や半身浴が効果的。蒸気吸入もおすすめです。
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・血液がん(白血病、リンパ腫など):免疫バランスを整える飲泉が良く、入浴は短時間で体調変化に注意を。
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・緩和ケアの目的:痛みや疲労感の緩和にラドン蒸気浴が最適。
ただし、治療中や進行期は高温や長時間の入浴は逆効果になる可能性があるため注意が必要です。
4. 温泉の安全性と科学的根拠について
放射能泉の効果には一定の研究報告がありますが、がん治療や予防における決定的な証拠はまだ確立されていません。
一方で、ラドン温泉の放射線量はごく微量で安全性が高いと考えられ、欧州や日本ではホルミシス療法として実際に用いられており、免疫向上や痛み緩和の効果が臨床で報告されています。
適切な施設と管理のもとで利用すれば安心して活用できます。
5. 自宅でもできる温泉療養的セルフケア
温泉に行けない方も、自宅で温泉療養の要素を取り入れられます。
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炭酸入浴剤の使用:短時間でも血流改善と抗酸化作用が期待できます。
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アロマとぬるめのお湯:リラックスと免疫促進に効果的です。
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蒸気吸入:お湯にタオルをかけて蒸気を吸うことで呼吸器や心身のリフレッシュに。
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定期的な入浴:週1〜2回、38〜40℃で10〜20分程度入浴し、血行と免疫力アップを目指しましょう。
まとめ
ラドン温泉など特定の温泉は、がん治療の補助療法として「免疫強化」「抗酸化作用」「血流促進」「ストレス軽減」「自然治癒力向上」の効果が期待されています。
科学的根拠は発展途上ですが、安全に適切に利用すればQOLの向上に役立つ可能性があります。薬の代わりではなくサポートとして取り入れ、快適な療養生活を送りましょう。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは温泉療養の相談も承っていますのでお気軽にご連絡ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。