
トイレでふと気づく「血の混じった便」や「トイレットペーパーに付いた鮮血」。
思わず「これって大丈夫なの?」「痔かもしれないけど病院に行くべき?」と不安になりますよね。
血便は、肛門のトラブルから大腸や胃などの消化管の病気まで、さまざまな原因で起こる症状です。
しかし、どの科を受診すべきか迷う方も多いでしょう。
この記事では、**「血便が出たとき、肛門科と内科(消化器内科)のどちらを受診すべきか」**を、症状別にわかりやすく解説します。
また、受診前にセルフチェックできるポイントや、実際の検査の流れも紹介します。
1. 血便とは?色や混ざり方でわかる出血の場所
血便といっても、色・量・出るタイミングによって原因や出血部位は異なります。
以下を参考に、どのあたりからの出血が疑われるかを確認してみましょう。
| 血の特徴 | 主な出血部位・原因の可能性 |
|---|---|
| 鮮やかな赤い血 | 肛門・直腸・下部大腸(痔・裂肛など) |
| 黒っぽいタール便 | 胃・十二指腸など上部消化管(胃潰瘍・出血性胃炎など) |
| 便に血が混ざる | 大腸中〜上部の出血(大腸ポリープ・炎症性腸疾患など) |
さらに、次のような症状も見逃せません。
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・排便時に鮮血が出る → 痔や裂肛の可能性
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・便に血が混じる・体重減少や便通異常 → 大腸がん・炎症性腸疾患の可能性
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・出血が少量でも長く続く → 精密検査が必要なケース
血便を単なる「痔だろう」と決めつけず、**「どこから・なぜ出ているのか」**を意識することが、正しい診断への第一歩です。
2. 肛門科・内科どちらを受診?見分け方のポイント
▶ 肛門科の受診が適しているケース
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〇 排便後に鮮血が少量つく、便器にポタッと血が落ちる
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〇 肛門の痛み・違和感・痔の既往がある
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〇 便通や体調に大きな変化がない
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〇 強くいきむ・便秘・長時間のトイレ習慣がある
これらに当てはまる場合は、**肛門疾患(痔核・裂肛など)**の可能性が高く、肛門科での診察が推奨されます。
多くは保存療法(軟膏・座浴・便通改善など)で改善が見込めます。
▶ 内科(消化器内科)の受診が望ましいケース
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〇 血便が便に混ざっている、または黒っぽい便が出る
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〇 便秘と下痢を繰り返す、細い便、残便感がある
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〇 体重減少・貧血・倦怠感などの全身症状がある
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〇 50歳以上、または家族に大腸がんの既往がある
こうした場合、腸管内部や大腸の疾患(大腸ポリープ・がん・潰瘍性大腸炎など)が疑われます。
内視鏡検査が行える消化器内科の受診をおすすめします。
なお、肛門科と内科(消化器内科)の両方に対応しているクリニックであれば、原因の見極めがスムーズです。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、両分野の診療を一体的に行っています。
3. 受診のタイミングと「血便で要注意なサイン」
次のようなサインがある場合は、できるだけ早めに受診しましょう。
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・血便が何度も出る、または一度でも大量出血がある
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・体重減少・倦怠感・食欲不振・夜間発汗がある
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・便が細くなった、回数が増えた/減った
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・50歳以上、家族に大腸がんの既往がある
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・痔の症状がないのに出血している
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・保存療法を続けても2〜4週間改善しない
反対に、
鮮血が少量・痛みを伴う・体調変化がない場合は、まず肛門科での保存療法を受けるのが妥当です。
ただし改善しない・繰り返すときは、内視鏡検査を受けましょう。
4. 受診後の流れと検査内容
血便で受診した際には、次のような流れで診察が行われます。
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①問診・既往歴の確認
↳出血の色・量・頻度、便の性状、家族歴、服薬内容を詳しく聞き取ります。 -
②視診・触診・肛門鏡検査
↳痔核や裂肛の有無を確認します。 -
③血液検査
↳貧血や炎症反応、出血傾向をチェック。 -
④大腸内視鏡検査
↳原因不明の場合や腸疾患が疑われる場合に実施。ポリープや腫瘍の早期発見に有効です。
検査結果に応じて、痔の治療・ポリープ切除・専門的治療などを進めます。
当クリニックでは、必要に応じて専門医連携を行い、早期発見・早期治療を重視しています。
5. まとめ:血便を放置せず、早めの受診を
血便は、痔だけでなく、大腸ポリープやがんの初期サインであることもあります。
「少しだけだから」と放置せず、症状の特徴から適切な科を選び、早めに受診することが安心への近道です。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、肛門科・消化器内科の双方に対応し、血便の原因を丁寧に診断・治療しています。
気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
【参考文献】
- ・Hira Imran et al. Lower Gastrointestinal Hemorrhage. JAMA. 2015.
- ・Numans ME. The Dutch College of General Practitioners guidelines on “Rectal bleeding”: a realistic view of a warning sign. Ned Tijdschr Geneeskd. 2009.
- ・Wald A. et al. ACG Clinical Guideline: Management of Benign Anorectal Disorders. Am J Gastroenterol. 2021;116(10):1987‑2008.
- ・ASCRS Handbook – Management of Hemorrhoids. Diseases of the Colon & Rectum. 2024.
- ・Kairaluoma M. Examining a patient with rectal bleeding. EBM Guidelines. 2024.



















