「お尻に小さなふくらみ…これってもしかして内痔核?」
そう思っても、恥ずかしさや不安から病院へ行くのをためらう人は多いもの。そんな方に朗報です。実は、温泉やぬるめのお湯にゆったり浸かるだけで、血流が促進され、内痔核の主な原因である“うっ血”がやわらぐ可能性があるのです。
湯船につかることは、セルフケアの中でも簡単で続けやすい方法のひとつ。さらに、泉質や温度、入浴時間を工夫すれば、その効果はより高まります。反対に、間違った入り方をすると悪化させることもあるため、正しい知識が欠かせません。今回は、内痔核と温泉の関係、そして自宅でもできるスマートな入浴術をわかりやすく解説します。
1. なぜ温泉が内痔核に効くの?
内痔核とは、肛門まわりの静脈がうっ血して腫れた状態のこと。主な原因は血流の滞りです。
温泉に浸かると体が芯から温まり、毛細血管が広がって血の巡りが良くなります。これにより、うっ血が和らぎ、腫れや違和感の軽減につながります。
さらに、温泉の浮力と水圧がむくみを抑え、筋肉の緊張をほぐしてくれるため、肛門括約筋も自然とリラックス。副交感神経が優位になり、ストレスや便秘の改善にもつながります。
まさに、温泉は「うっ血ケア」と「便通改善」の両方をサポートしてくれる心強い味方です。
2. 効果を高める入浴のポイント
温泉やお風呂で内痔核をケアするなら、次の3つが重要です。
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「温度は38〜40℃のぬるめ」
高温は血圧上昇やうっ血悪化の原因に。心地よいぬる湯で10〜15分が理想。 -
「全身浴でも半身浴でもOK」
半身浴でも血流促進は十分可能。肩までつかる全身浴なら全身の巡りがより良くなります。 -
「入浴前後のやさしい清潔ケア」
排便後はぬるま湯で優しく洗浄し、こすらず柔らかいタオルで拭くことが大切です。
3. おすすめの入浴法と注意点
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💡 おすすめ 💡
・坐浴:腰まで浸かり10〜15分で腫れや違和感を軽減
・ぬる湯全身浴/半身浴:浮力で負担を減らし、むくみを解消 -
⚠ 注意点 ⚠
・熱湯や長時間入浴は逆効果
・強い水流やゴシゴシ洗いは厳禁
・炎症や膿瘍があるときは医師の指導を優先
4. 温泉選びのコツ
泉質によって得られる効果も違います。
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・単純温泉:刺激が少なくリラックス向き
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・重曹泉・炭酸水素塩泉:皮膚の柔軟化・保湿に◎
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・含鉄泉・二酸化炭素泉:血行促進に効果的
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・硫黄泉:軽度炎症の殺菌・抗炎症に有効(刺激が苦手な人は注意)
5. 自宅でできる温浴セルフケア
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・温タオルで下着越しに温める
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・ウォシュレットでぬるま湯をやさしく使う
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・坐浴用の器具で簡単ケア
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・座りっぱなしを避けて1時間に1回は軽く動く
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・食物繊維と水分をしっかり摂って便秘予防
まとめ
内痔核は「うっ血」が主な原因。温泉やぬる湯の入浴は、血流改善・筋肉の緩和・リラックス効果・便通改善など、多方面から症状をやわらげてくれます。
ただし、温度・時間・泉質の選び方がポイント。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、あなたの体調に合わせた入浴法とセルフケアを提案しています。
正しい知識と温泉の力で、快適なお尻ライフを目指しましょう。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。