「おしりがムズムズして落ち着かない」「夜になると余計にかゆくなる」「薬を塗っても一時的に良くなるだけでまたかゆみが戻る」――こんな経験はありませんか?
おしりのかゆみは恥ずかしさから放置されがちですが、実は痔(いぼ痔・裂肛など)の初期サインであることが少なくありません。
早めに気づき、正しくケアすることで、かゆみの悪化や出血・痛みといったつらい症状を防ぐことができます。
今回は「おしりのかゆみと痔の関係」「かゆみの特徴」「他の原因との違い」「自宅でできるセルフケア」「病院に行く目安」について、分かりやすく解説します。
1. おしりのかゆみと痔:どんな関係がある?
痔は肛門周囲の血管や皮膚が炎症や腫れを起こす病気で、その中でも**いぼ痔(痔核)や裂肛(切れ痔)**はかゆみを伴うことがよくあります。
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いぼ痔の場合:痔核が出たり戻ったりすることで粘液が付着し、下着との摩擦や蒸れが起き、皮膚が炎症してかゆみを感じます。
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裂肛の場合:排便時に肛門の粘膜が裂け、その傷が治る過程でかゆみを感じることがあります。
進行すると分泌液や便の残りが皮膚に付着し、炎症や湿疹の原因に。
掻くことでさらに皮膚を傷つけ、悪循環に陥りやすくなります。
2. 痔によるかゆみの特徴的なサイン
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かゆみの出やすいタイミング:排便後、長時間座っているとき、夜や入浴後
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かゆみの性質:カサカサ・ヒリヒリ感、あるいはジトジト・べたつくかゆみ
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伴う症状:軽い出血、分泌液や粘液が下着に付く、痔核の脱出感や違和感
これらが当てはまる場合、痔が原因である可能性が高いと考えられます。
3. 他の原因との違い
痔以外にも、おしりのかゆみを起こす要因はあります。
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皮膚炎・接触性皮膚炎(石鹸・下着の刺激など)
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真菌感染(カンジダなど)(赤みや湿気、白いカスが特徴)
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ぎょう虫など寄生虫(特に夜間にかゆみが強い)
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全身性疾患(糖尿病・アトピー・乾癬など)
原因を見極めるには、発症タイミングや皮膚の状態をよく観察することが大切です。
4. 自宅でできるセルフケア
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清潔の保ち方:強くこすらずやさしく拭く。温水洗浄便座は使いすぎない。入浴で血流をよくする。
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衣類の工夫:通気性の良い綿素材の下着を選び、蒸れを防ぐ。
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食生活と排便習慣:食物繊維と水分をしっかり摂り、便をやわらかく保つ。香辛料・アルコールは控える。
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保湿と外用薬:市販の保湿クリームやかゆみ止めを活用。強い炎症時は医師に相談のうえで薬を使用。
5. 病院に行くべき目安
次のような症状がある場合は、自己判断せず専門医の診察を受けましょう。
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・かゆみが数週間以上続く
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・出血・分泌液・腫れを伴う
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・排便時の強い痛みやしこり感がある
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・発熱や体調不良など全身症状を伴う
肛門科や大腸肛門病専門医では、痔かどうかを確認し、外用薬・坐薬・生活指導、場合によっては手術まで幅広く対応できます。
まとめ
おしりのかゆみは「恥ずかしいから」と放置しがちですが、痔の初期症状であるケースが多くあります。
痔によるかゆみは、排便後や下着の摩擦・蒸れ、分泌液などがきっかけとなることが多く、進行すると出血や痛みにもつながります。
清潔や衣類・生活習慣の工夫で改善することもありますが、長引く・悪化する場合は早めに専門医に相談しましょう。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、痔やおしりのかゆみの原因を丁寧に診断し、それぞれに合った治療をご提案しています。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。