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2025.08.21

温泉で痔対策はできる?科学的根拠と実践テクニック

最近、「お尻の違和感が気になる」「長時間座っているとつらい」そんなお悩みを抱えていませんか?

温泉といえば、旅先で疲れを癒すリラックスタイムの定番ですが、実は痔の症状改善にも心強い味方になることをご存じでしょうか。

温泉にゆったりと浸かることで、全身の血流がスムーズになり、肛門まわりのうっ血をやわらげることができます。泉質によっては血管拡張や炎症軽減、便秘改善といったプラス効果も期待できるため、日常的な痔ケアにもぴったり。

本記事では、**「温泉が痔に効く理由」や「おすすめの泉質」「症状別の入浴方法」**など、今日から実践できるポイントを詳しく解説します。

さらに、自宅でできる温泉効果の再現法もご紹介します。


1. 温泉が痔に効く理由

温泉は、医学的にも痔の一般的な適応症とされており、その効果は大きく3つに分けられます。

  • 「温熱効果」

     ぬるめのお湯に浸かることで皮膚や筋肉が温まり、毛細血管が広がって血流が促進されます。これにより患部のうっ血が解消し、痛みや腫れを和らげます。

  • 「物理的効果(水圧・浮力)」

     水圧で血液やリンパの流れが改善し、浮力によって筋肉がリラックス。温泉の静かな環境と相まって副交感神経が優位になり、ストレス軽減にもつながります。

  • 「胃腸機能の改善」

     温泉で芯から温まることで腸の動きが活発になり、便秘の解消に効果的。これが痔の悪化防止にも直結します。


2. 痔におすすめの泉質

泉質によって期待できる効果は少しずつ異なります。

  • ・二酸化炭素泉(低温でも血流改善、心臓にやさしい湯)

  • ・硫黄泉(血管拡張・抗炎症作用、かゆみ軽減)

  • ・炭酸水素塩泉(皮膚の清浄・保湿、傷の回復促進)

  • ・塩化物泉・硫酸塩泉(血行促進、慢性的なうっ血改善)

  • ・単純温泉(刺激が少なくリラックス効果大)


3. 症状別・効果的な入浴法

  • いぼ痔:38〜40℃で全身浴または半身浴、10〜15分程度

  • 切れ痔:37〜38℃のぬる湯で短時間、刺激を避ける

  • 痔ろう:炎症がある間はぬる湯で短時間、半身浴がおすすめ


4. 温泉入浴の注意点

  • ✖ 高温・長湯(42℃以上や30分超)は逆効果

  • ✖ 強い水流やジェットバスは患部に当てない

  • ✖ 温水シャワーのあてすぎは避ける

  • ✖ 発熱や急性期は入浴を控える


5. 温泉以外でできるセルフケア

  • ・自宅でのぬるま湯半身浴(36.6〜37℃)で腸活

  • ・アロマバス(ラベンダーなど)で自律神経を整える

  • ・ストレスマネジメントで血流と便通を安定化


まとめ

温泉は、うっ血改善・炎症軽減・リラックス・便秘緩和といった多面的な効果で、痔の症状をやさしくサポートしてくれます。泉質や温度、入浴時間のバランスを押さえることで、より安全で効果的なケアが可能です。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、温泉療法にも精通した医師がアドバイスを行っています。正しい知識を身につけて、温泉をあなたの痔ケア習慣に取り入れてみましょう。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。