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2026.01.15

胃が痛い・胸が焼ける…胃痛と逆流性食道炎の決定的な違い

「胃がキリキリ痛むけれど、これは単なる胃痛?それとも逆流性食道炎?」

このように悩みながら、市販薬で様子を見続けている方は少なくありません。みぞおちの痛みや胸やけは日常的に起こりやすいため、深刻に考えずに放置されがちですが、胃痛と逆流性食道炎は原因も治療法も異なる別の病気です。

一見よく似た症状でも、実は体の中で起きていることはまったく違います。自己判断のまま放置してしまうと、慢性化したり、症状が悪化したりすることもあります。そこで今回は、胃痛と逆流性食道炎の違いをわかりやすく整理し、「自分はどちらの可能性が高いのか」を考えるためのヒントを解説します。


1.胃痛とは?原因と特徴的な症状

胃痛とは、主にみぞおち周辺に感じる痛みや不快感を指します。胃の粘膜が炎症を起こしたり、胃酸が過剰に分泌されたり、ストレスによって胃の働きが乱れたりすることで起こります。

代表的な原因は以下の通りです。

  • ・急性胃炎(食べすぎ、飲みすぎ、ストレス)

  • ・慢性胃炎(ピロリ菌感染が主な原因)

  • ・胃酸過多

  • ・強い精神的ストレス

急性胃炎では「キリキリ」「ズキズキ」とした痛みが突然現れることが多く、脂っこい食事や刺激物、アルコールが引き金になります。一方、慢性胃炎は長期間にわたる炎症で、痛みがはっきりしないまま胃もたれや食欲低下が続くケースもあります。

胃痛に多い症状としては、

  • みぞおちの痛み

  • 胃の張り・膨満感

  • 胃もたれ

  • 吐き気

  • 食欲不振

などが挙げられます。

特にストレス性の胃痛は、自律神経の乱れによって起こりやすく、忙しい時期や緊張が続く環境で悪化しがちです。

「いつもの胃痛だから」と我慢している方も多いですが、繰り返す胃痛や長引く症状は内視鏡検査で原因を確認することが重要です。


2.逆流性食道炎とは?症状と仕組み

逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流することで食道の粘膜に炎症が起きる病気です。胃と食道の境目にある「下部食道括約筋」の働きが弱くなることで、胃酸が上に逆流しやすくなります。

代表的な症状は、

  • 胸やけ(胸が焼けるような感覚)

  • 酸っぱい液が上がってくる(呑酸)

  • 食後や横になった時の不快感

  • 喉の違和感、声枯れ

  • 慢性的な咳、ゲップの増加

などです。

逆流性食道炎の特徴は、「痛み」よりもヒリヒリ・ジリジリとした熱感として感じられる点です。また、症状は胃よりも胸や喉に出やすい傾向があります。

原因には、食べすぎ、早食い、肥満、加齢、猫背、飲酒、喫煙、脂っこい食事などの生活習慣が深く関係しています。軽症のうちは胸やけ程度でも、放置すると食道炎が進行し、慢性的な症状につながることがあります。


3.胃痛と逆流性食道炎の違いと見分け方

両者を見分けるポイントは「症状の出る場所」と「タイミング」です。

【①痛む場所】

  • 胃痛:みぞおち周辺

  • 逆流性食道炎:胸の中央〜喉

【②症状の質】

  • 胃痛:キリキリ、ズキズキ、重い痛み

  • 逆流性食道炎:焼けるような違和感、ヒリヒリ感

【➂食後の変化】

  • 胃痛:食べすぎ・空腹時に悪化

  • 逆流性食道炎:食後すぐや横になると悪化

酸っぱい液が上がる、夜間に胸やけが強い場合は、逆流性食道炎の可能性が高いと考えられます。ただし、胃酸過多などにより両方の症状が同時に起こるケースも少なくありません


4.自分はどっち?セルフチェックの目安

胃痛が疑われるタイプ
  • ・みぞおちが痛む

  • ・胃もたれや食欲低下が続く

  • ・ストレスで症状が悪化する

  • ・空腹時に痛みが出る

逆流性食道炎が疑われるタイプ
  • ・胸が焼けるように熱い

  • ・酸っぱいものが上がる

  • ・横になると悪化する

  • ・喉の違和感や咳が続く

症状が長引く場合や、どちらか判断がつかない場合は、内視鏡検査で胃と食道の状態を確認することが安心です。


5.まとめ:症状の違いを知り、早めの対処を

胃痛と逆流性食道炎は似ているようで、原因も治療も異なります。

自己判断だけに頼らず、症状が続く場合は専門的な検査を受けることが大切です。

胸やけや胃の不快感が気になる方は、早めに医療機関へ相談しましょう。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。

【参考文献】

  • 1.Gastroesophageal Reflux Disease — Pathogenesis and Clinical Features Vakil N, その他 New England Journal of Medicine
  • 2.Helicobacter pylori Infection and Gastritis Blaser MJ, その他 Gastroenterology
  • 3.Global Burden of Gastritis and Functional Dyspepsia Ford AC, その他 The Lancet Gastroenterology & Hepatology
  • 4.Diagnosis and Treatment of GERD: A Clinical Review Katz PO, その他 JAMA