皮膚の下に「丸いしこり」を触れたことはありませんか?
普段は痛みがなく放ってしまいがちですが、ある日突然赤く腫れて痛み出すことがあります。
その正体のひとつが「粉瘤(ふんりゅう)」です。
粉瘤は皮膚にできる良性腫瘍で、命に関わるものではありませんが、炎症や感染を起こすと強い痛みや膿を伴い、治療が難しくなることもあります。
早めの診察が大切です。
粉瘤ができる仕組みとできやすい部位
粉瘤(アテローム、表皮嚢腫)は、皮膚の下に袋ができ、その中に角質や皮脂がたまって発生します。
顔・首・背中・耳の後ろ・おしりなど、皮脂腺が多く摩擦を受けやすい場所に多く見られます。
数ミリから数センチまで大きさはさまざまで、中心に黒い点(開口部)が見られることもあります。
無症状のことも多いですが、細菌が入ると「炎症性粉瘤」となり、赤く腫れて強い痛みを引き起こすため注意が必要です。
原因と悪化のサイン
粉瘤ができるはっきりとした原因は解明されていませんが、毛穴の詰まり、皮膚の外傷やニキビ跡、皮脂の過剰分泌、長時間の摩擦や圧迫などが関係すると考えられています。
次のような変化があれば悪化のサインです。
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・急に大きくなる
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・赤く腫れる
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・押すと痛みがある
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・熱を持っている
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・膿が出てきた
これらの症状が出た場合は炎症や感染が進んでいる可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。
治療法と手術
粉瘤を根本的に治すには「袋ごと摘出する手術」が必要です。袋を残すと再発のリスクが高まるため、完全な除去が重要です。
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炎症がない場合:局所麻酔で日帰り手術が可能です。傷跡も最小限に抑えられます。
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炎症がある場合:まず抗生物質や切開で膿を出し、炎症が落ち着いてから改めて手術を行います。
炎症が強いと手術が難しくなり傷跡も大きくなるため、早めの対応が望まれます。
他の病気との違い
粉瘤と似たしこりには以下のようなものがあります。
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脂肪腫:皮下脂肪のかたまりで、やわらかく動くが粉瘤のような開口部はない
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ニキビ・毛包炎:毛穴の炎症で見た目は似ていても構造が異なる
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皮膚がん:形がいびつ、色が不自然、出血を伴う場合は悪性の可能性も
また、まれに粉瘤が悪性化するケースも報告されています。
長期間放置は避けましょう。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでの診療の流れ
当院では、粉瘤に対して以下の流れで診療を行います。
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問診・診察:しこりの状態を詳しく確認し、必要に応じて超音波検査を実施。
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治療方針の説明:炎症の有無に応じて手術または内服治療を提案。
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手術・処置:局所麻酔で15〜30分程度、日帰り手術が可能です。
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術後フォローアップ:抜糸や再発予防のアドバイスを行い、不安があればいつでも相談いただけます。
まとめ
粉瘤は一見ただのしこりに見えても、放置すると炎症や感染で治療が難しくなります。
脂肪腫やニキビとは異なるため、自己判断せずに早めの診断が必要です。
早期に治療を行えば、傷跡も最小限に抑えられ、再発のリスクも減らせます。
気になるしこりがある方は、どうぞご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。