
「なんだか胃が重い…」「食後に膨らんだような感じが続く」「朝起きたときから胃がすっきりしない」──こうした胃もたれを経験する方は少なくありません。
多くの場合は食べ過ぎや脂っこい食事、アルコール、ストレスが原因の一時的な不調で済みます。しかし、胃もたれが数週間以上続く場合は、病気が隠れている可能性もあるのです。その中には、初期には自覚症状が乏しい胃癌が含まれることもあります。
ここでは、胃もたれの仕組みや原因、注意すべきサイン、検査・治療、そして日常でできる予防策について詳しく解説します。
1. 胃もたれとは?症状と仕組み
胃もたれとは、食べ物が胃に長く滞留し、消化がスムーズに進まない状態を指します。典型的な症状には以下があります。
-
・みぞおちの重苦しさ
-
・食後の膨満感・胃の張り
-
・吐き気や胃に残っているような感覚
原因としては、胃の蠕動運動の低下、胃酸分泌の異常、食事内容や生活習慣の乱れ、ストレスなどが挙げられます。
大半は軽度で一時的ですが、症状が長引く場合は病気の可能性も考えなければなりません。
2. 胃もたれが続く原因:生活習慣か病気か?
胃もたれの原因は大きく「生活習慣」と「病気」に分けられます。
生活習慣によるもの
-
・暴飲暴食
-
・脂っこい食事や刺激物の摂取
-
・夜遅い食事
-
・睡眠不足や過度のストレス
こうした原因は生活改善でよくなることが多いです。
病気によるもの
-
・慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
-
・ピロリ菌感染
-
・機能性ディスペプシア
-
・胃癌
病気が背景にある場合、症状は生活習慣を改めても改善しにくくなります。
病気を疑うサイン
-
・原因が見当たらないのに胃もたれが続く
-
・体重減少や食欲不振
-
・吐血・黒色便などの出血サイン
-
・空腹時や夜間にも胃の不快感がある
3. 胃癌と胃もたれ:早期発見のために
胃癌は初期の自覚症状に乏しく、胃もたれや軽い違和感程度しか出ないことが少なくありません。進行すると食べ物が通過しにくくなり、少量の食事でも苦しい・吐き気・嘔吐などが現れます。
注意すべきポイント
-
・胃もたれが数週間以上続く
-
・食生活を改善しても良くならない
-
・体重が減ってきた
-
・吐き気や黒色便、貧血症状がある
胃癌は早期であれば内視鏡での治療が可能で、体への負担も小さく済みます。放置せず、早期に検査を受けることが重要です。
4. 胃もたれが続くときに受けるべき検査
症状が長引くときには、医師による診察と以下のような検査が行われます。
-
胃カメラ(内視鏡検査):胃や食道、十二指腸の粘膜を直接観察でき、炎症や潰瘍、腫瘍を確認できます。
-
ピロリ菌検査:陽性なら除菌治療が必要です。
-
超音波・CT検査:他臓器の関与を調べます。
-
血液検査:貧血や炎症、腫瘍マーカーなどを確認します。
診断後は、原因に応じた治療(薬物療法・除菌・生活改善・内視鏡治療など)が行われます。
5. 胃もたれ改善と予防の生活習慣
胃もたれを防ぐには、日常生活の工夫が大切です。
-
💡 食べ過ぎを避け、腹八分目を意識する
-
💡 脂っこいもの・刺激物・アルコールを控える
-
💡 就寝3時間前までに食事を終える
-
💡 睡眠をしっかりとる
-
💡 ストレスをためすぎない
-
💡 適度な運動や入浴で血流を良くする
-
💡 定期的に検査を受ける
こうした取り組みで胃の負担を軽くでき、病気の予防にもつながります。
まとめ
胃もたれは多くの場合、食生活やストレスによる一時的な不調ですが、長く続く場合には胃癌をはじめとする病気のサインである可能性があります。
数週間以上症状が改善しない、体重減少や吐血などの異変がある場合には、迷わず胃カメラ検査を受けましょう。
早期発見が治療の成否を大きく左右します。違和感を感じたら「ただの胃もたれ」と思わず、早めに医療機関へ相談することが大切です。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。




















