
排便時に、白くて細長い“紐のようなもの”が混じっていたら、誰でも驚き、不安になりますよね。
「これって何?」「体の中に虫がいるの?」と強い不安を感じる方も少なくありません。
その正体として考えられるのがサナダムシ(条虫)感染です。
サナダムシというと「珍しい」「海外の病気」というイメージを持たれがちですが、実は食生活や旅行歴、衛生環境によっては日本でも起こり得る寄生虫感染です。
多くの場合、適切な診断と治療を行えば確実に治療できる病気ですが、放置すると体調不良や栄養障害につながることもあります。
この記事では、「便に白い虫が出てきたとき」に知っておきたいサナダムシ感染の仕組み・症状・治療法・予防策を、医療の視点からわかりやすく解説します。
1. サナダムシ(条虫)とは?感染のメカニズム
サナダムシ(条虫・Cestoda)は、人の腸内に寄生するひも状の寄生虫です。
人に感染する代表的な種類には、牛肉由来のものや豚肉由来のものがあります。
感染の主な原因は、
生または十分に加熱されていない牛肉・豚肉の摂取です。
肉の中に含まれる「嚢虫(のうちゅう)」が体内に入ると、小腸で成長し、成虫となって腸内に寄生します。
サナダムシは非常に長くなることがあり、
通常でも4〜12m程度、まれに20m以上に達することもあります。
体は多数の「体節(プログロティッド)」から成り、成熟した体節が自然に切り離され、便と一緒に排出されるため、「白い紐」「白い虫」として気づかれることがあります。
2. 便から出てくるって本当?症状と診断方法
「サナダムシに感染していたら、かなり具合が悪くなるのでは?」と思われがちですが、
実は無症状のまま経過するケースも多いのが特徴です。
見られることのある症状としては、
・軽い腹部の違和感
・お腹の張り、ガスがたまりやすい
・空腹感が強くなる
・下痢や便通の変化
など、はっきりしない消化器症状が中心です。
診断は便検査が基本で、
便中の卵や体節を顕微鏡で確認します。
ただし、感染初期(嚢虫が成長途中の段階)では検出されにくいこともあり、複数回の便検査が必要になる場合があります。
実際の医療現場では、
・便中に体節が排出されて発見
・内視鏡検査中に偶然確認
されるケースもあり、「決して珍しい病気ではない」というのが実情です。
3. 治療・対処法:薬から日常ケアまで
サナダムシ感染が確認された場合、治療の中心となるのは**駆虫薬(プラジクワンテル)**です。
この薬は非常に効果が高く、多くの場合1回の内服で治療が完了します。
服用後に、
・軽い腹痛
・下痢
・めまい
・頭痛
などの副作用が出ることがありますが、多くは一時的で重篤になることはまれです。
治療後は、
・便中に体節が排出されたか
・感染が完全に消失したか
を確認するため、再度便検査を行うことがあります。
日常生活での注意点としては、
・生肉・加熱不十分な肉を避ける
・トイレ後、調理前の手洗いを徹底する
・便の状態を日頃から観察する
ことが重要です。
4. どうやって予防する?衛生・食習慣のポイント
サナダムシ感染を防ぐためには、食習慣と衛生管理が鍵になります。
【食事のポイント🍴】
・牛肉・豚肉は中心部までしっかり加熱
・生肉、加熱不十分な料理を避ける
・特に海外旅行中は食事内容に注意
【衛生管理🌟】
・トイレ後、食事前、調理前の手洗い
・清潔なトイレ環境の維持
【日常チェック✐】
・便に白い細長いものが混じっていないか
・違和感があれば早めに受診
これらを意識することで、感染リスクは大きく下げられます。
5. 大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックで相談できること
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、
・便に虫のようなものが出た
・サナダムシ感染が心配
・予防について知りたい
といった方に対し、診察・便検査・治療・フォローアップまで一貫して対応しています。
治療後の生活指導や再発予防にも力を入れており、安心してご相談いただけます。
まとめ
便から白い紐のようなものが出てきた場合、サナダムシ感染の可能性があります。
驚く症状ですが、適切な診断と駆虫薬治療で確実に治療可能な寄生虫感染です。
生肉を避ける、手洗いを徹底するなどの日常習慣で予防も可能です。
不安を感じたら、自己判断せず早めに医療機関へ相談しましょう。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
【参考文献】
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1.Yanagida Y, et al. Molecular detection of Taenia species in human stool specimens in non-endemic areas. Parasites & Vectors
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2.Sato S, et al. Clinical characteristics and epidemiology of intestinal tapeworm infections over the last decade in Tokyo, Japan. PLoS Neglected Tropical Diseases
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3.Torii Y, et al. A Case of Tapeworm Detected by a Fecal Occult Blood Test During Health Screening. Journal of Ningen Dock and Preventive Medical Care
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4.Ishikawa H, et al. Capsule endoscopy diagnosis of Asian tapeworm (Taenia asiatica). Progress of Digestive Endoscopy
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5.Eichenberger RM, et al. Epidemiology of Taenia saginata taeniosis/cysticercosis in East, Southeast and South Asia: a systematic review. Parasites & Vectors


















