
「最近ずっと胃が重い」「食べたあとスッキリしない」──そんな“胃もたれが続く”症状、実は多くの方が感じています。
最初は軽い不快感でも、「そのうち治るだろう」と放置しているうちに、1週間、2週間と続いてしまうことも少なくありません。
では、その胃もたれは“様子を見てよい”ものなのか、それとも“病院に行くべき”状態なのか?
今回は、大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックの観点から、胃もたれが続く原因やセルフケアのポイント、そして受診すべきサインを分かりやすく解説します。
1. 胃もたれが続くとは?その原因と見落としがちなポイント
胃もたれとは、「食後になかなか胃が軽くならない」「胃が張って苦しい」「すぐ満腹になる」といった不快感を指します。
医学的には「胃・十二指腸の機能異常による症状」とされ、特に明確な異常がない場合は“機能性ディスペプシア”と呼ばれます。
短期間で治まることもありますが、数日から数週間以上続く場合は注意が必要です。
主な原因として、以下のような要因が関係します。
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・食生活の乱れ:脂っこいもの・刺激物・アルコール・早食い・食べ過ぎ
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・胃の動きの低下:加齢やストレスで胃の排出が遅くなる
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・自律神経の乱れ・ストレス:緊張や不安で胃の動きが鈍る「腸‐脳連関」も影響
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・感染性要因:ピロリ菌感染による胃炎・潰瘍
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・薬の影響:鎮痛剤(NSAIDs)や鉄剤など
胃もたれが長引く場合は、生活習慣の影響だけでなく、胃炎や潰瘍、さらには胃がんなどの器質的疾患が隠れている可能性もあるため、自己判断せず注意が必要です。
2. 自宅でできるセルフケアと生活改善のコツ
軽度の胃もたれは、食事・生活の見直しで改善できる場合も多いです。以下のような工夫を試してみましょう。
🥢 食事の工夫
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💡 揚げ物・アルコール・スパイスなど胃への刺激が強い食材を控える
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💡 ゆっくりよく噛んで食べ、腹八分目を意識する
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💡 1回の食事量を減らして、1日4〜5回の“小分け食”にする
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💡 食後すぐ横にならない、寝る前2時間は食事を控える
💪 生活習慣の見直し
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💡 軽い運動(ウォーキングなど)で胃腸の動きを促す
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💡 睡眠の質を整え、ストレスをためない
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💡 喫煙・過度の飲酒は控える
💊 薬のチェック
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一時的に市販薬で楽になる場合もありますが、原因の特定にはならないため注意が必要です。
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常用薬がある方は、医師または薬剤師に「副作用による胃もたれの可能性」について相談しましょう。
こうしたケアを1〜2週間続けても改善が見られない場合や、むしろ症状が強くなる場合は、医療機関での検査を検討しましょう。
3. 「病院に行くべきか」受診を検討するサインとは?
「まだ様子を見ても大丈夫かな?」と迷う方も多いと思います。
以下のような**“赤信号”サイン**がある場合は、早めの受診をおすすめします。
🚨 早急に受診すべきサイン
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・体重減少・食欲不振が続く
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・吐血・黒色便(タール便)・コーヒー色の嘔吐物
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・嚥下(飲み込み)に違和感がある
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・家族に胃がん・食道がんの既往がある
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・胸や顎・左腕に痛みを感じる(心臓疾患の可能性)
⏳ 受診を検討すべき長期化サイン
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・2〜4週間以上、胃もたれが改善しない
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・食後の重さ・張り・早期満腹感が毎回出る
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・吐き気・膨満感・げっぷが頻繁にある
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・便通の乱れ(便秘・下痢)を伴う
これらの症状の中には、胃炎・潰瘍・逆流性食道炎・胆石・膵疾患などが隠れている場合があります。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、「生活改善+早期の検査」で原因を明らかにし、再発しにくい体調管理までサポートしています。
4. 受診したら何を調べる?検査・診断の流れ
初診では、まず問診と基本検査からスタートします。
🩺 主な流れ
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・問診:症状の経過・食事内容・服薬・ストレス・飲酒喫煙歴などを確認
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・診察・血液検査:貧血・肝機能・膵酵素・ピロリ菌検査など
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・内視鏡検査(胃カメラ):胃炎・潰瘍・がん・逆流性食道炎などを直接確認
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・機能検査:胃の動き(胃排出能)を評価する検査も必要に応じて実施
その結果により、
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☑ 器質的疾患あり → 治療方針の決定(薬物・除菌など)
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☑ 異常なし → 機能性ディスペプシアとして生活・薬物療法へ
という流れで、症状の根本改善を目指します。
5. まとめ:早めの対応が安心です
「胃もたれ」はよくある症状ですが、長引く場合や繰り返す場合には、放置せず早めの受診が安心です。
軽い不快感のうちに原因を特定することで、治療期間も短く、再発予防にもつながります。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、胃もたれをはじめとする胃腸症状のご相談を受け付けており、
原因の特定から治療・生活アドバイスまで一貫してサポートしています。「何となくおかしい」と感じたときが、受診のベストタイミングです。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
【参考文献】
- 1.Talley NJ, Ford AC. Functional dyspepsia. N Engl J Med. 2015;373(19):1853‑1863.
- 2.Evidence‑based clinical practice guidelines for functional dyspepsia 2021. J Gastroenterol. 2022;57(2):47‑61.
- 3.Functional Dyspepsia: A Review of the Symptoms, Evaluation, and Treatment Options. Gastro‑Hep Communications. 2020;?.
- 4.Review article: current treatment options and management of functional dyspepsia. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2013;10(3):168‑174.
- 5.Reassessment of functional dyspepsia: A topic review. Am J Gastroenterol. 2012;107(7):9xx‑9xx.



















