
痔の症状の中でも、おしりの**「かゆみ」や「痛み」**は非常につらく、日常生活に大きな影響を与えることがあります。夜になるとかゆみが強くなって眠れない、座るだけで痛みを感じて仕事や移動が苦痛になる――こうした悩みを抱えている方も少なくありません。
これらの症状は「痔だから仕方ない」と我慢されがちですが、実は痔だけが原因とは限らず、皮膚炎や感染症、生活習慣の影響が重なって起こっていることもあります。
正しい原因を知り、適切に対処することで、症状の改善や再発予防が期待できます。
このコラムでは、痔によるかゆみ・痛みの仕組み、症状の見分け方、セルフケア、医療的な治療法、受診の目安までをわかりやすく解説します。おしりの不快症状に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
痔によるかゆみ・痛みの原因とは?
痔によるかゆみや痛みは、肛門周囲の血管や皮膚に炎症や刺激が加わることで起こります。
痔は、直腸や肛門周囲の血管がうっ血して膨らんだ状態で、場所によって症状の出方が異なります。
外痔核は皮膚表面に近いため、腫れや炎症によって痛みを感じやすいのが特徴です。一方、内痔核は痛みが出にくいものの、脱出を繰り返すことで肛門周囲の皮膚が刺激され、強いかゆみにつながることがあります。
また、痔からの出血や粘液が皮膚に付着すると、かぶれや湿疹を引き起こし、かゆみを悪化させる原因になります。さらに、かゆみを抑えようとして強く拭いたり、洗いすぎたりすると、皮膚のバリア機能が低下し、症状が長引く悪循環に陥ることもあります。
痛みについては、外痔核が炎症を起こしている場合や、血栓ができた「血栓性痔核」では、ズキズキとした強い痛みや、刺すような痛みが生じることがあります。座る、歩く、排便するといった日常動作でも痛みを感じやすくなります。
症状の見分け方:かゆみと痛みの特徴
痔によるかゆみは、肛門周囲のべたつきや湿気、皮膚刺激が関係していることが多く、無意識に掻いてしまい悪化するケースも少なくありません。特に夜間は汗や蒸れの影響でかゆみが強くなることがあります。
一方、痛みが強い場合は、外痔核や血栓性痔核など、神経が多い部位に炎症や腫れが起きている可能性が高いと考えられます。座ったときに強く痛む、排便時に鋭い痛みを感じる場合は注意が必要です。
また、赤み・腫れ・熱感を伴う場合は、痔に加えて皮膚炎や感染症が重なっていることもあります。
症状の出方やタイミング、強さを観察することで、適切な対処や治療につなげることができます。
日常生活でできるセルフケア
かゆみや痛みを軽減するためには、日常生活でのケアがとても重要です。まず意識したいのは、清潔を保ちつつ、刺激を与えすぎないことです。洗う際はぬるま湯でやさしく洗い、強くこすらないようにしましょう。香料入りや刺激の強い石鹸は避けるのが無難です。
また、便秘や硬い便は症状を悪化させる大きな要因です。
💡 食物繊維を意識した食事
💡 十分な水分補給
💡 排便を我慢しない習慣
を心がけ、いきまない排便を目指しましょう。
温かい坐浴は血行を促進し、炎症や痛み、かゆみの緩和に役立ちます。下着は通気性の良い綿素材を選び、蒸れを防ぐことも重要です。
これらを続けても症状が改善しない場合は、自己判断せず専門医に相談することが大切です。
医療的な治療法と受診の目安
症状が強い場合や長引く場合には、医療機関での治療が必要になります。軽症であれば、抗炎症作用やかゆみ止め成分を含む坐剤・軟膏で症状が改善することもあります。
外痔核や血栓性痔核で痛みが強い場合には、状態に応じて血栓除去や外科的治療が検討されます。内痔核が原因の場合は、硬化療法や結紮術など、身体への負担が少ない治療が選択されることもあります。
以下のような場合は、早めの受診をおすすめします。
・症状が1週間以上続く
・痛みやかゆみで日常生活に支障がある
・出血や分泌物が増えている
大田大森胃腸肛門内視鏡クリニックでは、症状の原因を丁寧に評価し、一人ひとりに合った治療を提案しています。
症状を悪化させない生活習慣
症状を繰り返さないためには、生活習慣の見直しが欠かせません。
便秘や下痢を防ぐこと、長時間座り続けないこと、適度な運動で血行を促すことが予防につながります。
また、締め付けの強い下着や通気性の悪い衣類は蒸れや刺激の原因になります。
おしり周りは「清潔・乾燥・やさしく」を意識することが大切です。
まとめ
痔によるかゆみや痛みは、炎症や皮膚刺激、生活習慣が重なって起こります。
セルフケアで改善することもありますが、症状が続く場合や強い不快感がある場合は専門医の診察が必要です。
正しいケアと早めの相談が、症状改善への近道です。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2020年10月大田大森胃腸肛門内視鏡クリニック開院、2024年12月東京新宿胃腸肛門内視鏡・鼠径ヘルニア日帰り手術RENA CLINIC開院。
【参考文献】
1.Anal and Rectal Disorders: Pruritus Ani — Ansari P, その他, MSD Manual
2.Anal itching and hemorrhoids overview — Mayo Clinic Staff, その他, Mayo Clinic
3.Management of hemorrhoids and anal symptoms — Cleveland Clinic Review, その他, Cleveland Clinic Health Library


















