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2025.10.24

放置NG!肛門ヘルペスの治療と再発予防をわかりやすく解説

「お尻がヒリヒリする」「痛くて座るのもつらい」──そんなとき、「痔かな」と思って市販薬を塗っていませんか?

実は、その痛みやかゆみは肛門ヘルペスが原因のこともあります。

肛門ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって起こる感染症です。

疲労やストレス、免疫力の低下をきっかけに再発する特徴があり、見た目や症状が痔と似ているため、誤診・放置されやすい病気です。

放っておくと痛みや違和感が長引き、排便がつらくなることもあります。

この記事では、肛門ヘルペスの原因・症状・検査・治療・再発予防までを医療の視点でわかりやすく解説します。


1. 肛門ヘルペスとは?原因とウイルスの特徴

肛門ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型または2型の感染によって発症します。

多くは性行為による接触感染が原因ですが、感染後にウイルスが神経節に潜伏し、体の免疫が落ちたときに再び活動を始めることがあります。

潜伏期間は数日から2週間ほど。発症すると肛門周囲に水ぶくれやただれ、強い痛み・かゆみが出現します。

排便時に痛みが増すことも多く、座る・歩くのもつらいケースも少なくありません。


2. 肛門ヘルペスの主な症状と見分け方

症状の特徴は以下の通りです。

  • 肛門まわりのヒリヒリ感、チクチクした痛み

  • 小さな水ぶくれが出て、潰れるとびらん(ただれ)になる

  • 排便時や肛門を拭くときに強い痛み

  • 軽い出血や粘液の分泌

  • 発熱やだるさを伴う場合も

💡**「痔」との違いの見極めポイント**

  • ・痔の薬を塗っても改善しない

  • ・水ぶくれやただれが見える

  • ・定期的に同じ場所が再発する

初期症状が軽い場合は見逃されやすく、視診だけでは判別できないこともあります。そのため、必要に応じて**抗原検査や血液検査(抗体検査)**を行うことが大切です。


3. 検査・診断と治療方法

医師はまず問診と視診を行い、典型的な水ぶくれやびらんがあれば診断可能です。

不明確な場合は以下の検査を行います。

  • ウイルス抗原検査:病変部の分泌液からウイルスを検出

  • 抗体検査:血液でHSV感染の有無を確認

  • 病理検査:必要に応じて組織を採取

治療は**抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)**が中心で、内服や外用薬を使い分けます。早期に治療を始めるほど、痛みや再発を抑えやすくなります。

また、排便後の清潔保持刺激を避ける生活も重要です。当院のような肛門専門クリニックでは、検査から治療・再発予防まで一貫してサポートしています。


4. 再発の原因と予防策

ヘルペスウイルスは体内に潜伏するため、完全に消えることはありません。再発を防ぐためには以下を心がけましょう。

  • ・十分な睡眠と休息

  • ・栄養バランスのとれた食事

  • ・ストレスの軽減

  • ・肛門部の清潔維持(強くこすらない)

  • ・性行為時のコンドーム使用

「ヒリヒリする」「違和感がある」などの予兆を早めに察知して受診することで、重症化や再発を防ぐことができます。


5. 治療後のケアと生活習慣

症状が治まっても再発防止のためには、日常ケアが欠かせません。

  • 💡 排便後はぬるま湯で優しく洗浄し、清潔を保つ

  • 💡 通気性の良い下着を着用

  • 💡 強い洗浄剤やアルコール入り製品は避ける

  • 💡 便秘や下痢を防ぐために食物繊維と水分をしっかり摂る

こうしたケアを続けることで、皮膚への刺激を防ぎ、再発リスクを大きく減らすことができます。


まとめ

肛門ヘルペスは「痔」と間違われやすい感染症ですが、痛みやかゆみ、水ぶくれ、びらんが特徴です。自己判断で市販薬を使うよりも、早期に専門医を受診することで治りも早く、再発のリスクも軽減します。

再発を繰り返す方は、免疫力の維持と日常ケアがカギです。違和感を感じたら、早めに専門医へ相談しましょう。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。