「最近ずっと下痢が続いている」「食欲がなくて体重が落ちてきた」──こうした不調が長引くと、多くの方が「もしかして病気なのでは?」と不安を抱きます。
その中で近年よく耳にするのが クローン病 です。
クローン病は、消化管に慢性的な炎症を起こす病気で、若い世代に多く、完治が難しいとされています。しかし、早期診断と継続的な治療により、症状をコントロールしながら生活を続けることが可能です。
この記事では、クローン病の基礎知識から、症状・診断・治療法、そして日常生活での工夫まで、大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックがわかりやすく解説します。
1. クローン病とは?──どんな病気かとその原因
クローン病は口から肛門までの消化管のどこにでも炎症を起こす慢性疾患で、特に小腸や大腸に発症しやすい特徴があります。
同じ炎症性腸疾患(IBD)に分類される「潰瘍性大腸炎」と並び、厚生労働省の指定難病にも認定されています。
特徴的なのは「スキップリージョン」と呼ばれる、炎症が消化管のあちこちに飛び飛びで現れること。また炎症が深部まで及ぶため、潰瘍や狭窄、瘻孔などの合併症を引き起こすリスクもあります。
原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が複雑に関わると考えられています。
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・遺伝的要素
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・免疫系の異常
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・腸内細菌バランスの乱れ
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・食生活(高脂肪・高糖質の食事)
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・ストレスや喫煙などの生活習慣
特に喫煙は病気の進行を早めるリスクが高いため、禁煙が強く推奨されています。
2. クローン病の代表的な症状
クローン病の症状は人によって異なり、軽度から重度まで幅広く現れます。
【主な症状】
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・慢性的な腹痛
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・水様性の下痢(1日数回〜10回以上)
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・微熱が続く
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・体重減少・食欲不振
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・貧血や倦怠感
さらに、関節炎、口内炎、皮膚炎、目の炎症など、全身に症状が及ぶケースも少なくありません。
病気は「再燃」と「寛解」を繰り返すのが特徴で、悪化期には強い症状が出て、安定期には比較的落ち着きます。
放置すると腸閉塞や穿孔などの合併症に進行し、手術が必要になる場合もあるため、早めの受診が大切です。
3. 診断までの流れと検査方法
診断は、まず問診から始まり、症状や生活習慣、家族歴を確認した上で検査を行います。
主な検査内容
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・血液検査(炎症や貧血の確認)
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・便検査(感染症の除外)
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・内視鏡検査(大腸カメラ、小腸カプセル内視鏡)
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・CTやMRIなどの画像検査
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・生検(粘膜組織の顕微鏡検査)
小腸は通常の大腸カメラでは確認できないため、専用の検査が必要です。診断までに時間がかかる場合もありますが、正確な鑑別はその後の治療に大きく影響します。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは最新の検査機器を用い、正確かつ迅速な診断を行っています。
4. 治療方法と最近の選択肢
治療の目的は「炎症を抑えて症状を改善(寛解導入)」し、その後「症状が出ない状態を維持(寛解維持)」することです。
【主な治療法】
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・5-ASA製剤(軽症〜中等症)
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・ステロイド(中〜重症の炎症コントロール)
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・免疫調節薬(長期管理に使用)
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・生物学的製剤(抗TNF-α抗体など最新薬)
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・JAK阻害薬(新しい治療薬として注目)
薬物治療に加えて、腸への負担を減らすための 食事療法 も重要です。消化しやすい低脂肪・低残渣の食事が推奨され、重症例では栄養補助や点滴治療が行われることもあります。
薬が効かない場合や合併症が進行した場合には手術が必要になりますが、術後も再発の可能性があるため継続的な管理が欠かせません。
5. 日常生活で気をつけるポイント
クローン病の治療では、薬だけでなく日常生活の工夫も非常に大切です。
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・食事管理:脂っこい食品や刺激物を避け、消化にやさしい食事を意識する
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・ストレスを避ける:規則正しい生活とリラックスできる時間を確保する
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・禁煙:病状悪化を防ぐため、喫煙は厳禁
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・定期通院:安定していても定期的な検査で再燃の兆候を早期発見
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・サポート体制:医師や家族と連携し、一人で抱え込まない
まとめ
クローン病は完治が難しい慢性疾患ですが、適切な治療と生活習慣の工夫で症状を抑えながら日常生活を送ることができます。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、最新の診断・治療法を用い、患者さま一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。
長く付き合う病気だからこそ、信頼できる医療機関で一緒に管理していきましょう。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。