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2026.01.28

その胸やけ、大丈夫?胃炎・逆流性食道炎・胃がんの見分け方

「胸の奥が焼けるように感じる」「みぞおちがムカムカする」――このような胸やけは、日常的によく見られる症状の一つです。

多くの場合は胃酸の逆流や胃炎が原因ですが、中には胃がんなどの重大な病気が隠れているケースもあり、安易に自己判断するのは危険です。

胸やけだけで原因疾患を特定することは難しく、症状の続き方・頻度・他に現れている症状を総合的に判断することが重要です。

この記事では、胸やけの基本的な仕組みから、胃炎・胃酸逆流・胃がんそれぞれの特徴、受診や検査の目安までをわかりやすく解説します。


1. 胸やけの基本:体の中で何が起きている?

胸やけとは、みぞおちから胸の奥にかけて感じる灼熱感やヒリヒリ感を指します。主な原因は、胃の内容物である胃酸が食道側へ逆流し、食道の粘膜を刺激することです。

通常、胃と食道の境目には逆流を防ぐ筋肉(下部食道括約筋)がありますが、これが弱くなると胃酸が逆流しやすくなります。この状態は**胃食道逆流症(逆流性食道炎)**と呼ばれます。

胸やけを起こしやすい要因には

・脂っこい食事

・食後すぐ横になる習慣

・アルコールやカフェイン

・喫煙、肥満、加齢

などがあり、生活習慣と深く関係しています。

一時的な胸やけは珍しくありませんが、頻繁に起こる・長期間続く場合は病的な可能性があります。


2. 胃炎・胃酸逆流による胸やけの特徴

胸やけの原因として最も多いのが胃炎胃酸逆流です。

胃炎は、胃の粘膜に炎症が起きた状態で、ピロリ菌感染、ストレス、鎮痛薬の使用、飲酒などが原因になります。胸やけのほか、みぞおちの痛み、吐き気、食欲不振を伴うことがあります。

一方、胃酸逆流では、

・胸やけ

・酸っぱいものがこみ上げる(呑酸)

・咳や声のかすれ

などの症状がみられ、食後や横になると悪化しやすいのが特徴です。

これらは多くの場合、生活習慣の改善と内服治療で比較的早く改善します。治療に反応しやすい点が、重い病気との大きな違いです。


3. 胃がんが胸やけとして現れることも

注意したいのが、胃がんの初期症状として胸やけが現れることがある点です。胃がんは初期には自覚症状が乏しく、「いつもの胸やけ」と思って見過ごされるケースも少なくありません。

進行すると、

胸やけやみぞおちの違和感

食後の早期満腹感

体重減少、食欲低下

黒い便(消化管出血)

などが現れることがあります。

特に、薬を飲んでも改善しない胸やけ、長期間続く症状、体重減少を伴う場合は注意が必要です。胃がんのリスク因子としては、ピロリ菌感染、喫煙、高齢、塩分の多い食生活などが挙げられます。


4. 胸やけ以外に注意すべき危険サイン

以下の症状が胸やけと同時にある場合は、早めの受診をおすすめします。

・食後の強い不快感が続く

・原因不明の体重減少

・黒い便や吐血

・嘔吐が続く

・飲み込みにくさ

これらは胃炎や逆流性食道炎だけでは説明できないことも多く、胃がんや胃潰瘍、食道がんなどの可能性を考慮する必要があります。


5. 受診・検査の目安

次のような場合は、医療機関での検査を検討しましょう。

・胸やけが週に2回以上ある

・市販薬や生活改善で改善しない

・体重減少や食欲低下がある

・黒い便、吐血がある

検査として有効なのが**胃カメラ(上部内視鏡検査)**です。粘膜を直接観察し、必要に応じて組織検査も行えます。ピロリ菌検査も、将来の胃がんリスク評価として重要です。


まとめ

胸やけの多くは胃炎や胃酸逆流が原因ですが、長引く胸やけの背後に胃がんが隠れていることもあります

症状の変化や治療への反応を見極め、必要に応じて早めに検査を受けることが、安心と早期発見につながります。

監修医師 大柄 貴寛

国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。

【参考文献】

1.Gastroesophageal Reflux Disease: Pathophysiology and Management — Vakil N, その他, The New England Journal of Medicine
2.Diagnosis and management of dyspepsia and heartburn — Talley NJ, その他, The Lancet
3.Helicobacter pylori infection and gastric cancer: Evidence and management — Polk DB, その他, Journal of Clinical Investigation