
くしゃみや咳をした瞬間、足の付け根(鼠径部)や下腹部に「ポコッ」とした膨らみや違和感を感じたことはありませんか?
普段は気にならないのに、立ち上がったときや咳・くしゃみ、重い物を持った瞬間だけ膨らみが現れる場合、それは鼠径ヘルニアのサインかもしれません。
鼠径ヘルニアは、初期のうちは痛みが少なく、「そのうち治るだろう」と見過ごされやすい病気です。しかし放置すると症状が進行し、日常生活に支障をきたしたり、緊急手術が必要になるケースもあります。
ここでは、なぜ咳やくしゃみで鼠径ヘルニアが出るのか、その仕組みやリスク、早めに受診すべき理由について詳しく解説します。
1. 鼠径ヘルニアとは? ― 基本のしくみと典型的な症状
鼠径ヘルニアとは、本来お腹の中にある腸や脂肪組織が、腹壁(筋膜や腱膜)の弱くなった部分を通って外へ飛び出してしまう状態を指します。
特に足の付け根にあたる鼠径部は構造的に弱くなりやすく、ここから臓器が皮膚の下に突出することで、膨らみやしこりとして触れるようになります。
代表的な症状には以下があります。
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・立っているときや咳・くしゃみで目立つ鼠径部の膨らみ
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・下腹部や足の付け根の違和感、引っ張られるような感覚
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・初期は手で押すと膨らみが戻る
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・長時間の立ち仕事や運動、重い物を持つと痛みや圧迫感が増す
初期の段階では痛みがほとんどなく、「たまに膨らむだけ」「違和感が少しある程度」というケースが多いため、見逃されがちです。しかし、鼠径ヘルニアは自然に治ることはほとんどなく、基本的には手術による治療が必要とされています。
2. なぜ「咳・くしゃみ」で出るのか?腹圧との深い関係
咳やくしゃみをした瞬間に鼠径部が膨らむ理由は、腹圧が急激に上昇するためです。
腹圧とは、お腹の中にかかる圧力のことで、咳・くしゃみ・いきみ・重い物を持つ動作などで一気に高まります。
腹壁が健康であれば腹圧が上がっても問題ありませんが、加齢や体質、生活習慣などで筋膜が弱くなっていると、その弱点から内臓が押し出されてしまいます。
特に慢性的な咳が続く方は、腹圧が何度も繰り返しかかることで、鼠径ヘルニアを発症しやすくなります。
また、以下のような状況も腹圧を高める要因です。
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・便秘による強いいきみ
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・重い物を頻繁に持ち上げる
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・肥満で常にお腹に圧がかかっている
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・前立腺肥大などで排尿時にいきむ習慣がある
「咳が原因」というより、腹圧がかかりやすい体の状態が背景にあり、そこに咳やくしゃみが引き金となって症状が表に出ると考えるのが正確です。
3. こんな人は要注意! 鼠径ヘルニアになりやすい生活習慣
以下に当てはまる方は、鼠径ヘルニアのリスクが高いとされています。
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・慢性的な咳やくしゃみがある(喘息・アレルギー・喫煙など)
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・重い荷物を持つ仕事や家事が多い
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・便秘がちで排便時に強くいきむ
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・肥満体型、または加齢による筋力低下がある
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・喫煙習慣や慢性呼吸器疾患がある
これらが複数重なると、「少し咳をしただけ」「軽い荷物を持っただけ」で膨らみが出ることもあります。
日常の些細な違和感を軽視せず、早めに医療機関で確認することが大切です。
4. 放置するとどうなる? 痛みの悪化から嵌頓の危険まで
鼠径ヘルニアを放置すると、次第に症状が進行します。
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・膨らみが大きくなり、頻繁に出るようになる
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・押しても戻らない状態になる
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・痛みや圧迫感が強くなり、生活に支障が出る
特に注意が必要なのが嵌頓(かんとん)ヘルニアです。
これは飛び出した腸が戻らなくなり、血流障害を起こす状態で、激しい痛みや吐き気、腸閉塞を伴い、緊急手術が必要になります。
「痛くないから大丈夫」「戻るから様子を見よう」と思っている間に、リスクが高まることもあるため注意が必要です。
まとめ
咳で出る膨らみは早めの受診が安心
咳やくしゃみ、重い物を持つときに現れる鼠径部の膨らみは、鼠径ヘルニアの重要なサインです。
初期のうちは症状が軽くても、放置すると悪化し、治療が大がかりになる可能性があります。
当院の分院の東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINICでは、症状や生活背景を丁寧に確認し、安心して治療を受けていただける体制を整えています。
気になる違和感がある方は、早めにご相談ください。

監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
【参考文献】
1.日本ヘルニア学会 編『鼠径ヘルニア診療ガイドライン』日本ヘルニア学会
2.Fitzgibbons RJ, Forse RA.Clinical practice. Groin hernias in adults.New England Journal of Medicine.
3.Townsend CM, Beauchamp RD, Evers BM, Mattox KL.Sabiston Textbook of Surgery: The Biological Basis of Modern Surgical Practice.Elsevier
















