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2025.10.30

冬の食中毒はなぜ起きる?家庭でできる感染防止策を徹底解説

「食中毒=夏のイメージ」と思っていませんか?

実は、冬こそ食中毒が増える季節。特にノロウイルスは乾燥した冬に活発になり、11月〜3月にかけて患者数が急増します。さらに、鍋料理・おせち・煮込み料理など、冬の人気メニューにも意外な落とし穴が…。

この記事では、冬の食中毒の原因・特徴・家庭でできる予防策を、医療の視点からわかりやすく解説します。


1. 冬の食中毒はなぜ増える?その背景と原因

「食中毒=夏」というイメージは強いですが、実際には冬の食中毒患者数も非常に多いのです。

その主な原因は「ウイルス型食中毒」。特にノロウイルスは乾燥と低温に強く、空気中や表面で長時間生き続けるという特徴を持っています。

さらに冬は、

  • ・年末年始など人の集まりが増える

  • ・大人数分の料理を前日に仕込み、長時間常温で放置しがち

  • ・暖房による乾燥でウイルスが飛びやすくなる

といった条件が重なり、感染拡大のリスクが高まります。

家庭内では、トイレやキッチンでの二次感染も多く、「風邪かな?」と見過ごされることも珍しくありません。


2. ノロウイルスだけじゃない!冬に多い食中毒の種類

■ ノロウイルス

冬の代表的な食中毒の原因。わずか数個のウイルスで感染し、吐き気・嘔吐・下痢・発熱などを引き起こします。

生牡蠣などの二枚貝が感染源となるほか、調理者の手やまな板からの二次感染にも注意が必要です。

■ ウェルシュ菌

「一晩寝かせたカレー」で知られる食中毒の原因菌。加熱後に常温で放置すると増殖し、翌日腹痛や下痢を起こします。

耐熱性の芽胞を持つため、再加熱しても死滅しない場合があります。

■ カンピロバクター

主に加熱不十分な鶏肉や、生肉を扱った包丁・まな板の使い回しで感染します。季節を問わず発生しますが、冬も油断は禁物です。

どの菌・ウイルスでも共通するのは、**「突然の嘔吐・下痢・腹痛」**といった急激な症状。

発症後は自己判断せず、医療機関に相談しましょう。


3. 家庭で実践できる!冬の食中毒予防の基本ポイント

✅ 手洗いの徹底

 ↳ 手洗いは最も重要な対策。トイレの後・調理前後・食事前には、石鹸と流水で30秒以上しっかり洗いましょう。アルコールでは効かないウイルスもあるため、石鹸洗浄が基本です。

✅ 食材は中心までしっかり加熱

 ↳ ノロウイルスは90℃で90秒以上の加熱で不活化されます。特に貝類や鶏肉は中までしっかり火を通すことが大切です。

✅ 作り置き・煮込み料理の管理

 ↳ カレーやおでんなどの料理を常温で一晩放置しないこと。冷めたら速やかに冷蔵庫へ入れ、食べる際は十分に再加熱を。

✅ 調理器具の衛生管理

 ↳ 生肉や魚を扱った包丁・まな板は使用後すぐに洗浄・消毒を。器具の使い分けも有効です。

✅ 吐しゃ物や下痢の処理方法

 ↳ ノロウイルスは極めて感染力が強いため、処理時はマスクと手袋を必ず着用。塩素系消毒液で拭き取り、布類は密封して洗濯を。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、ご家庭での感染予防法についても丁寧にアドバイスし、ご家族全体の健康をサポートしています。


4. 症状が出たときの対応と受診の目安

食中毒の初期症状は「嘔吐・下痢・腹痛・微熱」など。ノロウイルスでは突然の嘔吐が特徴です。

まずは脱水症状の予防を最優先に。経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ、こまめに摂取しましょう。

胃腸が落ち着くまでは無理に食べず、回復を見ながらおかゆなど消化の良い食事へ移行します。

以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 高熱が続く

  • 血便が出る

  • 水分が取れずぐったりしている

  • 乳幼児・高齢者で意識がぼんやりしている

感染症の種類によっては抗菌薬が必要な場合もあります。市販薬の使用は避け、医師の判断を仰ぎましょう。


5. まとめ|冬も油断せず、安心・安全な食生活を

冬の食中毒は「乾燥」「低温」「集まりの多い季節」といった環境が重なり、発生リスクが高まります。

ノロウイルスやウェルシュ菌、カンピロバクターなどは家庭での調理・管理次第で予防可能です。

  • ・手洗いを徹底する

  • ・食材はしっかり加熱

  • ・作り置き料理は冷蔵・再加熱

  • ・調理器具は清潔に保つ

これらを意識することで、家族の健康を守ることができます。体調に異変を感じたら早めに受診を。

冬こそ「見えない食中毒」に注意し、安心できる食生活を送りましょう。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。