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2025.11.11

胃もたれが2週間以上続くときに注意!原因と検査の流れを医師が解説

「最近ずっと胃が重い」「食べたあとスッキリしない」──そんな“胃もたれが続く”症状、実は多くの方が感じています。

最初は軽い不快感でも、「そのうち治るだろう」と放置しているうちに、1週間、2週間と続いてしまうことも少なくありません。

では、その胃もたれは“様子を見てよい”ものなのか、それとも“病院に行くべき”状態なのか?

今回は、大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックの観点から、胃もたれが続く原因やセルフケアのポイント、そして受診すべきサインを分かりやすく解説します。


1. 胃もたれが続くとは?その原因と見落としがちなポイント

胃もたれとは、「食後になかなか胃が軽くならない」「胃が張って苦しい」「すぐ満腹になる」といった不快感を指します。

医学的には「胃・十二指腸の機能異常による症状」とされ、特に明確な異常がない場合は“機能性ディスペプシア”と呼ばれます。

短期間で治まることもありますが、数日から数週間以上続く場合は注意が必要です。

主な原因として、以下のような要因が関係します。

  • 食生活の乱れ:脂っこいもの・刺激物・アルコール・早食い・食べ過ぎ

  • ・胃の動きの低下:加齢やストレスで胃の排出が遅くなる

  • ・自律神経の乱れ・ストレス:緊張や不安で胃の動きが鈍る「腸‐脳連関」も影響

  • ・感染性要因:ピロリ菌感染による胃炎・潰瘍

  • ・薬の影響:鎮痛剤(NSAIDs)や鉄剤など

胃もたれが長引く場合は、生活習慣の影響だけでなく、胃炎や潰瘍、さらには胃がんなどの器質的疾患が隠れている可能性もあるため、自己判断せず注意が必要です。


2. 自宅でできるセルフケアと生活改善のコツ

軽度の胃もたれは、食事・生活の見直しで改善できる場合も多いです。以下のような工夫を試してみましょう。

🥢 食事の工夫
  • 💡 揚げ物・アルコール・スパイスなど胃への刺激が強い食材を控える

  • 💡 ゆっくりよく噛んで食べ、腹八分目を意識する

  • 💡 1回の食事量を減らして、1日4〜5回の“小分け食”にする

  • 💡 食後すぐ横にならない、寝る前2時間は食事を控える

💪 生活習慣の見直し
  • 💡 軽い運動(ウォーキングなど)で胃腸の動きを促す

  • 💡 睡眠の質を整え、ストレスをためない

  • 💡 喫煙・過度の飲酒は控える

💊 薬のチェック
  • 一時的に市販薬で楽になる場合もありますが、原因の特定にはならないため注意が必要です。

  • 常用薬がある方は、医師または薬剤師に「副作用による胃もたれの可能性」について相談しましょう。

こうしたケアを1〜2週間続けても改善が見られない場合や、むしろ症状が強くなる場合は、医療機関での検査を検討しましょう。


3. 「病院に行くべきか」受診を検討するサインとは?

「まだ様子を見ても大丈夫かな?」と迷う方も多いと思います。

以下のような**“赤信号”サイン**がある場合は、早めの受診をおすすめします。

🚨 早急に受診すべきサイン
  • ・体重減少・食欲不振が続く

  • ・吐血・黒色便(タール便)・コーヒー色の嘔吐物

  • ・嚥下(飲み込み)に違和感がある

  • ・家族に胃がん・食道がんの既往がある

  • ・胸や顎・左腕に痛みを感じる(心臓疾患の可能性)

⏳ 受診を検討すべき長期化サイン
  • ・2〜4週間以上、胃もたれが改善しない

  • ・食後の重さ・張り・早期満腹感が毎回出る

  • ・吐き気・膨満感・げっぷが頻繁にある

  • ・便通の乱れ(便秘・下痢)を伴う

これらの症状の中には、胃炎・潰瘍・逆流性食道炎・胆石・膵疾患などが隠れている場合があります。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、「生活改善+早期の検査」で原因を明らかにし、再発しにくい体調管理までサポートしています。


4. 受診したら何を調べる?検査・診断の流れ

初診では、まず問診と基本検査からスタートします。

🩺 主な流れ
  1. ・問診:症状の経過・食事内容・服薬・ストレス・飲酒喫煙歴などを確認

  2. ・診察・血液検査:貧血・肝機能・膵酵素・ピロリ菌検査など

  3. ・内視鏡検査(胃カメラ):胃炎・潰瘍・がん・逆流性食道炎などを直接確認

  4. ・機能検査:胃の動き(胃排出能)を評価する検査も必要に応じて実施

その結果により、

  • ☑ 器質的疾患あり → 治療方針の決定(薬物・除菌など)

  • ☑ 異常なし → 機能性ディスペプシアとして生活・薬物療法へ

という流れで、症状の根本改善を目指します。


5. まとめ:早めの対応が安心です

「胃もたれ」はよくある症状ですが、長引く場合や繰り返す場合には、放置せず早めの受診が安心です。

軽い不快感のうちに原因を特定することで、治療期間も短く、再発予防にもつながります。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、胃もたれをはじめとする胃腸症状のご相談を受け付けており、

原因の特定から治療・生活アドバイスまで一貫してサポートしています。「何となくおかしい」と感じたときが、受診のベストタイミングです。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。

 

【参考文献】

  • 1.Talley NJ, Ford AC. Functional dyspepsia. N Engl J Med. 2015;373(19):1853‑1863.
  • 2.Evidence‑based clinical practice guidelines for functional dyspepsia 2021. J Gastroenterol. 2022;57(2):47‑61.
  • 3.Functional Dyspepsia: A Review of the Symptoms, Evaluation, and Treatment Options. Gastro‑Hep Communications. 2020;?.
  • 4.Review article: current treatment options and management of functional dyspepsia. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2013;10(3):168‑174.
  • 5.Reassessment of functional dyspepsia: A topic review. Am J Gastroenterol. 2012;107(7):9xx‑9xx.