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2025.12.19

便秘が続くと痔になる?医師が教える“いきみ・硬い便・血流低下”の真実

「便秘が続くと痔になる」「痔持ちなら便秘に注意して」…耳にする機会は多いものの、なぜ便秘と痔が関係するのか、実はよく分からないまま過ごしている方も多いのではないでしょうか。

便秘も痔も、日本人に非常に多い“おしりの悩み”の代表格です。デスクワーク中心の働き方、運動不足、食物繊維不足など、現代のライフスタイルは便秘を引き起こしやすく、結果として肛門まわりに大きな負担をかけてしまいます。

そこで今回は、

「なぜ便秘が痔に悪いのか」

「どうすれば悪化を防げるのか」


を医学的視点からやさしく解説し、今日から実践できる対策もお伝えします。おしりの健康を守る第一歩として、ぜひ参考にしてください。


1. 痔ってどんな病気?種類と原因を知ろう

痔と一口に言っても、主に次の3種類に分けられます。

 内痔核(ないじかく)

肛門の内側にある血管がうっ血してふくらむ“いぼ痔”。出血しやすく、進行すると脱出(外に飛び出す)することも。

 外痔核(がいじかく)

肛門の外側の血管が腫れたり、血栓ができて急激に痛むタイプ。椅子に座れないほどの痛みが出ることもあります。

 裂肛(れっこう)

いわゆる“切れ痔”。硬い便が肛門の皮膚を傷つけて起こり、排便のたびに強い痛みを伴います。

これらの痔に共通するのは、

**「血流悪化」「圧力のかかりすぎ」「炎症」**という3つの要素。

便秘で硬い便が肛門に強い負担をかけたり、排便時に強くいきむことで、これらの痔の発症・悪化につながります。さらに、長い座位や冷え、妊娠・出産なども痔の原因として知られています。

つまり便秘は、痔の“引き金にも悪化要因にもなる”重要なリスク因子と言えるのです。


2. 便秘が痔を悪化させる3つのメカニズム

では具体的に、便秘はどのように痔を悪化させるのでしょうか。主に以下の3つのメカニズムが働いています。

排便時の強い「いきみ」

硬い便を出そうとすると、どうしてもいきむ時間が長くなります。いきみは肛門の静脈に大きな圧力をかけ、血液が滞留。

その結果、内痔核が腫れる・外痔核が悪化する といった症状を引き起こします。

硬い便が肛門を傷つける

便が硬く乾燥すると、肛門粘膜に小さな裂傷ができやすくなり、**裂肛(切れ痔)**の原因に。

一度裂肛になると痛みにより排便を我慢し、さらに便が硬くなる悪循環が生まれます。

長時間便が溜まる → 血流低下

腸内に便が長く留まると、骨盤部の血流が悪くなり、肛門まわりのうっ血が進行。これが痔核の腫れにつながります。

特にデスクワークの方は、座りっぱなしによってリスクが高まります。


3. 便秘・痔を悪化させないための生活改善

痔の改善には薬よりもまず生活習慣の見直しが重要です。東京新宿レナクリニックでは、次のポイントを重視して指導しています。

● 水分を十分にとる

水分不足は便が硬くなる最大の原因。朝のコップ1杯の水だけでも腸の動きを促します。

1日1.5〜2Lを目安に、こまめに補給しましょう。

● 食物繊維は“バランス良く”

・水溶性:海藻・オートミール・果物

・不溶性:野菜・豆類

不溶性ばかりだと便が硬くなるため、両方を適切に摂ることが大切です。

● 適度な運動で血流を改善

1日30分のウォーキングや軽いストレッチだけでも、腸と肛門の血流改善に効果的です。

● 便意をガマンしない

「後で行こう」と我慢すると便秘が進みます。便意は自然なタイミングで逃さないようにしましょう。


4. 薬や食事でできる便秘・痔ケアの実践法

便秘薬は“正しく使えば”とても有効です。

 便秘薬の種類と使い分け 💊
  • 酸化マグネシウム

     水分を腸に引き込み便を柔らかくする。痔の方にも使いやすい。

  • ルビプロストン/リナクロチド

     慢性便秘に有効で、自然な排便を促す。

  • 刺激性下剤(センナ・ビサコジル)

     依存性があるため短期間のみ。

 食事で意識したいポイント 🍴
  • 朝食は抜かない(胃結腸反射を利用)

  • ヨーグルト・納豆などの発酵食品で腸内環境を整える

  • アルコール・辛いものは痔を悪化させるため控えめに

便秘を放置すると、血栓性外痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍など、痛みを伴う合併症のリスクも高まります。違和感が続く場合は早めに専門医へ相談しましょう。


まとめ

便秘は「痔の原因」であり「痔を悪化させる最大の敵」です。

硬い便による刺激、排便時のいきみ、血流悪化など、あらゆるメカニズムで痔を悪化させます。

しかし、水分・食事・運動・排便習慣を整えることで、多くのケースは改善が可能です。

大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、便秘・痔の双方に対応する内科×肛門外科の総合的なケアを行っています。

「おしりの違和感が続く」「便秘が治らない」など、お悩みの際はどうぞお気軽にご相談ください。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。

【参考文献】

  1. 1.Bharucha AE et al. “An Update on the Pathophysiology and Management of Chronic Constipation.” Gastroenterology, 2019.
  2. 2.Sun WM et al. “Pathophysiology of rectal evacuation in patients with hemorrhoids.” Gut, 1990.
  3. 3.Riss S et al. “The prevalence of hemorrhoids and chronic constipation: an epidemiologic study.” Techniques in Coloproctology, 2012.
  4. 4.Wald A et al. “Chronic constipation: advances in management.” The Lancet Gastroenterology & Hepatology, 2021.