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2025.09.05

栄養不足にならない!クローン病患者のための食事の基本とQ&A

「クローン病では、結局なにを食べればいいの?」と疑問に思う方は多いでしょう。

食事制限を厳しくしすぎればストレスや栄養不足につながりますが、自由に食べ過ぎると症状を悪化させるリスクもあります。大切なのは、病気とうまく付き合うために「自分に合った食事との向き合い方」を見つけることです。

ここでは、クローン病における基本的な食事の考え方から、実際の工夫や注意点を、大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックの管理栄養士の視点で解説します。


1. 食事療法の基本方針

クローン病は消化管に炎症を起こす病気であり、食事管理は治療の一部といえます。特に次の4点を意識すると良いでしょう。

  • ①低脂肪:揚げ物や脂の多い肉は腸を刺激しやすいため控える。

  • ②低残渣(ていざんさ):繊維が多い食材は避け、消化にやさしい食品を選ぶ。

  • ③高カロリー・高たんぱく:体力を維持するため、白米や豆腐、鶏ささみ、白身魚などを積極的に。

  • ④刺激を避ける:香辛料・アルコール・カフェインは控えめに。


2. 活動期と寛解期で異なる食べ方

症状が強い活動期には、腸を休ませることを意識し、おかゆやうどん、柔らかい豆腐や白身魚を中心に。

必要に応じて栄養補助食品を利用します。

一方、寛解期には少しずつ食材の幅を広げます。

ただし急に元の食事に戻さず、少しずつ増やしながら体調の変化を観察することが大切です。


3. 食材選びと調理の工夫

  • ・おすすめのタンパク源:鶏ささみ、白身魚、豆腐、卵料理(茶碗蒸しなど)。

  • ・炭水化物:白米・おかゆ・食パン。玄米や全粒粉は避ける。

  • ・野菜:にんじん・かぼちゃ・白菜などを加熱して柔らかく。きのこや海藻は控えめに。

  • ・調理法:煮る・蒸すが基本。炒め物・揚げ物はできるだけ避ける。

一度に多く食べるのではなく、少量を分けて食べることで腸への負担を減らせます。


4. よくある質問Q&A

  • Q1.乳製品はOK? → A.乳糖不耐症がある場合は避ける。乳糖分解乳やヨーグルトなら取り入れやすい。

  • Q2.甘いものは? → A.寛解期ならゼリーや寒天などはOK。脂肪分の多いスイーツは控える。

  • Q3.外食は? → A.活動期は控えるが、寛解期なら和食中心の定食などを工夫すれば可能。

  • Q4.栄養不足が心配 → A.医師の指導で栄養剤やサプリを併用することもある。

  • Q5.食事記録は必要? → A.とても有効。自分に合う食材が見えてくる。


5. 続けるための工夫

クローン病の食事療法は「無理なく続ける」ことが重要です。

完璧を求めず、基本を守りながら7割できれば十分。

レシピを工夫し、豆腐ハンバーグや野菜スープなど見た目や味を楽しめる料理を取り入れるのもおすすめです。

体調に合わせて柔軟に調整し、食事日記を活用して「自分専用のOK食材リスト」を作ると安心です。


まとめ

クローン病の食事管理は、病状の安定と生活の質を高めるための大切な柱です。

「何を食べないか」よりも「どう食べるか」を意識することがポイント。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、医師と管理栄養士が連携し、患者さんが無理なく続けられる食事療法をサポートしています。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。