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2026.01.24

立つとポコッ…それ、鼠経ヘルニアの前兆かもしれません

「足の付け根がなんとなくムズムズする」「立つとポコッと膨らむのに、横になると消える」

このような症状を感じたことはありませんか?

一見すると疲労や筋肉痛のように思えるこれらの違和感、実は鼠経(そけい)ヘルニアの前兆かもしれません。鼠経ヘルニアは、いわゆる「脱腸」とも呼ばれる病気で、命に直結することは少ないものの、自然に治ることはありません。放置していると症状は少しずつ進行し、強い痛みや緊急手術が必要になるケースもあります。

特に厄介なのは、初期段階ではほとんど痛みがないことです。そのため「たいしたことはないだろう」「しばらく様子を見よう」と見過ごされやすい傾向があります。しかし、早めに気づいて対処すれば、体への負担を抑えた計画的な治療が可能です。

このブログでは、鼠経ヘルニアの仕組みや前兆として現れる症状、放置した場合のリスク、受診の目安について、できるだけわかりやすく解説します。


1. 鼠経ヘルニアとは?起こる仕組み

鼠経ヘルニアとは、腹部の筋膜(お腹の壁)が弱くなることで、本来はお腹の中にある腸や脂肪組織が、足の付け根にあたる鼠経部から外へ飛び出してしまう状態を指します。一般的には「脱腸」という名前のほうがなじみがあるかもしれません。

原因として多いのは、加齢による筋力低下です。そのほかにも、

・重い物を持つ仕事や運動習慣

・慢性的な咳

・便秘による強いいきみ

・前立腺肥大による排尿時の腹圧

など、日常生活の中で腹圧が繰り返しかかることが発症のきっかけになります。

特に男性に多く、中高年以降になると発症率が高くなることが知られています。

鼠経ヘルニアの大きな特徴は、

  • ☑ 立ったとき

  • ☑ 重い物を持ったとき

  • ☑ 咳やくしゃみをしたとき

    など、腹圧がかかる場面で膨らみが出て、横になると自然に引っ込むという点です。

この段階では痛みがほとんどないことも多く、「疲れのせい」「体型が変わっただけ」と誤解されがちです。

しかし、これはすでにヘルニアが始まっているサインであり、時間とともに少しずつ悪化していきます

鼠経ヘルニアは自然治癒しないため、仕組みを理解して早めに対応することがとても重要です。


2. 鼠経ヘルニアの前兆として現れる症状

鼠経ヘルニアの前兆として最も多いのは、足の付け根の違和感軽い不快感です。最初は、

「なんとなく張る感じがする」

「重だるいような気がする」

といった曖昧な感覚から始まり、はっきりした痛みがないことも珍しくありません。

次第に、

  • ・立ち仕事のあと

  • ・長時間歩いたあと

  • ・お腹に力を入れたとき

    に、鼠経部がポコッと膨らむようになります。この膨らみは、手で押すと戻ることが多く、横になると自然に消えるのが特徴です。

さらに進行すると、

  • ・違和感が鈍い痛みに変わる

  • ・下腹部や太もも、陰嚢(男性の場合)にまで不快感が広がる

  • ・片側だけでなく両側に起こる

    といった症状が見られることもあります。

ここで大切なのは、「痛くないから大丈夫」と思い込まないことです。前兆の段階で発見できれば、緊急性のない形で治療計画を立てることができ、仕事や生活への影響も最小限に抑えられます。


3. 放置するとどうなる?受診のタイミング

鼠経ヘルニアを放置していると、膨らみは徐々に大きくなり、違和感や痛みも強くなっていきます。やがて、歩く・立つ・座るといった日常動作にも支障が出るようになることがあります。

特に注意すべきなのが、**「嵌頓(かんとん)」**と呼ばれる状態です。これは、飛び出した腸が元に戻らなくなり、血流が障害される危険な状態で、

  • 強い痛み

  • 吐き気・嘔吐

  • お腹の張り

    などを伴い、緊急手術が必要になります。

嵌頓を起こすと、腸が壊死してしまう可能性もあり、決して軽視できません。そのため、

  • 膨らみがある

  • 違和感が何日も続く

  • 以前より膨らみが大きくなってきた

    と感じた段階で受診するのが理想的です。

診断は、視診や触診に加え、必要に応じて超音波検査などを行います。治療の基本は手術ですが、症状が軽いうちに計画的に行うことで、体への負担や入院期間も最小限に抑えられます。

当院分院の東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠経ヘルニア日帰り手術RENA CLINICでは、鼠経ヘルニアの疑いがある方に対し、わかりやすい説明安心できる治療方針の提案を大切にしています。

「これってヘルニアかも?」と感じたら、早めにご相談ください。


まとめ

鼠経ヘルニアの前兆は、「足の付け根の違和感」や「立つと出る膨らみ」など、見逃されやすい症状から始まります。痛みがないからと放置していると、症状は確実に進行し、緊急対応が必要な状態になることもあります。

早めに気づき、適切なタイミングで受診することが、安心して治療を受けるための第一歩です。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。

【参考文献】

  1. 1.Inguinal hernias Kingsnorth A. ほか The Lancet
  2. 2.Groin hernias in adults Fitzgibbons R. ほか New England Journal of Medicine
  3. 3.International guidelines for groin hernia management HerniaSurge Group Hernia
  4. 4.Epidemiology and natural history of inguinal hernia Jenkins J. ほか British Journal of Surgery