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2025.08.19

血便=がんじゃない?ストレス性の血便と病気の見分け方

「まさかストレスで血便?」と驚く方も多いでしょう。

実際、ストレスそのものが直接血便を引き起こすことはほとんどありません。

しかし、ストレスは腸の働きや血流、自律神経に影響を与え、間接的に血便の原因となる状況を作り出すことがあります。

例えば、過敏性腸症候群(IBS)がストレスをきっかけに悪化し、下痢や便秘を繰り返すうちに肛門や腸の粘膜が傷つき、血便になるケース。

また、ストレスで胃や十二指腸潰瘍が悪化し、そこからの出血が便に混じる場合もあります。

血便が出たときは「疲れのせいかな」と自己判断せず、原因をはっきりさせることが第一歩です。


血便とは?色で見分ける出血部位

血便は「便に血が混じった状態」を指します。血の色は出血部位の目安になります。

  • ・鮮やかな赤色:肛門や直腸からの出血(痔、裂肛など)

  • ・暗赤色や粘血:大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)

  • ・黒っぽいタール状:胃や十二指腸での出血(胃潰瘍、胃がんなど)

ただし、色だけでは正確な診断はできないため、必ず医療機関での検査が必要です。


ストレスと血便の関係

ストレスが関与する主なパターンは次の通りです。

  1. IBS(過敏性腸症候群)の悪化

    ↳ストレスで腸が敏感になり、下痢や便秘を繰り返し、肛門周囲が傷つく。

  2. 炎症性腸疾患の再燃

    ↳潰瘍性大腸炎やクローン病がストレスで悪化し、血便が増える。

  3. 消化管潰瘍の進行

    ↳ストレスによる胃酸分泌増加で潰瘍が悪化、出血して便に混じる。

ストレスは「腸の動きの乱れ → 粘膜損傷 → 出血」という多段階の流れで血便に関与します。


血便が出たときの対処法

  1. ①まず受診

     大腸内視鏡や便潜血検査で原因を特定。

  2. ②ストレスコントロール

     深呼吸、ヨガ、瞑想、趣味の時間を意識的に作る。

  3. ③腸に優しい生活

     食物繊維と水分をしっかり摂り、排便時の強いいきみを避ける。

  4. ④痔のケア

     ぬるま湯での坐浴、肛門周囲を清潔に保つ。


受診を急ぐべきサイン

  • 出血量が多い

  • 黒い便が出る

  • 下痢や腹痛が長引く

  • 体重減少や貧血の症状がある

これらは大腸がんや重い腸の病気の可能性もあるため、早急な診断が必要です。


日常でできるストレス&腸ケア

  • 「深呼吸・瞑想・ヨガで自律神経を整える」

  • 「ウォーキングや軽い運動で腸の動きを活発に」

  • 「発酵食品や低FODMAP食で腸内環境を改善」

  • 「睡眠環境を整え、スマホは寝る前に控える」

これらの習慣は腸の健康を守り、血便リスクを下げる効果があります。


まとめ

ストレスは血便の直接原因にはなりませんが、腸や肛門に負担をかけ、間接的に出血を招くことは珍しくありません。

血便が出たら、自己判断せずに医師の診断を受け、生活習慣とストレス対策を同時に行うことが、再発防止への近道です。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。