
「うわっ、またトイレで痛くなった…」
排便の瞬間にズキッと走る激痛に思わず動きが止まってしまう——そんな経験をしたことはありませんか?
多くの人は「便が硬かっただけ」「痔ならそのうち良くなる」と軽く考えがちです。しかし、排便時に毎回強い痛みが出る状態は、放置してしまうと慢性化し、再発しやすくなったり、日常生活に支障をきたしたりすることがあります。
この記事では、排便時の激痛が起こる理由、痛みを伴いやすい痔の種類、放置のリスク、そして自宅でできる改善法と受診のタイミングまでを、分かりやすく整理して解説します。
1. なぜ「痔・排便時・激痛」が起きるのか?
排便時に強い痛みが出る背景には、肛門周辺の血管や粘膜が過度な圧力・摩擦・炎症を受けていることが関係しています。
痛みが起こる主な原因
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・硬い便による粘膜へのダメージ
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・強いいきみで肛門の血管が圧迫される
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・血栓ができて急に腫れる(外痔核)
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・裂肛(切れ痔)で神経が露出する痛み
さらに下記のような生活習慣が、痔を悪化させる大きな要因になります。
リスク因子
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・便秘/硬便
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・水分不足・食物繊維不足
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・長時間座る習慣
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・妊娠・加齢・肥満
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・便意を我慢する癖
排便時の激痛は「痔だから痛い」という単純なものではなく、便通・血管・粘膜・生活習慣の全体が関係している複合的な症状なのです。
2. 激痛を伴いやすい痔の種類と見分け方
同じ“痔”でも症状はさまざま。特に次の3つは排便時の激痛を伴いやすい代表的なタイプです。
① 外痔核(血栓性外痔核を含む)
肛門の外側が腫れ、血栓ができると 突然の激痛+紫色の腫れ が出現します。
立ち上がる動作や排便後に痛むのが特徴。
② 裂肛(切れ痔)
硬い便により肛門の皮膚に裂け目ができる状態。
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排便時に鋭い痛み
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便器や紙に鮮血
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排便後数分間の強い痛み
が典型です。
③ 内痔核の脱出・嵌頓
肛門内の痔核が外に飛び出し、締め付けられることで痛みが強くなります。
激痛とは限りませんが排便時の違和感や出血が続きます。
見分けるポイント
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💡 痛むタイミング(排便中・排便後・立ち上がるとき)
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💡 出血の有無
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💡 肛門の腫れ・色の変化
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💡 便の状態(硬便かどうか)
3. 痔・排便時・激痛を放置するとどうなる?
強い痛みを我慢したり、市販薬だけで長期間放置したりするのはおすすめできません。次のようなリスクが高まります。
放置によるリスク
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・慢性痔核・慢性裂肛への移行
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・血栓性外痔核で歩けないほどの激痛
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・出血が続き鉄欠乏性貧血に
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・排便の我慢→便秘→さらに悪化の悪循環
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・手術が必要なケースに進行
特に激痛+出血がある状態は、早めの医療機関受診が勧められます。
受診の目安
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・排便時の激痛が続く
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・鮮血が出る
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・肛門周囲の腫れ・しこりがある
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・痛みで座れない
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・便秘と硬便を繰り返している
早めに医師が介入するほど、治療は軽く済みやすく、再発予防も行いやすくなります。
4. 自宅でできるケア&予防法
排便時の激痛を防ぐためには、便を柔らかくし、肛門への負担を減らすことが最重要です。
① 便を柔らかくする習慣
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・水分を1日1.5〜2L目安で
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・野菜・果物・海藻・豆類などの食物繊維を増やす
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・朝食後にトイレに行き習慣づける
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・軽い運動で腸の動きを促す
② トイレ習慣の改善
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・長時間トイレに座らない(スマホNG)
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・出ない時は無理にいきまない
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・足台を使い、ややしゃがむ姿勢にすると排便がスムーズに
③ 肛門のケア
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・やさしく洗浄し清潔を保つ
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・温座浴で血流改善
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・アルコール・辛い物・脂っこい物を控える
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・体重管理(肥満は痔の悪化因子)
これらを続けることで、痛みの軽減だけでなく再発予防にもつながります。
まとめ
硬い便・いきみ・長時間の座位など、日常の何気ない習慣が痔の悪化や排便時の激痛につながります。便を柔らかく保つ工夫と正しいトイレ習慣は、今日から始められる最も効果的な予防策です。
排便時の激痛や出血が続く場合は、早めに専門医へ相談することで、重症化や治療の長期化を防ぐことができます。肛門の痛みは我慢せず、気軽に受診してください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
【参考文献】
- 1.Pain at the First Post-hemorrhoidectomy Defecation Is Associated with Stool Form – Tanaka T. et al., Journal of the Anus, Rectum and Colon (JARC)
- 2.Bowel habits in hemorrhoid patients and normal subjects – T. Johanson et al., Diseases of the Colon & Rectum
- 3.Prevalence of Hemorrhoids and Their Risk Factors Among the Adult Population in Jazan, Saudi Arabia – Oberi S. et al., World Journal of Gastroenterology



















