最近、「潰瘍性大腸炎」という病名を耳にする機会が増えてきました。特に若い世代での発症が目立ち、進学や就職、結婚など生活の変化が多い時期と重なることも多く見られます。
潰瘍性大腸炎は誰でも発症する可能性がありますが、特定の傾向や体質を持つ人に多く見られることもわかってきています。「自分は大丈夫?」「家族に患者がいる場合は遺伝するの?」そんな疑問にお答えするため、今回は潰瘍性大腸炎になりやすい人の特徴やリスク要因、日常で気をつけたいポイントをわかりやすくまとめました。
1. 潰瘍性大腸炎になりやすい人の共通点
潰瘍性大腸炎は誰にでも発症する可能性がありますが、発症年齢や生活環境、職業などに一定の傾向があります。
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・発症年齢:10代後半〜30代前半に多く、特に20代での発症が目立ちます。生活環境やストレスの変化が引き金になることがあります。
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・性別:やや男性に多い傾向ですが、女性も発症します。「男性病」とは言えません。
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・家族歴:発症者の10〜15%は家族に同じ病気がいると報告されています。遺伝的素因が一部関与していると考えられます。
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・生活環境:都市部在住や比較的清潔な環境で育った人に多い傾向があります。「清潔すぎる環境が免疫異常を招くのでは」とする説もあります。
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・生活習慣:喫煙歴、過度なストレス、睡眠不足、長時間労働などもリスク因子に挙げられます。
2. 体質・生活習慣との関係
潰瘍性大腸炎は、免疫反応が過敏な体質の人に発症しやすいと考えられています。
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・免疫の過敏反応:腸内環境を正常に保つ免疫機能が暴走し、自分の腸粘膜を攻撃することがあります。
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・関係する体質:アレルギー体質、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患などを持つ人は注意が必要です。
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・腸内環境:食物繊維不足や加工食品・高脂肪食の多い食生活、抗生物質の頻繁な使用は腸内フローラのバランスを崩し、リスクを高めます。
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・ストレス・睡眠・過労:腸管の動きやバリア機能を低下させ、炎症が悪化しやすくなります。ストレスに敏感な人、睡眠の質が悪い人も要注意です。
3. 遺伝や家族歴との関係
潰瘍性大腸炎は遺伝性疾患ではありませんが、家族歴との関係は確かに存在します。
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・患者さんの約10〜15%に家族歴あり
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・両親や兄弟に患者がいる場合、発症リスクは一般より高め
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・遺伝的素因と生活環境が組み合わさることで発症しやすくなる
家族に患者がいる場合、腹痛や血便などの初期症状に早く気づくことが大切です。早期発見・早期治療が進行を抑える鍵になります。大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、家族歴がある方の相談や定期チェックも受け付けています。
4. 年齢や性別、発症しやすいライフステージ
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・年齢:10代後半〜30代前半が多く、大学進学や就職、転職、結婚といった生活の変化が発症のきっかけになることもあります。
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・性別:男性にやや多い傾向がありますが、重症度や再燃率は男女差がほとんどありません。
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・妊娠・出産:女性でも寛解期を保てれば妊娠・出産は可能です。妊活中の方は医師と相談しましょう。
どの世代でも発症する可能性があるため、油断せず腸の健康管理が重要です。
5. なりにくくするために気をつけたいこと
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・腸内環境を整える:食物繊維や発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)を日常的に摂取
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・加工食品・高脂肪食の控え:腸への負担を減らし、炎症リスクを下げる
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・ストレス管理・十分な休養:リラックスする時間、睡眠、軽い運動、趣味の時間を確保
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・症状を見逃さない:腹痛や血便、下痢などが続く場合は早めの受診が重要
日常のちょっとした工夫と早期対応が、潰瘍性大腸炎の予防・進行防止につながります。
まとめ
潰瘍性大腸炎になりやすい人には、年齢・性別・体質・生活習慣・家族歴などの共通点があります。
誰でも発症する可能性のある病気だからこそ、日々の腸内環境ケアやストレス管理、早期の医療相談が重要です。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、患者さん一人ひとりに寄り添い、早期発見と適切なサポートを行っています。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。