健康診断や人間ドックの採血結果を見て、「血糖値」や「HbA1c(エイチビーエーワンシー)」の数値に不安を感じたことはありませんか?
「この数値って高い?」「正常値と比べてどうなの?」と疑問に思う方は多いものです。
今回は、血糖に関する代表的な2つの指標「血糖値」と「HbA1c」の意味、基準値、そして読み取り方のポイントをやさしく解説します。
正しく理解することで、自分の健康状態を客観的に把握できるようになりますよ。
1. 血糖値とは?日々の変動と基準の見方
血糖値とは、血液中のブドウ糖(糖分)の濃度を示す数値です。ブドウ糖は体のエネルギー源として必要ですが、多すぎると血管や臓器に負担をかけます。
血糖値には「空腹時血糖値」と「随時血糖値(食後など)」があり、健康診断でよく測られるのは空腹時血糖値です。
-
・正常値:70〜99 mg/dL
-
・境界型:100〜125 mg/dL(糖尿病予備群といわれる段階)
-
・糖尿病の疑い:126 mg/dL以上
ただし、血糖値は食事の内容・時間、ストレス、睡眠不足などの影響で変動します。1回の測定だけで判断せず、複数回のデータをあわせて見ることが大切です。
また、血糖値は朝と夕方でも差が出ることがあります。自分の「変動パターン」を知ることが、健康管理のヒントになります。
2. HbA1cって何?1〜2か月の血糖の「成績表」
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示す数値です。過去1〜2か月間の平均血糖値を反映するため、「血糖の成績表」とも呼ばれています。
-
・正常値:4.6〜6.0%程度
-
・境界型糖尿病:6.0〜6.4%
-
・糖尿病の可能性:6.5%以上
HbA1cは食事や時間帯の影響を受けにくく、安定した情報が得られるのが特徴です。
たとえば、検査時の血糖値は正常でも、HbA1cが高ければ「普段から高血糖が続いている」ことを示す可能性があります。
3. 血糖値とHbA1cをセットで読む理由
血糖値とHbA1cは、それぞれ役割が異なるため「セットで解釈すること」が重要です。
-
・血糖値:その瞬間の状態(スナップショット)
-
・HbA1c:過去1〜2か月の平均(通信簿)
一方の数値だけで判断すると見落としが出ます。
例えば「血糖値は正常でもHbA1cが高い」場合、慢性的に高血糖が続いていることがあります。逆に「HbA1cは正常でも食後血糖が高い」人もおり、血管へのダメージが進んでいることも。
正しい健康状態を知るには、この2つをあわせて見ることが欠かせません。
4. 日常生活と数値の関係:変動をどう読むか
数値は単なる結果ではなく、「生活習慣の映し鏡」です。
-
・HbA1cが少し上がった → 食事・運動・ストレスの影響を振り返る
-
・血糖値が基準内でも変動が大きい → 将来のリスクを見据えて改善する
大切なのは「一度の数値で安心・落胆しないこと」。むしろ 継続的な変化のパターンを把握すること が、健康維持に直結します。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、採血結果の数値と生活習慣の両方を考慮しながら、患者さん一人ひとりに合ったアドバイスを行っています。
まとめ
\ 自分の体を「数字」で知ろう /
血糖値とHbA1cは、自分の体の状態を客観的に見える化してくれる重要な指標です。
大事なのは数値そのものではなく、その背景にある生活習慣との関係を理解すること。
「ちょっと高いけど大丈夫かな?」と不安に思ったときは、自己判断せず専門医に相談してください。定期的にチェックし、生活を見直すことが、将来の健康を守る第一歩になります。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。