「盲腸」というと、多くの方は“盲腸炎=虫垂炎”を思い浮かべますが、実は盲腸にもがんができることがあります。盲腸は小腸から大腸に移る最初の部分に位置し、ここに発生した悪性腫瘍が盲腸癌です。発症頻度は大腸癌全体の中でも低めですが、厄介なのは初期症状がほとんどないこと。盲腸は便がまだ液状で通過しやすく、閉塞や出血が起こりにくいため、痛みや便通異常が現れにくいのです。このため、がんが進行してから発見されるケースも少なくありません。
盲腸癌の主な症状
進行すると以下のような症状が現れます。
-
・右下腹部の鈍痛や不快感:虫垂炎と間違われやすい痛み。
-
・腹部のしこり:腫瘍が大きくなると触れてわかることも。
-
・吐き気・嘔吐:腸閉塞を起こすほど進行した場合に出現。
-
・食欲低下・体重減少・倦怠感:がんによる全身への影響。
-
・血便や貧血:慢性的な出血による鉄欠乏性貧血。
これらは他の病気でも見られる症状ですが、複数が重なった場合は特に注意が必要です。
検査と診断の流れ
盲腸癌が疑われる場合、医療機関では以下のような検査を行います。
-
・大腸内視鏡検査:盲腸までカメラを挿入し、異常部位を直接観察。生検による確定診断も可能。
-
・血液検査:貧血や腫瘍マーカー(CEAなど)の確認。
-
・画像検査(CT・MRI):腫瘍の位置や広がりを評価。
-
・問診・診察:痛みの性質やしこりの有無、便の色や体重変化を確認。
虫垂炎の手術中に偶然盲腸癌が見つかるケースもあります。
治療法と生活の両立
治療は進行度によって異なります。
-
・内視鏡切除:ごく早期でリンパ節転移のリスクが低い場合に適用。
-
・外科手術:腫瘍と周囲リンパ節を切除する「右半結腸切除」が一般的。
-
・薬物療法:抗がん剤や分子標的薬で再発予防や進行抑制。
術後は便通の変化や消化機能の低下が起こるため、食事管理・栄養指導・運動習慣の見直しが大切です。
早期発見と予防のためにできること
-
・40歳以上は定期的に大腸内視鏡検査
-
・食物繊維・発酵食品を取り入れた食事、適度な運動、禁煙・節酒
-
・右下腹部の違和感、しこり、貧血、便通異常などの早期受診
-
・虫垂炎治療中でも経過観察を怠らない
まとめ
盲腸癌は初期症状が乏しく、虫垂炎と間違われやすい病気です。
右下腹部の違和感やしこり、貧血、体重減少などの症状がある場合は、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、多角的な検査と生活習慣のサポートで、盲腸癌の早期発見・予防をサポートしています。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。