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2025.11.17

健診で「胃に異常あり」と言われたら?初期胃がんを見逃さないためのステップ

「健康診断の結果で“胃に異常あり”と書かれていたけれど、どうすればいいの?」「初期の胃がんって本当に健康診断で見つかるの?」──そんな不安を感じたことはありませんか?

胃がんは日本人にとって非常に身近ながんの一つであり、年間約10万人が新たに診断されています。しかし、**初期の胃がんはほとんど症状が出ない“サイレントがん”**とも呼ばれ、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。

そこで重要になるのが「健康診断」や「人間ドック」です。

実際、厚生労働省のデータでも早期胃がんの約6割が検診で発見されています。今回は、健康診断でどこまで胃がんがわかるのか、そして見逃さないためにどんな検査を受けるべきかを、医師の視点から詳しく解説します。


1. 初期胃がんとは?症状が出ない“サイレントがん”

初期胃がんとは、がんが胃の粘膜や粘膜下層にとどまっている状態を指します。この段階ではリンパ節転移の可能性も低く、内視鏡による切除で完治を目指せるケースも多いです。

しかし、問題は「自覚症状がほとんどない」という点です。

次のような軽い症状しか出ないことも多く、見過ごされがちです。

  • 胃もたれ・食後の不快感

  • 食欲が落ちた

  • 軽い胃痛や胸焼け

  • なんとなく疲れやすい

こうした症状は、日常的なストレスや食生活の乱れでも起こるため、がんに気づかず放置してしまうケースもあります。

だからこそ、定期的な検査が命を守る第一歩となるのです。


2. 健康診断でわかる胃がんのサイン

一般的な健康診断では、以下のような方法で胃の状態を確認します。

  • 胃透視(バリウム検査):バリウムを飲み、胃の形や粘膜の凹凸をX線でチェック。

  • ピロリ菌検査:感染の有無を調べ、胃がんのリスクを推定。

  • 便潜血検査:胃や腸の出血を検出。

バリウム検査は長年、健診での標準的な検査でしたが、早期の胃がんは発見が難しいことがあります。

特に初期のがんは「平らで小さい」形をしているため、X線では正常なシワに紛れて見落とされてしまうのです。

そのため、健康診断の結果で「要精密検査」「異常の疑いあり」と書かれていた場合は、放置せずに胃カメラ(内視鏡)検査を受けることが大切です。


3. 胃カメラ検査でしかわからないこと

胃カメラ(内視鏡検査)は、カメラを口または鼻から挿入し、胃の内部を直接観察できる唯一の検査です。

わずか数ミリの早期がんでも見逃さず、気になる部分があればその場で**組織を採取(生検)**してがん細胞の有無を確かめます。

さらに、近年ではNBI(狭帯域光観察)や拡大内視鏡などの新技術により、より正確な診断が可能になっています。これにより、最小限の切除での治療が可能となり、体への負担も少なくなっています。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、鎮静剤を使用した“眠っている間に終わる”胃カメラ検査にも対応。

「過去の検査がつらかった」「怖いから避けてきた」という方にも、安心して受けていただけます。


4. 胃がんリスクを下げるための生活習慣

胃がんの発症リスクは、日常のちょっとした工夫で下げることができます。

■ ピロリ菌の除菌

ピロリ菌は胃がんの最大のリスク要因です。

感染が確認された場合は、医師の指導のもと除菌治療を受けることで、発症リスクを70%以上減らせることが報告されています。

■ 食生活の見直し

塩分の摂りすぎ、加工肉、喫煙、過度な飲酒は胃の粘膜を傷つけ、発がんリスクを高めます。

一方で、野菜・果物・発酵食品をバランスよく摂ることで、胃の健康を守ることができます。

■ 定期検診の継続

一度「異常なし」と言われても油断は禁物です。

ピロリ菌感染歴がある方や、慢性胃炎を指摘された方は、年1回の内視鏡検査が推奨されています。

早期に発見できれば、外科手術ではなく内視鏡だけで完治できる可能性が高まります。


5. まとめ

初期の胃がんは自覚症状がほとんどなく、健康診断や胃カメラでしか発見できません。

バリウム検査でもある程度の発見は可能ですが、より正確に診断するには内視鏡検査が必須です。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、最新の内視鏡システムを導入し、鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査を行っています。

「健診で異常を指摘された」「不安だけど検査が怖い」──そんな方も、ぜひ一度ご相談ください。

安心して検査を受けられる環境を整え、“早期発見・早期治療”を全力でサポートいたします。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。

【参考文献】

  1. 1.Correa P et al. “Helicobacter pylori and gastric carcinogenesis: A model for cancer prevention.” Nature Reviews Cancer, 2013.
  2. 2.Hamashima C. “Benefits and harms of endoscopic screening for gastric cancer.” World Journal of Gastroenterology, 2016.
  3. 3.Choi IJ et al. “Long-term effect of Helicobacter pylori eradication on the incidence of gastric cancer.” Gastroenterology, 2018.
  4. 4.Yao K et al. “Magnifying endoscopy for diagnosing early gastric cancer.” Digestive Endoscopy, 2014.
  5. 5.Miki K. “Gastric cancer screening using the serum pepsinogen test method.” Gastric Cancer, 2006.