
「健康診断の結果で“胃に異常あり”と書かれていたけれど、どうすればいいの?」「初期の胃がんって本当に健康診断で見つかるの?」──そんな不安を感じたことはありませんか?
胃がんは日本人にとって非常に身近ながんの一つであり、年間約10万人が新たに診断されています。しかし、**初期の胃がんはほとんど症状が出ない“サイレントがん”**とも呼ばれ、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
そこで重要になるのが「健康診断」や「人間ドック」です。
実際、厚生労働省のデータでも早期胃がんの約6割が検診で発見されています。今回は、健康診断でどこまで胃がんがわかるのか、そして見逃さないためにどんな検査を受けるべきかを、医師の視点から詳しく解説します。
1. 初期胃がんとは?症状が出ない“サイレントがん”
初期胃がんとは、がんが胃の粘膜や粘膜下層にとどまっている状態を指します。この段階ではリンパ節転移の可能性も低く、内視鏡による切除で完治を目指せるケースも多いです。
しかし、問題は「自覚症状がほとんどない」という点です。
次のような軽い症状しか出ないことも多く、見過ごされがちです。
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・胃もたれ・食後の不快感
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・食欲が落ちた
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・軽い胃痛や胸焼け
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・なんとなく疲れやすい
こうした症状は、日常的なストレスや食生活の乱れでも起こるため、がんに気づかず放置してしまうケースもあります。
だからこそ、定期的な検査が命を守る第一歩となるのです。
2. 健康診断でわかる胃がんのサイン
一般的な健康診断では、以下のような方法で胃の状態を確認します。
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胃透視(バリウム検査):バリウムを飲み、胃の形や粘膜の凹凸をX線でチェック。
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ピロリ菌検査:感染の有無を調べ、胃がんのリスクを推定。
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便潜血検査:胃や腸の出血を検出。
バリウム検査は長年、健診での標準的な検査でしたが、早期の胃がんは発見が難しいことがあります。
特に初期のがんは「平らで小さい」形をしているため、X線では正常なシワに紛れて見落とされてしまうのです。
そのため、健康診断の結果で「要精密検査」「異常の疑いあり」と書かれていた場合は、放置せずに胃カメラ(内視鏡)検査を受けることが大切です。
3. 胃カメラ検査でしかわからないこと
胃カメラ(内視鏡検査)は、カメラを口または鼻から挿入し、胃の内部を直接観察できる唯一の検査です。
わずか数ミリの早期がんでも見逃さず、気になる部分があればその場で**組織を採取(生検)**してがん細胞の有無を確かめます。
さらに、近年ではNBI(狭帯域光観察)や拡大内視鏡などの新技術により、より正確な診断が可能になっています。これにより、最小限の切除での治療が可能となり、体への負担も少なくなっています。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、鎮静剤を使用した“眠っている間に終わる”胃カメラ検査にも対応。
「過去の検査がつらかった」「怖いから避けてきた」という方にも、安心して受けていただけます。
4. 胃がんリスクを下げるための生活習慣
胃がんの発症リスクは、日常のちょっとした工夫で下げることができます。
■ ピロリ菌の除菌
ピロリ菌は胃がんの最大のリスク要因です。
感染が確認された場合は、医師の指導のもと除菌治療を受けることで、発症リスクを70%以上減らせることが報告されています。
■ 食生活の見直し
塩分の摂りすぎ、加工肉、喫煙、過度な飲酒は胃の粘膜を傷つけ、発がんリスクを高めます。
一方で、野菜・果物・発酵食品をバランスよく摂ることで、胃の健康を守ることができます。
■ 定期検診の継続
一度「異常なし」と言われても油断は禁物です。
ピロリ菌感染歴がある方や、慢性胃炎を指摘された方は、年1回の内視鏡検査が推奨されています。
早期に発見できれば、外科手術ではなく内視鏡だけで完治できる可能性が高まります。
5. まとめ
初期の胃がんは自覚症状がほとんどなく、健康診断や胃カメラでしか発見できません。
バリウム検査でもある程度の発見は可能ですが、より正確に診断するには内視鏡検査が必須です。
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、最新の内視鏡システムを導入し、鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査を行っています。
「健診で異常を指摘された」「不安だけど検査が怖い」──そんな方も、ぜひ一度ご相談ください。
安心して検査を受けられる環境を整え、“早期発見・早期治療”を全力でサポートいたします。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
【参考文献】
- 1.Correa P et al. “Helicobacter pylori and gastric carcinogenesis: A model for cancer prevention.” Nature Reviews Cancer, 2013.
- 2.Hamashima C. “Benefits and harms of endoscopic screening for gastric cancer.” World Journal of Gastroenterology, 2016.
- 3.Choi IJ et al. “Long-term effect of Helicobacter pylori eradication on the incidence of gastric cancer.” Gastroenterology, 2018.
- 4.Yao K et al. “Magnifying endoscopy for diagnosing early gastric cancer.” Digestive Endoscopy, 2014.
- 5.Miki K. “Gastric cancer screening using the serum pepsinogen test method.” Gastric Cancer, 2006.



















