
「なんだか足の親指がズキズキ痛い…」「歩くたびに痛くて靴も履けない」
そんな経験はありませんか?もしかすると、それは“痛風発作”のサインかもしれません。
痛風発作は、ある日突然やってくる激しい関節痛として知られています。その痛みは「シーツが触れただけでも飛び上がるほど」と表現されるほど強烈で、我慢してしまうと数日から1週間以上続くこともあります。
この発作の背景には「高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)」という状態があります。血液中の尿酸が増えすぎて関節内で結晶化し、免疫反応によって炎症が起こるのです。発作を繰り返すと、関節の変形や腎臓へのダメージにもつながるため、早期の対策がとても大切です。
この記事では、痛風発作の症状・原因・治療法・予防法、そして日常でできるケアまで、わかりやすく整理して解説します。
1. 痛風発作って何? – 原因と発症のメカニズム
痛風発作とは、血液中の尿酸値が高くなり(高尿酸血症)、尿酸が関節内で結晶として沈着し、それを体の免疫が“異物”とみなして炎症を起こす状態を指します。
痛みが起こる代表的な部位は足の親指の付け根(母趾MTP関節)ですが、足首、膝、手首、肘などに起きることもあります。
主な原因
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プリン体の摂りすぎ:肉・魚卵・内臓・干物・ビールなどの摂取が多い
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尿酸の排出低下:腎機能低下、薬の影響、遺伝的要因など
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生活習慣の乱れ:過度な飲酒、脱水、無理なダイエット、ストレス、急激な体重変化など
尿酸値が高くても無症状の期間が長いことも多く、「高尿酸血症=すぐ痛風」とは限りません。
しかし放置すると、痛風発作のリスクが高まるほか、「痛風結節」や「腎障害」などの合併症を引き起こすこともあります。
2. 痛風発作の典型的な症状と前兆サイン
痛風発作の特徴は「突然の激しい痛み」です。
夜中や明け方に発作が起こることが多く、次のような症状がみられます。
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激しい関節痛:軽く触れるだけでも激痛。動かすのが困難になることも。
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関節の腫れ・赤み・熱感:炎症のため関節が腫れ、熱をもつ。皮膚が赤く光ることも。
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発作部位:足の親指の付け根が最も多いが、足首・膝・手首なども起こる。
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前兆サイン:発作の数時間〜1日前に「ムズムズ感」「違和感」「しびれ」を感じることも。
適切な治療を受ければ、通常1〜2週間で痛みは落ち着きますが、放っておくと関節破壊や腎機能障害のリスクが高まります。
初めて発作が出た場合でも、早めに医療機関を受診しましょう。
3. 発作が起きたらどうする?治療法と対応の流れ
痛風発作が起きたら、まずは炎症を抑えることが最優先です。
対応のポイント
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安静と冷却:痛む部位を動かさず、靴や靴下で圧迫しないように。冷たいタオルや氷嚢で冷やすと炎症が和らぎます。
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薬物治療:
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NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):痛みと腫れを和らげる標準的治療。
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コルヒチン:発作の初期に使用すると効果的。
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ステロイド:上記が使えない場合や炎症が強いときに使用。
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発作が落ち着いた後は、**尿酸値を下げる治療(アロプリノール・フェブキソスタットなど)**で再発を防ぎます。
また、発作時の治療だけで終わらせず、「生活習慣の改善」も長期的には欠かせません。
4. 再発を防ぐための生活習慣と予防戦略
痛
風発作は再発しやすい病気です。しかし、日常の工夫で予防することができます。
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体重管理:肥満は尿酸値上昇の大きな要因。減量は効果的な対策。
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食事の工夫:プリン体の多い食品を控え、野菜・乳製品・豆類をバランスよく。
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水分摂取:1日2Lを目安にこまめに水を飲み、尿酸の排泄を促進。
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アルコール制限:特にビールは要注意。できるだけ控えるのが望ましい。
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ストレスケアと睡眠:過労・ストレス・寝不足も発作の誘因になります。
5. 日常でできるケアと治療後のフォローアップ
発作が治まった後も、再発予防と関節保護のためのケアが大切です。
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関節リハビリ:無理のない範囲でストレッチや軽い運動を行う。
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靴選び:ゆとりのある靴で親指の付け根への圧迫を避ける。
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定期的な尿酸値チェック:目標は6.0mg/dL以下。定期的に採血で確認。
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薬の継続服用:症状が落ち着いても自己判断で中止しない。
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合併症対策:腎障害・痛風結節・尿路結石の予防も並行して行う。
🔍まとめ
痛風発作は、「突然の激痛」で始まる代表的な生活習慣病のひとつです。
しかし、原因を理解し、正しい治療と生活改善を続ければ、再発を防ぐことができます。
発作時にはNSAIDs・コルヒチンなどで炎症を抑え、その後は尿酸値をコントロールする薬と生活習慣の見直しが重要です。
足の親指の痛みを感じたら我慢せず、早めに専門医へ相談しましょう。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、痛風発作の治療から尿酸管理・生活習慣改善までトータルにサポートしています。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。


















