大腸ポリープと聞くと、「歳をとってからゆっくりできるもの」と思っていませんか?
実はそうではありません。大腸ポリープは年齢に関係なく、数年のうちに大きくなったり数が増えることがあり、放置していると大腸がんに進行する可能性もあります。
この記事では「大腸ポリープの増える速度」を中心に、リスク・検査・予防法までわかりやすく解説します。
1. 大腸ポリープとは?種類とリスク
大腸ポリープとは、大腸の粘膜にできる小さな“いぼ”や“こぶ”のような病変です。主に以下の種類があります。
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・腺腫性ポリープ:大腸がんの約80%がここから発生。注意が必要
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・過形成性ポリープ:多くは良性で経過観察
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・炎症性ポリープ:炎症の影響で一時的にできる
特に腺腫性ポリープは、大きさが増すほどがん化リスクが高まります。
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・5mm以下:リスクは数%
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・10mm以上:10〜30%
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・20mm以上:さらに高率
自覚症状はほぼなく、便潜血検査でも見つからないことが多いため、大腸内視鏡による発見と切除が欠かせません。
2. 増える速度の目安と個人差
大腸ポリープは小さいうちはゆっくり成長しますが、数年〜10年程度で大きくなることが多いといわれています。
ただし、これはあくまで平均であり、個人差が大きいのが実情です。
近年では、40〜50代だけでなく20代・30代の若い世代でも大腸がんが増えており、年齢に関係なく「早めの検査」が重要です。多くの場合、症状が出る前に進行するため、大腸内視鏡による定期検査こそ最大の予防といえます。
3. 増やさないための生活習慣
大腸ポリープの発生や増殖には、遺伝だけでなく生活習慣も大きく関わります。予防のためのポイントは以下の通りです。
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【食生活の工夫】
・赤身肉・加工肉・高脂肪食は控えめに。
・食物繊維や発酵食品を取り入れ、腸内環境を整える。 -
【飲酒・喫煙の見直し】
・アルコールやタバコはリスク要因。
・禁煙・節酒で腸を守ることが大切。 -
【便通の改善】
・水分をしっかり摂り(1.5〜2L/日)、便秘を防ぐ。 -
【運動とストレス対策】
・軽い運動を継続し、睡眠不足や強いストレスを避ける。
こうした習慣を続けることで、ポリープの再発や増殖スピードを抑える効果が期待できます。
4. 定期検査と早期切除が命を守る
大腸ポリープは、症状がなくても進行してしまうのが怖い点です。そのため、定期的な検査と早期切除が欠かせません。
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・大腸内視鏡(カメラ):その場で発見・切除できる唯一の検査
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・CTコロノグラフィー:画像診断で確認可能。ただし切除は不可
ガイドラインでは5mm以上で切除が推奨され、10mmを超えるポリープはがん化リスクが高いため早急な切除が必要です。
切除には以下の方法があります。
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①コールドポリペクトミー(電気を使わない切除法)
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②EMR(内視鏡的粘膜切除術)
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③ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、患者さんの状態に応じた最適な方法を選び、日帰りで安全に治療を行っています。
まとめ
\ 早期発見と生活改善がカギ /
大腸ポリープは、2〜5年で数mmから10mm以上に成長することがある病変です。
年齢や自覚症状に関係なく、定期的な内視鏡検査での早期発見と切除が最も有効ながん予防となります。
加えて、食生活や運動・ストレス管理など、毎日の習慣を見直すことが再発防止につながります。大腸がんを未然に防ぐために、ぜひ定期検査を受ける習慣をつけましょう。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。