先日、居酒屋で出てきた「鳥刺し」。レアな鶏肉を「美味しい!」と味わった翌日から、お腹がゴロゴロ痛む、熱っぽい、下痢が止まらない…。そんな経験をした方はいませんか?
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックにも「鳥刺しを食べてから体調が悪い」という相談は少なくありません。実はそれ、カンピロバクターという細菌による食中毒の可能性があります。
ここでは、カンピロバクターの特徴や自宅での対処法、そして病院を受診すべき症状について詳しく解説します。
1. 鳥刺しで起こる「カンピロバクター」食中毒とは?
カンピロバクターは、鶏肉に多く存在する食中毒菌の一種で、生肉や加熱不十分な鶏刺し・タタキ・レバーなどから感染します。少量でも発症するため「一口だけだから平気」という油断は禁物です。
潜伏期間は1〜7日(平均2〜3日)。そのため、食べた翌日に症状が出る人もいれば、数日後に体調を崩すケースもあります。
主な症状は以下の通りです:
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・水のような下痢(1日数回〜10回以上)
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・38℃前後の発熱
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・強い腹痛や吐き気
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・倦怠感や関節痛
まれにギラン・バレー症候群という神経の合併症を引き起こすこともあります。また、市販の下痢止めを使うことで菌が排出されず、かえって症状が悪化するケースもあるため注意が必要です。
2. 自宅でできる対処法と過ごし方
食中毒でまず大切なのは脱水を防ぐことです。下痢や発熱で体の水分・電解質が失われるため、経口補水液(OS-1など)やイオン飲料をこまめに摂取しましょう。
嘔吐がある場合は無理に飲まず、吐き気が落ち着いたときにスプーン1杯ずつ少量でゆっくり補給すると吸収しやすいです。
食欲がないときは無理して食べなくても構いません。水分補給を優先し、回復してきたらおかゆやうどんなど消化にやさしい食事から始めましょう。
薬については、整腸剤や下痢止めの自己判断は避けてください。体は菌を排出しようとしているため、無理に止めると回復が遅れることがあります。
入浴は熱が高くなければ短時間ならOK。長湯は体力を消耗するため控え、温かい部屋で安静に過ごすことが大切です。
3. 病院に行くべき症状とは?
「このまま自宅で治るかな?」と迷う方も多いですが、次のような症状がある場合は早めの受診が必要です。
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・下痢が1日5回以上続く、または3日以上治らない
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・38.5℃以上の高熱が2日以上続く
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・水分が全く摂れない、またはすぐ吐いてしまう
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・血便や黒色のタール便が出る
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・腹痛が強く我慢できない
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・めまい・立ちくらみ・脱力など脱水が疑われる
特に乳幼児・高齢者・持病のある方は重症化しやすいため、早めの受診が重要です。
さらに、カンピロバクターは便や手指を介して家族や周囲に感染することがあります。調理やトイレの後は石けんでの手洗いを徹底しましょう。
まとめ
鳥刺しや鶏のタタキなどの生肉を食べたあとに下痢や発熱が出た場合、カンピロバクター食中毒の可能性があります。
水分補給と安静で回復することもありますが、症状が強い・長引く場合は医療機関を受診しましょう。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、食中毒に関するオンライン・対面診療に対応しています。
「体調が変だな」と思ったら、自己判断せず医師に相談するのが安心です。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。